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マッチングアプリで損した話⑤過去を経ての現在、未来。

2ヶ月以上も更新がない連載で本当にすみません。。。
こんな体たらくでは読んでくださる方も少ないと思いますが、今こうしてこの文章を読んでくださっている方に感謝です。

今後は、もうちょっと定期的に更新される、はず、です。。。

【前回までのあらすじ】
人生二度目のマッチングアプリで出会った ちあき君との初デート!
彼が「聞きたいことがある」と、やけにかしこまって切り出した話題とは・・・!?

詳しく知りたい!最初から読みたい! という方はこちらからどうぞ↓

***

なんとなく、人の気配の少ない方向へと歩いていく私たち。
緊張した面持ちのちあき君が、ようやく切り出す。

「このアプリって、いつからやってる…?」

なんだ、そんなことか。

とは言い切れない。私はその時点でアプリを再開して1ヶ月ほどだったが、その前にもアプリを使っていたわけで、それが2、3ヶ月前という直近のことなのだ。

この場合、前回のことも含めて話した方がいいのだろうか?それとも言わなくていいのか?

瞬時にそう考えを巡らすが、全て洗いざらい話すことにした。どうせいつか元恋人の話題になるだろうし、元恋人とのエピソードに関しては聞いてほしい気持ちさえあったからだ。

「まだ1ヶ月も経ってないんだけど、実は秋頃にもアプリやってたばかりなんだよね。」

ちあき君の相槌を待たずに言葉を繋げる。

「10月ごろにアプリ登録して、すぐ彼氏ができたから退会したんだけど、結局その彼と1ヶ月くらいですぐに別れちゃったの。それで、落ち込む前に行動しなきゃもう一生動かないかもって思って、すぐにまた登録したんだよね。」

何を言っても言い訳したような後ろめたさが襲ってくる。ちあき君はこの話を聞いてどう思っただろう。切り替えの速さに引いた?そもそもチャラいと思ったかな?

しかし、ちあき君から返ってきたのは意外な返事だった。

「あー、そうなんだ。いや、俺もおんなじようなかんじなんだよね。」

えっ、そうなの?
嬉しさを感じる返事でもないはずだが、私は少し嬉しかった。

「おんなじようなって?」

「前にアプリやってて、いいかんじの人がいたんだけどなんだかんだでうまくいかなくなっちゃって。だから俺も再開組なんだ。」

”いいかんじの人”、”うまくいかない”。
そのワードから、付き合ってたわけではないんだろうなと察する。
付き合わないけどアプリを退会するくらいの関係。
それはつまり、体の繋がりが先にあったということなのだろうか。そうならば、ちあき君は誠実な人ではないのかもしれない。

まぁ、誠実っていうのはあくまで「私の定義する誠実」だけど。

それから、ちあき君は”いいかんじの人”との詳細を矢継ぎ早につづけた。
さっきの私と同様に、罪悪感を感じてるのかもしれない。

電話やデートを重ねて仲を深めたこと。告白する前の段階からお互いの想いが通じ合ってると感じたからアプリを退会したこと。けれど結局、「元カレと寄りを戻せそうなんだけどどう思う?」と相談され、その傲慢さに呆れて連絡を絶ったこと。

ちあき君の話はそういうことだった。

ちあき君は、結局元カレへ未練がある状態の女性に踊らされたのだと言い、しかもアプリをやっていた期間、他にも同じように元カレへの未練を抱えた女性ばかりとマッチングして嫌気がさしたと言った。

なるほど、私にアプリの利用期間を聞いたのは、すなわち元カレへの未練の有無を確認したいためだったのか。

「嫌だったら話さなくていいんだけど、えくぼちゃんは、どうして前の人と別れてしまったの?」

and youの法則でそう問われ、私も元恋人と別れた理由を話すことになった。

本当は「待ってました!」と言わんばかりに元恋人の配慮の無さについて饒舌に語りたかったが、なんとか思い留まる。

「ひと言で言うと、最初に抱いていた印象と実際に付き合ってからの印象が違いすぎて、ギャップに着いていけなかったんだよね。」

相手のことをちゃんと理解しないうちから付き合ってしまったのがよくなかったと思っていること、だから次は時間をかけてゆっくり恋愛したいと思っていることを伝えた。

そこからお互いに恋愛の難しさにため息をつきあった。

15時を過ぎ、公園も一周した。ずっと歩いていたので指先が冷えてきていた。

今日はそろそろかな。そう思い、私は解散に向けた言葉をこぼした。

「なんかもう全部見ちゃったね。」

「そうだねー。じゃあ移動しよっか。」

えっ!?移動!?

ちあき君はどこか近くの駅に移動して、もう少し一緒にいようと提案してきたのだった。
私はてっきり解散の流れだと思ったので驚いたが、すぐに同意していた。

もう少し、一緒にいたいという想いは私にもあったからだ。


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