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まーくんのこと-7 ごろんができなくなったこと-2

前回の更新から時間がたってしまいました。まーくんの病気や症状についての記事を書くのはこれで最後です。この次に書く記事でまとめるぞ…と考えるほどになかなか書けなくなってしまいました。

今回も長い記事なると思いますが、大まかに言うと:
・おすわりやごろんをしなくなったまーくん、その後のケア
・アセプロマジン
・トロコキシル
これらについてまーくんが経験したことを書き残しておきます。

前回の記事からの続きです。鎮静薬であるアセプロマジンの服用により、ついに寝ることができたまーくん。その後も服用を続けました。日によってその効果は違いましたが、大まかな傾向は見えてきました。

まーくんの場合は服用後、30〜45分ほどでズズズ…と少しずつ眠りに落ち、約8-10時間後に目が覚めるというのが大体のパターンでした。日によっては、同じ量の薬でも10時間以上や、まる半日寝ていることもありました。これはもう「日によって違う」としか言えませんでした。

起きてからすぐには思うように体に力が入らないようで(寝てる間は、体勢はずっと同じの時もあれば途中で起き上がって体勢を変えてまた寝ることも。ここらへんもバラバラ)30分ほどはボーっとしつつもトイレのためお庭に出て朝ごはんを食べ、水を飲み…そしてそのまま1日中、のそのそと部屋の中をぐるぐる歩き続けるのでした。

おすわりもごろんもできなくなってしまったまーくん。彼はもうトライすることもしなくなりました。疲れたら腰を低く落とし、じっとすることで休憩をしているようでした。夜にアセプロマジンを飲むまではその動作を一日中繰り返していたのです。薬の服用でしかまーくんは眠らなくなってしまいました。そんなまーくんを見ているのはとても辛くて、心が削られていくような思いでした。

ルーティーンとしてその他にお昼におやつ、夕方に庭に出てトイレ、夜はばんごはんも食べました。食欲はいつも通りあり、トイレも規則正しかったです。まーくんの行動範囲だったリビングから玄関までは全てまーくんが歩きやすいように改造しました。こたつテーブルを撤去し、ジョイントマットをしきつめ、段差にはスロープを設置し、家具の角にはプチプチを貼り付けたりなどして、とにかく少しでもまーくんが過ごしやすいようにと工夫しました。

新しく通い始めた動物病院の先生に、まずは前の病院でなんとか撮ることができたレントゲンを見てもらいました。その後、往診でまーくんの様子を直接確認し、私が今まで撮ってきた動画も見ながらしっかりとヒアリングをした上で、最初は馬尾症候群という病気の可能性を話してくれました。それは何らかの理由で骨が神経根が圧迫し痛みが出てしまうというものでした。レントゲンをみる限りその可能性もあるとのこと。しかしこの診断を下すにはMRIあるいはCTなど特殊な画像診断が必要でした。

では、今すぐに撮りましょう!原因を見つけて、治療をして、まーくんを助けよう!こんなに辛い状態のままでいさせるなんて耐えられない!と私は息巻いていましたが先生はこのことについては賛成しきれない様子で、私の父親もMRIやCTを撮ることについては反対でした。

全身麻酔を要する検査によって及ぼされるストレスともし確定診断ができたとしても外科治療には進めれない、と父は言いました。私の父は医者です。そんな父がこれまで経験してきたことや勉強してきたことを踏まえ、これまでのまーくんの症状の経過はもちろん、まーくんの命を総合的に考えて今後大掛かりな治療というのはしないと決めていました。

私はこの時、父の意見に全く納得できず何度か大きめな親子喧嘩もしてしまいました。  大騒ぎをする娘、折れない父、その場に居合わせて困り果てる母… 毎日カオスそのものでしたが、私たちはかけがえのない家族の一員を思って、ただひたすらに一所懸命でした。

結果から言うとこの時の父の判断には本当に助けられました。専門家の鋭い感覚というものも感じさせられました。このことについて書こうとすると今以上に多角的な話しになるので、この記事は同じような状況にある人の参考に少しでもなれるよう、まーくんの病気や症状にフォーカスして書き終えたいと思います。

動物病院の先生も父親と同じ考えでした。まーくんの年齢などを考えれば痛みの緩和と、どうにかストレスを最小限に抑えた上でのケアを勧めていました。また、先生はまーくんを見ているとぐるぐる歩き廻り続けるという動作について認知症の可能性も感じていました。(私は個人的にそれはないと思っています)

そこでまず新薬であるトロコキシルという非ステロイド性抗炎症薬を試してみましょう、ということでした。

何らかの理由で外科治療が難しい犬の変形性関節症を伴う炎症や痛みの緩和に有効であるということと、一度服用したらその効果が1ヶ月続くとのことでした。先生は今までにこの薬の効果を感じたケースをいくつも経験しているとお話ししてくれました。

…と、そんな話しをしていたら、新たな問題が勃発しました。まーくん、片耳の付け根が膨れ上がり、耳の中がひどく爛れてしまいました。とってもひどい外耳炎のような状態でした。あまりに耳の付け根が腫れていたので先生は悪性の腫瘍なのか?と疑っていましたがとにかくこちらの治療を優先するためステロイド投与が始まりました。ステロイドと同時に服用できないのでトロコキシルはひとまず延期になりました。

ステロイドはとても良く効き、腫れはほどなくしておさまり、耳もすっかりきれいになっていきました。この頃ぐらいから、気性が荒くなっていたまーくんが穏やかになっていきました。おそらく、耳周辺の痛みや違和感が強く、その箇所を触ろうとしたときに怒っていたのだと思います。あんなに怒っていた首輪の付け外しもこの時点ではもう大丈夫でした。私たち家族は、まーくんをたくさん優しく抱きしめることができるようになりました。それが嬉しかったです。

しかしこの間もずっとまーくんの様子は変わらず、アセプロマジンで夜は眠り、起きたら一日中部屋をぐるぐると廻り続けるという生活でした。アセプロマジンがよく効いていたのか、お昼過ぎになっても寝ているという日も何度かありました。

また、以前に別記事で皮膚型リンパ腫について書きましたが、ステロイド投与中は皮膚の赤みなどは治ったものの、ステロイド減薬とともに脱毛の症状はじわじわと範囲が広がっていました。

ステロイドを完全に断った後、トロコキシルを試しました。

結果から言うと、なんと、数ヶ月ぶりにまーくんが自ら腰を落として、やや不自然な体勢ではありましたが休んだり寝たりすることができました。

私はこの時の喜びを今でも忘れられません。トロコキシルが効いたのでしょうか。タイミングとしてはその可能性が高いように思います。

とても良い状態が少しの間続いたあとに、まーくんは徐々に立っていられなくなりました。ついに立ち上がれなくなり、寝たきりになって少し経ってからまーくんは亡くなりました。トロコキシルが効いてから約1ヶ月の間の出来事でした。

寝たきりになったころには顔の周りはどんどん脱毛していました。血液から見られるリンパ球の多さやそれまでの症状を考えると、先生の考えではまーくんは皮膚型リンパ腫の可能性が高いとのことでした。

まーくんがなぜおすわりやごろんをしなくなったのかは、わからないままです。ただ、トロコキシルを服用してからは自由に体を動かせる!とまではいかなかったのですが、伏せの体勢をとれるようになっていました。「痛み止め」という役割で薬が効いたのでは、と考えてもいいようなタイミングでした。

全てを書いてみて改めて思うのは、まーくんには一度に様々な症状や治療が交錯したのでとても複雑な状況でした。病名診断というハッキリとしたことが提示されない中で、薬を試しては経過を観察し記録をつけ、細かく先生に相談するということを繰り返していました。

先生は毎週のように病院に一人でやってきては看病ノートに書いたことを読み上げる私の話しを真剣に聞いてくれて、往診にも度々来てくれました。最初から最後まで私たちにずっとずっと付き合ってくださったことを、本当に感謝しています。

自身の経験からいろんなことを教えてくれながらも、私たちの心に寄り添い続けてくれる、なにより本当に動物が大好きなのが伝わってくる素敵な先生でした。

さて、すでにこんなにも長々と書いてしまいましたが、私が最後に改めて書き残しておきたいことは3点あります。

1点目は、トロコキシルという薬に効果を感じたということです。高価な薬ではあります。しかし外科治療をするのは大変だけど愛犬の痛みをとってあげたいと悩んでいる方は、もしかかりつけの先生にこの薬を提案されたなら一度試してみてはと思います。この薬について詳しくはこちらをご確認ください。

2点目は、アセプロマジンには助けられたということです。老犬介護などでお悩みの方、もしかしてかかりつけの先生にこの薬を提案されることもあるかもしれません。薬で眠らせるということに抵抗を感じる方はもちろんです。副作用も存在します。しかし、一度は先生とじっくり相談してみてください。広い視野を持ち、おかれた状況のバランスを考えた上で、薬とうまく付き合っていくという選択肢もあるかもしれません。

3点目。犬の身体については専門外だし、何も断定できることでは無いとは言っていましたが、私の父親が今の時点でしている、まーくんに起きたことの考察を書き残しておきます。あくまでひとつの考え方であることをご了承ください。しかも父が言っていたことをメモし、それを元に私が書いている文章なのでどこまできちんと伝えれるか…

病気というのは、様々な症状が多岐に渡るケースもあるのだそうです。まーくんに起きていた多彩な症状について医学的に考えるのであれば、別々の病気が順番に出てきたというよりも、一元的に考えるべきとのこと。人間でもいろんな症状が確認できていたとしても、正確な病名を診断するのには何年もかかるケースというのも多くあると言ってました。

まーくんの場合、皮膚型リンパ腫という病名は最後に出たのですが(何度も言いますが生検はしていないのではっきりとした診断では無いです)私たちがずっと悩んでいたのは彼がおすわりやごろんの体勢をとらなくなってしまったことでした。私はそれが彼の「メインの病気」なんだとずっと思っていました。

しかし、仮説なのですが、皮膚型リンパ腫の発症のひとつとして、神経に及ぼす影響があったのではないか、とのことです。リンパ球が悪性の細胞になり、血液を巡り、神経に到達し、あのような症状が出てきたという可能性も考えられるのではないか…と。

以下が私の考えです。上記を踏まえると、一つの症状=一つの病気=一つの方法で治療→良くなる!という考え方で向き合うとなると、ものすごくしんどいです。身体や病気についての考え方が浅い私は、何をしても良くならないまーくんを見ていると胸がちぎれてしまいそうなくらい役立たずな自分を憎く思いました。その怒りははっきり言って不毛でしたが、何もわかっていなかったので仕方ありませんでした。

飼い主の役目として、愛犬を絶対に助けるということに躍起になっていましたが、人間のできることなんて限られていることを思い知りました。到底コントロールのできないことだと理解し、その上で愛犬にとってどんな人間でありたいかを示し続けるしかありませんでした。とても無力でした。しかしそんな中でも家族で何度も話し合い、最期まで全員でまーくんに寄り添い続ける努力ができてよかったです。

また、とてもいい動物病院に出会えたことも感謝しています。いろんなことを丁寧に説明してくれる専門家に出会えたならばとてもラッキーだと思います。

飼っている犬がまーくんと似たような症状だったり、似たようなお薬を検討していたりなど悩んでいる方に少しでも参考になるようなことが書けていたらいいなと思います。私自身もいろんな方の愛犬に対する愛情深い文章を読み、力を本当にたくさん頂きました。

もし何かありましたらコメントしていただくか、プロフィールから飛べるツイッターアカウントを通してDMをお送りいただければ、私が知ってる限りのことはお答えします。

最後に可愛いまーくんの画像載せましょうね。

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