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嫌な言葉と相手への伝え方。

最近、上司の言葉がきつい。私もつい、ムッとくる。私だけはあんなふうにはならないようにと思ってるつもりが、気づけば私も、部下にイライラをぶつけている。

嫌な心は不思議と簡単に伝染してしまう。それはもう、すごいスピードだ。まるで風邪のウイルスのように、空気感染するように、次から次へと猛威を振るうようだ。

私は思うのだけれども、体が弱っているときに、人は風邪をひきやすいように、嫌な心は、やはり人の心が弱っているときに、なりやすいのではないかと思う。

そんな気持ちで上司を見てみる。最近、新しく代わったトップは上司よりも若く優秀で、恐らく私の知らないところで、いろいろと苦言を言われているのが想像できる。

上司の言葉に”うちのトップが”と言うセリフが多くなった。その度に「あなた自身はどうしたいの?」とつい、私は思ってしまう。

きっと、その人の心が弱ってしまって、心が風邪をひいているのだろう。そうして私も次第に心が弱ってしまい、誰かに八つ当たりをしてしまう。そして、その誰かもイライラして、心が弱って・・・と。こんな具合に。

どうすれば、こんな最低な連鎖を止めることが出来るのだろう。

昔読んだ本の中でこんなことが書いてあった。(詳しくは覚えていないので少し違っているかもしれない。)

たとえば部下に「時間がないから早くしてくれよ!」という言い方をする。当然、言われたほうはムッとくる。(最近の私と同じだ)それは自分を否定されたように聞こえるからだ。否定されると人の心は弱ってしまうものだ。では、どういう言い方をすればいいのだろう。

それは①目的 ②相手の気持ち ③解決策 の3つのポイントに絞って伝えると良いということだ。さっきの「時間がないから早くしてくれよ」の言葉に当てはめてみる。

①目的はこの場合「時間内に終わらせること」
②相手の気持ちは「私はこれでも精一杯、頑張ってますよ!」
③解決策は「相手を理解する、期待する」

それを踏まえて「時間がないから早くしてくれよ!」を次のように言い換えたらどうだろう。

「A君、頑張ってるね!時間内に出来るかは君にかかっている!しっかり頼んだぞ!」

伝えたい目的は同じなのに、不思議と言葉が輝いて見える。否定から期待に変わると人は励まされ、やる気が生まれる。そして元気になる。そうして、その元気も同じように人から人へ心は伝わってゆく。

自分の気持ちも大切だけれど、誰かに何かを伝えるうえでは、やはり、相手の気持ちが大切になる。特に仕事のおいては、自分の意に反したことも、指示しなくちゃならないこともある。

その自分の嫌な気持ちをそのまま伝えたら、嫌な気持ちしか伝わらない。相手の気持ちを大切にしたら、そこにはきっと理解が生まれ、期待が生まれ、そして確かな希望が生まれる。

ただ、その気持ちの持ち方ひとつで、随分と変わってくる。このことを忘れなければ、案外、人間関係は楽なものになるのかもしれない。

①の目的はすぐにわかるとしても、やはり問題は②の相手の気持ちだろう。それはもしも相手が自分だったらどう思うか?と考えるのがベストだと思う。意外と人は「相手の立場で考える」というのが、いかに大事だと分かっていても、なかなか出来ない。どうしても自分中心に考えてしまう。常に自分に言い聞かせることが大切なのかもしれない。③の解決策も肝心だけど、これもやはり難しい。だから私はとりえず「相手を理解する、期待する」の考え方に固定している。特に仕事の上では一番、有効だと思っている。

そう考えると、難しく考えないで「相手の気持ち」さえ忘れなければ、伝える言葉は、相手にとって正しいものになる。そうしてそれは、自分が望んだ結果として帰ってくることだろう。

さて、ここまで書きながら私は最も肝心なことに気が付いた。相手の立場で考えない人の言葉に対して、自分はどう対処すればいいのか?ということ。いくら自分が相手の気持ちで答えても、相手の気持ちを考えない人の言葉には、やはり心は傷ついてしまう。

今、言えることは相手は決して変えることは出来ないということ。どんな心理学の本にもそれは言い尽くされた言葉だ。変えられるのは唯一、この自分自身。傷つけるだけの言葉を言う人は、それを反面教師にして自分を正すことしか、今はないのかもしれない。

そうはいっても、それで折れかかった心の治し方は必要だ。それは次の機会にじっくりと考えたいと思う。

まずは自分を変えてゆこう。そうしてそれは必ずまわりに伝わってゆく。そうしてその広がりは、いつしかその人の優しい言葉となって帰ってくるはず。今はただ、それを信じて。

折れかかったその心は、傷つけたその人が、そして、まわりの人が、いつかきっと、優しい言葉で直してくれる。

そのために、今はその人たちのために、
私は”人を理解すること”を、ただ、選んでゆくのだ。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一