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ハマった「芸術カルチャー」を簡潔に紹介。

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  • 音楽の釈義

     ソウルミュージックにハマってから私はブラックミュージック独特の「うねるグルーヴ」に夢中になり、ソウルを始点として音楽の探求(ディグ)を続けている。『音楽の釈義』では、そんな探求の過程で得られた「音楽に対する私なりの解釈」を簡潔に書きながら、好きな音楽を紹介しようと思う。

最近の記事

音楽の釈義 #6 СОЮЗの宇宙瞑目

#6 СОЮЗの宇宙瞑目  『音楽の釈義』第六回はベラルーシのバンド、СОЮЗ(英SOYUZ / 和ソユーズ)。 ▼ SF世界×ブラジル音楽  'Мируз"を聞いてみよう。イントロはブラジル音楽の風合いを持つGt.。すぐにDr.と一緒にJazz Funk的フレーズを奏でる籠ったBa.が合流する。Ba.はIndie Rockのような埃っぽさがあり、弦振動の映像が浮かぶようなウッドベース然とした味わい深い音だ。これらの基盤となる音の上で、気の抜けたヴォーカルと神妙なシンセ、

    • 音楽の釈義 #5 Pino Palladinoの目盛り

      #5 Pino Palladinoの目盛り  『音楽の釈義』第五回はウェールズ出身のベーシスト、Pino Palladino。(画像右:Pino Palladino、左:Blake Mills) ▼奇抜な目盛り  "Chicken Grease"を聞いてみよう。クロック信号としてのハイハットを基準に弱拍にクラップ、弱拍の後に小刻みのキックが置かれる。Gt.は簡単なフレーズを繰り返すことでD'Angeloの甘美な歌声を際立てせている。そこにPino Palladinoのキャ

      • 音楽の釈義 #4 相対性理論のちぐはぐ

        #4 相対性理論のちぐはぐ  『音楽の釈義』第四回は日本の4ピースバンド、相対性理論。(2012年までの作品について) ▼相対性理論っぽい  "スマトラ警備隊"を聞いてみよう。出だしはBa.とDr.とGt.の斉奏のダイナミック。少しするとDr.は簡易的な基礎を築き、割と大きめで存在感のあるBa.が限られたピッチで動き出す。Gt.はだらしなく雑味を多く含んだ具合だ。以上の3ピースからなるバンドサウンドはどこか学園祭のライブにも近い即興感を残しながら、シンプルの中に行方知れず

        • 音楽の釈義 #3 石川晶とアフロ

          #3 石川晶とアフロ 『音楽の釈義』第三回は日本のジャズドラマー、石川晶。 ▼レアグルーヴ  1975年にオリジナルリリースされた石川晶とカウント・バッファローズのアルバム『GET UP!』が、ここ数年で80,000円〜179,800円(ヤフオク)のプレミアで落札された。ストリーミング主流の現代において再評価されている事実は、(流行という変動するシチュエーションの影響下にはない)石川晶のアフロビーツに対する造詣に基づくクロスオーヴァーサウンドの堅牢さを物語っている。レアグル

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          音楽の釈義 #2 Haircuts For Menの清新

          #2 Haircuts For Menの清新 『音楽の釈義』第二回はホノルル出身のビートメイカー、Haircuts For Men。 ▼BARBER BEATS  午前3時頃、Youtubeで音楽をディグっていると洗いのかかった(緑と紫の)サーモグラデーションをサムネイルにした3時間のBGM動画が出てきた。 ジャケットに惹かれ、すかさず再生するとスピリチュアルなアンビエントミュージックが始まった。くだらないチルBGMかと思い、期待もせず再生バーをいじった。その瞬間、予想し

          音楽の釈義 #2 Haircuts For Menの清新

          音楽の釈義 #1 Lonnie Liston Smithの涼

          #1 Lonnie Liston Smtithの涼 『音楽の釈義』第一回はキーボーディストのLonnie Liston Smith。 ▼涼のテクスチャ  "Expansions"を聞いてみよう。この曲はリリース15年後の90年代にクラブ音楽という文脈で評価されたそう。確かに繰り返しのビートがスラスラと脈動していて気持ち良い。しかし、私はクラブジャズで身体を揺らすのとは異なる別の欲求によって彼の音楽にハマったと内省している。  彼の曲を初めて聞いたとき、「涼しい」と感じた。こ

          音楽の釈義 #1 Lonnie Liston Smithの涼