言葉と心の正しさのありか。
確かにその人の言っているコトバと言うものは、正しいのだけれど、どこか違っているように感じて、でも、何も言えないときがある。
やっと、何が間違っているのかが、わかった。
その言い方。
その攻撃的な言い方に、言われたほうは、すぐに心に大きな壁を作ってしまう。そして傷ついてしまう。だから言ったほうにしてみれば「わかっているのか!」と声を荒げ、まったくの悪循環。そんな場面に会った。うんざりとした気持ちになる。
”言い方”という理由としては、なんだか駄々をこねる子供みたいで、たいした意味もなく、ぬるま湯みたいな言い訳だけど、これって結構大事だと思う。
このあやふやな心というものを、ようやく人は認めるようになった。見えないものは見えないままに、心は存在すらしてないような扱いだったけど”心のケア”という言葉を、よく耳にするようになった。
えぇい!なんだかとてもまわりくどい。
もっとストレートに書こう。
ある管理職が、アルバイトを叱っていた。全然挨拶が出来ていない!というものだった。バイトと管理職の(私の言葉で言えばうんざりするような)やりとりが終わると、その管理職が私のところへ来て一言。
「あいつ、辞めさせてやろうか?」
その言い方だった。まるでつばを吐いたような言い方。その言い方にバイトの彼も、素直になれないでいることを、その管理職はまったくわかっていないのだ。
確かに言っている”言葉”は正しいだろう。でも決定的に”心”は間違っている。どうしてそれが、わからないのだろうかと思う。
バイトの彼はとても素直な子だ。
仕事も出来るし、何よりまじめで、バイトの中ではリーダーシップも発揮している。その彼に対して、どうして「辞めさせようか?」などという言葉が出るのか私にはわからない。
「彼の何も知らない人が、そんな勝手なことを言うな!」と私はそのとき言いたかった。言えば多分、同じようにつばを吐き捨てるような言い方になって、私も私を傷つけただろう。その点、アルバイトの彼のほうがはるかに立派だ。
ちゃんと言い返したのだから。「そうじゃない」と、その人に気持ちをそのまま言い返したのだから。
でも、結局、時は遅く、バイトの彼は私に伝えに来た。
「オレ、辞めますから」
私は心の中で思った。
言葉がいくら正しくても、心が間違っていたのなら
こんな愚かな結果しか生まないのだと。
うつむいた彼の肩をそっと叩いて
私は心の正しさのありかを
その彼に教えた。
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一