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クリエーティブ・アイデア思考法の整理とまとめ

広告コピーってこう書くんだ!読本

思考法ではなく、コピーライティング本。良いコピーライティングをするには、他の人が気づかなかった視点や発見が必要で,その考え方は企画力と共通していると言う.谷山雅計さんの「広告コピーってこう書くんだ!読本」は,コピーライティングのバイブル的な1冊と言われている。ものすごくざっくり説明すると,商品のキャッチフレーズを考えるには,とにかくたくさんの切り口を考えて、そこから取捨選択していく必要があるということ。具体的には、最初の切り口を考える時は、自分の身の回りから歴史上の人物までさまざまな100人を思い浮かべて,その人と商品の関わりについて書くとやりやすい。ちなみに、コピーライティングに関する本の中でもう一つ印象的だったのは、「コピーライティングとアイデアの発想法」の中で語られていた、電通の磯島さんがベンツの大衆向け新車のキャッチフレーズ「今度のベンツは他人事じゃありません。」をつくったときの話。


ブレイクスルー ひらめきはロジックから生まれる

博報堂ケトルの木村さんの一冊。ひらめきはロジックから生まれるというタイトルが心強い。企画は、未来図(それがあるとどうなるか)と突破口(何が解決すべき課題なのか)、具体案(実際に何をするのか)の3要素から成り立っており、このいずれかから考えられると語っている。そして、いわゆるクリエーティブジャンプのあるアイデアは、連想、組み合わせ、類比、仮説、仮想、逆転に分類されると言う。


バズのツボ

書籍ではないが、バズマシーンこと栗林さんのWEB記事。あらゆるバズムービーを解析、バズを起こす要素を分類している。


コピーライティングシステム

こちらもWEBページの紹介。元電通コピーライターの銭谷侑さんによるコピーライティング手法の説明。TCC受賞作のような過去作品をEvernoteに書き溜めていき、その切り口ごとにタグ付けし、企画の際に参考にするというもの。


直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

Takramの田川欣哉さんが書いた「イノベーション・スキルセット」に紹介されて知った書籍で、今まで読んだ中で個人的にもっともしっくりきた。高度経済成長期は、現在のプロセスの効率向上のための「カイゼン思考」、2000年代では外資コンサルに代表される「戦略思考」、最近ではユーザーテストとワークショップを行うUI/UXデザイン的な「デザイン思考」と変遷してきて、今後、筆者が必要な考え方として主張するのが、個人の妄想をもとに具現化する「ビジョン思考」。考えてみれば、SonyだろうがAppleだろうが、画期的なアイデアの始まりは、ワークショップや会議の中で生まれたアイデアなどではなく、個人の頭の中に違いない。つねに「自分は何がしたいか」「もし○○が××だったらどうなるか」を手帳にメモし続け、貯蓄する習慣をつけるべきという話を見て、自分も最近始めることにした。


ジョブ理論

著者は、ハーバード大のクレイトン・M・クリステンセン教授。たとえば40代女性だからこの人はこの商品を買う可能性が高いという近年のマーケティングの考え方を批判している。ユーザー属性がユーザーに商品を買わせるのではなく、何らかの役割を果たすために買っているのであり、そこを考えなければならないという話が数百ページに渡って説明されている。どういう時に人は物を買うのか改めて定義していることは評価されるべきかも。


SHIFT:イノベーションの作法

USBメモリを発案した濱口秀司さんの連載記事をまとめた一冊。本書で印象的だったのは、さまざまな場面において前提となるバイアスを第4象限などで可視化し、それを逆転することを意識するという手法と、話し合いではなく、個人で考えきったアイデアの方が、洗練されているという話。他にも色々な内容が盛り込まれているが、濱口さん本人も人材教育の際に1から100まで説明すると学習効果が薄いと語るだけあり、本書は断片的な語り口が多いが、一読の価値あり。


一生仕事で困らない企画のメモ技(テク)

おもちゃクリエーターの高橋晋平さんの本。自分が「これほしいな」と思うアイデアを実現性問わず書き溜めていき、仕事で企画するときにそれを見返しながら発想する手法。「直感と論理をつなぐ思考法」と似ている。


UXデザインの教科書

仕事でアプリをつくることになり、UI/UXデザインの勉強をしようと思って手にとった一冊。実際に求めていた内容とは違ったのだけれど、よく目にするUXデザインが何のことなのか、やっと分かった。結論、UXデザインはアイデアの発想というよりは、ユーザーテストとプロトタイピングのビジネス・フレームワークのことらしい。アイデア思考法というよりは、ビジネスフローの話かも。


SPRINT

Googleファンド流のUXデザイン。新規事業開発部の全責任者を集め、ユーザーテストからプロトタイピングまでを5日間でやりきるというコンセプトで、発想法については特に目新しいことはなかったが、その有効性は確かに高そう。


アイデア大全

最後に紹介するのが,読書猿さんの「アイデア大全」。巷にあるほとんどの思考法のエッセンスが載っていると思う.この本は数十個の思考法が説明されていて本当にすごいと思う。一方で、情報量が多いが故に,何も考えずに読むと,結局どの方法を使えばいいのか見当がつきにくいかもしれない.


今回、戦略思考のような問題解決型ではなく、アイデアを出すための方法をまとめた。振り返ってみると、障害者の問題解決のような日常生活を送っていては出会えないような領域ではない普遍的なアイデアの源泉は、過去作品か自分の妄想のデータベースを地道につくり、それを分類していくことにあるような気がする。アレンジすれば、広告やプロダクトだけでなく、研究方面でも使えるかもしれない。

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