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作品紹介 #020~#022


こちらでは、
能「羽衣」「船弁慶」「天鼓」を描いた作品を紹介していきます。
更に詳しく解説が知りたい方は、ぜひHPのほうでご覧になってみて下さい(ページ下部にLINKあります)


Hagoromo Celestial Maiden/
Noh Art #020



能「羽衣」より富士の高嶺と天女



風土記の羽衣伝説が題材となっています
舞台は静岡県三保半島にある三保松原。
海外でも多く上演されている、華やかでおめでたい演目です

「天の羽衣 浦風にたなびきたなびく 三保の松原 浮嶋が雲の 愛鷹山(あしたかやま)や冨士の高嶺」

(あまのはごろも うらかぜにたなびきたなびく みほのまつばら うきしまがくもの あしたかやまや ふじのたかね)

" 羽衣を浦風にたなびかせ、三保の松原、浮島が原と次第に高く上がり、愛鷹山や富士の高嶺も遥か下になってしまった "

羽衣を返してもらった天女が天上界へ帰ろうと、だんだんと高く登っていき、ついには霞に紛れて消えてしまう場面が書かれています。


Hunabenkei Shizuka Gozen/Noh Art #021




能「船弁慶」より
義経との別れを惜しみながら舞う静御前



#019と同じ演目で、前シテの静御前の姿を描きました

頭には" 静烏帽子 "を被り、
中には摺箔すりはくと呼ばれる、刺繍や織物ではなく接着剤により金銀の箔で模様が付けられた装束を着ています。
その上には紅入唐織いろいりからおりという、金銀糸やさまざまの色糸を使った小袖を着付けており、能装束の中でも最も豪華とされています。

「静は泣く泣く烏帽子直垂脱ぎ捨てて 涙に咽ぶ御別れ見る目も哀れなりけり」
(しずかはなくなくえぼしひたたれぬぎすてて なみだにむせぶおんわかれ みるめもあわれなりけり)

静は泣く泣く見送り、烏帽子と直垂を脱ぎ捨てて、別れを悲しんで咽び泣く有様は見る目も気の毒であったと、静が義経との別れを悲しんで咽び泣く場面の詞章より


Tenko (Drum of Heaven)/Noh Art #022




能「天鼓」より、鼓を叩く天鼓



古代中国の時代の空想の話とされています
天鼓とは天上で鳴る鼓、または七夕伝説で登場する牽牛の別称でもあるそうです

能面は「童子(どうじ)」という、不老不死の仙人や神性を帯びた少年の役を現している面を掛けます。 装束にも唐草や軍配のような形の唐団扇とううちわ唐花文からはなもんなど、中国に縁のある文様が使われています

天鼓の前にある道具は鞨鼓台かっこだいと呼ばれる作り物です
演目後半では秋の涼しさと同時に七夕の事も語られ、とても季節感の感じられる能です


「面白や時もげに 秋風楽なれや松の聲。柳葉を拂って月も涼しく 星もあひ逢ふ 空なれや」
(おもしろやときもげに しゅうふうらくなれやまつのこえ やなぎばをはらってつきもすずしく ほしもあひおふ そらなれや)

" 頃は秋風楽の秋である。
秋の風は柳の葉を吹き払い、月影も涼しくて、牽牛織女の逢う時である。"

下の花札のほうの背景には天の川と、呂水という川のほとりをイメージして波紋と詞章の中で出てくる紅葉が描かれています。



ここまで御覧いただきありがとうございました。

下のリンク先の作品紹介ページにて、

演目の詳しい内容や、登場人物、使用している面や能装束、縁のある史跡等について解説しています。宜しければぜひご覧下さい。

「Mizuraho」… https://mizuraho.eisui.space/

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