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詩|都会について

大きなビルが 
空を貫くように立ち並ぶ 
都会の真ん中
十字架の形をした青空が見えた
空はとても遠くて そして小さかった

行き交い 途切れる事のない人と車の波
喧騒

ふと 街灯のてっぺんに
二羽のカラスたち
彼らは虎視眈々と 
誰かが 何かを落とすのを狙っている
今日生き残る事をかけて

アスファルトからの熱が 
どんどん体から水分を奪う 
喧騒
あっちからも こっちからも
あぁ この暑さは
どうやら気温だけのせいではなさそうだ 

都会の歴史は 人々の歩みでもある
良い暮らしを夢描いて
手を加えてきた人間の歴史
それ自体は 嫌いじゃない
発展の先
いろいろなものを享受して 
今の私があるのだけれど 

沈黙して アスファルトの大地に立ち並ぶビル街
地中深くコンクリートの杭を穿ち
風に なびきもせず
頑なに耐えて立ち続ける
その姿は
風にそよぎ 葉を優しく揺らすポプラの木とは やはり違う
喧騒
木々の葉擦れの音とも やはり違う

にこやかな笑顔と 時々のするどい視線
大きな笑い声と 時々の怒鳴り声と
誰かのハイヒールの音 溜め息
あらゆるものが交差する 都会の真ん中
どこか空っぽで 寂しい
対立を選んだのは 人間でしたか
頬を撫でてくれるそよ風と 
虫や鳥のさえずり
日を遮る 新緑のカーテンが恋しくなる

喧騒

都会の真ん中
空はとても遠かった
生きてはいけるけれど
ここじゃ わたしはうまく息が吸えない


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