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ナウシカと小さな言葉と。

仕事上の人間関係に悩みは尽きることはない。それでも、何気ない小さな言葉だけで、こんなにも勇気があふれることがある。

なんだろう?両手で抱きかかえられるようなこの安堵感は。この感じ、何か懐かしいなと思っていたら、私の好きな「風の谷のナウシカ」の映画の中で、こんなシーンがあったのを思い出した。

虫たちの攻撃を受け、腐敗の森の中に飛行船が、今まさに落ちて行こうとしている。飛行船の中の老人達は、「もうダメだ!姫様(ナウシカのこと)わしらはもう死にます!」と大声で叫んでいる。ナウシカは「荷物を落して軽くしなさい!」と老人達に呼びかけるけど老人たちの叫び声で、その声が届かない。

数秒でも息を吸ったら肺が焼けてしまうような臭気の中、信じられないことにナウシカは、より、声が届くようにと口にしていた防毒マスクをそっと外した。

驚きのあまり、老人達が声を静めたそのとき・・・

「大丈夫だから、私の言うことを聞いて」

そう言うと、ナウシカは老人達に微笑んだ。

それを見た老人達は「姫様が笑っている!わしらは助かるんじゃ!」とやがて歓喜の声を上げ荷物を捨て、そして助かる・・・そんなシーン。ちょっと違っているかもしれないけれど、私は密かにこのシーンが好きだ。日々の仕事の中で今、私達が求める上司の姿は、まさにこのナウシカの行動にあるのだと思う。

今、私達は、いろんな意味での”失敗”の言葉に怯えながら、ただ、互いに叫びあってる。それぞれの言い分とか、言い訳とか、命令とか、愚痴ばかりを選びながら。でも、結局、上司と部下は、互いに何も聞こえてはいない。心の叫びは、その心まで届くことはない。

私達が求めているものは、「がんばれ!」とただ、叫ぶだけの一方的な命令ではなく「がんばろう!」というお互いの共通した野心と自らの行動なのだろう。

ある人からメールが届いた。かつて私の上司だった人だ。

「オレね、思うんだけど、いろいろ悩むよりも、まず、何かはじめなきゃ。それでどう転んだっていいじゃない。今は大きな壁だとしても、長い人生から見下ろせば、意外とちっぽけなものなんだ。人生の中で後悔しなければ、結果にそれほど意味はない。今はお互いに実行あるのみ!だから一緒にがんばろうな!」

そんな言葉だった。

目に見えないたくさんの不安が、毎日のように降り積もる中、あの人はまだ、新しく何かをはじめようとしていた。「人生で後悔しなければそれでいい。一緒にがんばろう」単純かもしれないけど、それは言い尽くされた言葉かもしれないけど、私は胸が熱くなった。勇気がじんわりとわいてきた。

あの人はきっと、メールの中で、
私に大切なことを教えてくれた。

ナウシカのように微笑みながら。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一