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お返しをする人生。

久しぶりに映画を見た。先日、番組表をテレビでたまたま見ていたら、ん?と思った。ロバート・デ・ニーロ主演?しかも2015年とわりと新しめの映画だ。

映画のタイトルは「マイ・インターン」速攻で私は録画予約をしておいた。

私はロバート・デ・ニーロのファンなのだ。彼の映画で外れはない。ということで公休日にゆっくりとこの映画を鑑賞した。

映画はヒューマンドラマでバリバリのキャリアウーマンを演じるアン・ハサウェイ(ひたすら可愛い)が仕事や私生活に悩みつつも、高齢な彼(ロバート・デ・ニーロ)に助けられてゆく、心が温かくなるストーリー。

映画の内容は割愛するけど、心が疲れている人にお勧めしたい映画だ。

映画の中のロバート・デ・ニーロが扮するベンという役は「定年後のひとりの人生を満喫している老人」の設定。私はまだまだ先のことだと思っていたけれども、その小さな光はそろそろ見えてくるようになってきた。

いい意味で、この頃、がむしゃらに仕事をするようなことはなくなった。昔は(本当に遥か昔)休みの日には、自己啓発の名のもとに、私服で一日中、店で仕事をしていた。サービス残業は当たり前で、年末には夜中の12時を過ぎることも度々あって、つくづくあの頃は無茶苦茶だったなぁと思う。

今、こうして振り返ると、一生懸命に働いてきた店は、今はなくなっている。みんな閉店してしまって、違う店か、駐車場か、マンションが建っている。

あれはなんだったんだろう・・・とぼんやりと空を見上げるような思いだ。

この映画みたいに、上司が自分よりも若いなんてことが本当に多くなった。私もそのうちの一人だ。がむしゃらに働いている若い上司を見ていると、あの頃の自分を思い出す。あぁ、私も周りが見えてなくて、そんなきつい言い方をしていたっけなぁ。そうして部下がやる気をなくしていったっけなぁなどと思い出す。

私もようやくそんなふうに、客観的に物をごとを見つめられるようになってきた。私は今、恐らくは人生の見晴らしのいい山頂にいて、これからゆっくりと下ってゆくところなのだろう。別にそれは悲しいことじゃない。人生をあきらめたという意味でもない。これからはゆっくりと、地球の重力に身を任せて、どんな出来事もなすがままに、降りてゆけばいいのだ。

そんな私の人生の後半は「お返しをする人生」なのだと思っている。

今まで散々、人に迷惑をかけてきた。気づかずに間違ったこともたくさんしてきた。多くの人の期待に応えられなかった。挙句の果てに期待もされなかった。仕事で多くの人を怒らせた。そして自分の小ささに投げやりになって、さらに多くの人を困らせた。私を傷つけた人たちがいる。私によって傷つけられた人たちもいる。私が生きてきたことで、どれだけの人たちが苦しんできたのだろう。それが私の人生の前半と言ってもいいのかもしれない。

それでもこんな私を許してくれた人たちがいる。そして、形のないたくさんのものを、私は頂いてきた。

そんな人たちに、そして、これから出会う人たちへ、私のこれからの人生は”お返し”をしたいと思うのだ。どうすれば返せるのか、今はまったくわからないけれども。

今はただ、心穏やかに過ごそうと思う。何も急ぐこともなく、何も見落とすこともなく。人の人生は、とても大きくて、そして、あっけないほどにちっぽけだ。どんな小さなことにも感謝してゆこう。自分を許し、そして相手を許してゆこう。そうすることで少しでも、”お返し”につながるのだと信じている。それが正しいと今の私は思っている。

映画の中で、ベン(ロバート・デ・ニーロ)の言った言葉で、心に残っているものがある。

「正しいことをするのに、間違ったことはない!」

私もそんな気持ちでいよう。
その勇気だけは離さずにいよう。

そうして私の人生は素晴らしかったと
最後に胸を張るためにも。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一