まじめすぎる君へ。

「もうちょっと肩の力をぬいてさ、もっと気楽に生きてみたらどうだろう」こんなことを君に言ったら、きっと君は”なんていい加減な人”と思うのだろうね。まじめすぎる君には、丁度いいと私は思うのだけど。仕事と人生はね、結局は楽しんだもの勝ちなんだよ。ため息つきながら険しい顔で仕事なんて、君らしくないしつまらないよ。

だってさ、こう考えてみたらどうだろうか。一日のうちの約1/3は仕事をしているわけだし、その約1/3は寝ている訳だから実際のところ、自分が起きている時間の約半分は仕事をしているわけなんだ。つまり、君の人生の半分を君は仕事に費やしてしまっているんだよ。

その人生の半分をどうせなら、もっと楽しく過ごしてみようよ。人生の半分をつらく哀しく生きるなんて、これほどつまらないものはない。誰かの言葉に傷ついたって、明日の君はきっとなにものにも負けない笑顔があるじゃない。「やめたい。・・・」なんて、もういわないで。もう二度と思ったりしないで。

あれだけ君はがんばったじゃない。あれは君だから出来たんだ。君じゃなきゃ出来なかったんだ。自分にもっと誇りをもっていいんだよ。自分をもっと誉めてあげてもいいんだよ。「人間関係」という言葉。君はよく使ってたよね。人と人の心なんて、誰にも見えないし、わからないもの。それなのに、君はいつまでも悩んでいたよね。

私の小さな娘がね、私に教えてくれたんだ。「お父さん、わたしが植えたお花がね、3っつ咲いたんだよ!」私はその花に気づいてなかった。そんな私はその瞬間を永遠にしたいと思ったんだ。私が娘に教えられたことは、その花のことだけじゃなくて目には見えない大切な何かなんだ。これに比べたら、人間関係で悩んでいる事の、なんてちっぽけなことか。

こんなことを書いている私も実は人間関係にいつも苦労しているよ。人生の中で、人と人の関係は、絶える事のない悩みの種だからね。でも、私のほうは、最近うまくやっているよ。コツはね、離れすぎず近づきすぎず。私はそう思うんだ。まじめすぎる君は、すぐに近づきすぎたり、離れすぎたり。でも、その君の一生懸命がいいところでもあるのだけど。「じゃあ、どうすればいいの?」って顔を君はしているけど、さっきから私は言っているよ。

もっと気楽にすればいい。

しかめっ面で君はきっとまたこう言うのだろうね。「なんていい加減な人!」そうだよ。人生はね、いい加減が丁度いい。「いい加減」という言葉は、実に無責任に聞こえるけどそれは熱すぎず、冷たすぎず、離れすぎず、近づきすぎず。バランスのとれた状態なんだ。

完璧なんて求めたりしたら、すぐに息が切れてしまう。「まぁ、いいか」これもいい加減な言葉だけど、ときにはとても大切な言葉。余裕がなければ、ギリギリのことしか出来ないもの。人生や仕事に疲れたらちょっとでいいからさ、窓の外とかを見てごらんよ。

もしかしたらそこには

君が気付かなかった小さな花が
君に咲いているかもしれない。

まじめすぎる君へ。
これは私からの切手のない手紙。

この手紙が、いつか君に届くことを願って。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一