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駅から徒歩10分の是非

今朝は結構な土砂降りだ。あー桜が完全に散っちゃうな…近所のひとたちの車にうちの桜の花びらがべったりついています。みなさんすみません。

この国のティーンエイジャーは傘をさすとかっこ悪さで死んでしまう生きものなので、子どもたちを学校まで送ってやる。わたしもいつもなら職場まで20分ぐらい歩くけど、今日は乗り換えて最寄りの駅まで地下鉄。

わが家はメリーランド州にあるけど、首都ワシントンD.C.までは通勤圏内だ。DCで働く人のほとんどが隣のバージニア州かメリーランド州からの越境通勤をしている。埼玉、千葉、神奈川から東京へ通勤するのによく似てるなと思ってちょっと嬉しい。

先日、DCに住んでいる同僚が、子どもが生まれるまでDCの公立学校の質がこんなに悪いとは思わなかったとこぼしていた。私立に通わせるにはとんでもなくお金がかかる、とも。私立だと1年に400万円ぐらいかかるはずだ。

アメリカでは、いやらしいほど直球で「不動産価格=治安=公立学校の質」だ。頭のいい子が入試を受けて行くマグネットスクールや科学系、芸術系のような特別プログラムがある学校以外は、みんな住んでいる地域の学校に行くしかない。もしくはバカ高い私立校に行く。お金がないけれど良い学区の公立校に子どもを通わせたい家族は、その学区に母子だけアパートを借りたりすることもあると聞いた。

18年前、娘が生まれる前に家を買わなければ、ということになった時、日本人のわたしは当然「駅近」物件にこだわった。駅に近いこと、スーパーに近いこと、大きい公園に近いことは譲れないと思っていた。近道をすれば駅まで10分強というのは通勤にとても便利でありがたい。特に春から初夏は花が咲き乱れていて、時には鹿や兎にも会えるお気に入りの近道だ(鹿には轢かれないように注意)。

しかし、公共交通機関に近いことは、この国で必ずしもいいことではない、ということが今なら分かる。公共交通機関へのアクセスが容易い、というのは、不特定多数の人が入って来やすいということでもあるのだった。実際、3年に1度ぐらいの周期でこの地域には窃盗団がやってくる。おそらく足がつきにくい地下鉄を利用しているのではないかとのことだった。よく考えてみたら、高級住宅地というのは、車でないと行けない不便な場所にある。Gated Communityと言って、入口に警備の人がいてよそ者は入れないところもある。

便利だけれど、高級住宅地と呼ぶにはほど遠いうちの学区は確かにいまいちである。高校のトイレには大麻のにおいが漂っていて、2年前には銃撃事件もあった。学区を変えるため引っ越しを考えたこともあったが、ママ友の「これがリアルな社会。色々な人がいて、全ては自分次第ということを子どものうちから知っておくのは悪いことではない」という言葉で思いとどまった。子どもたちの公立高校生活もあと2年。早くこの学区に関するもやもやから解放されたい。

老後は日本に住むという大きな夢があるので、時々日本の物件を眺めている。その時はやっぱり駅、スーパー、大きい公園が近くだといいなあ。あ、病院も、本屋も、いい喫茶店も…

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