絵恋

感描家(かんかくか) ー感じるままに、感じたままに。 LIFEWORK:描くこと・書く…

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感描家(かんかくか) ー感じるままに、感じたままに。 LIFEWORK:描くこと・書くこと。伝えること・届けること。 詩は主に「生きること」をテーマに言葉を紡いでいます。 更新は心が動いたとき。その他は気まぐれで。

最近の記事

詩|うつくしいひと

自分自身から 外見 地位や 肩書き 名誉 財産 かざりつけるもののいっさいを 一度 全て 取り払ったとして それでも うつくしいひとは 一言、そして二言 目を見て ことばを交わせば わかってしまう においたつ魅力 調和のとれた 心地良さ 何がどう他のひとと違うのか、 どうしても上手く言い表せないのだけれど ことば そして まなざしや しぐさに あらわれる 「らしさ」という片鱗 それは 大きな岩が長い長い年月をかけ 上流から 下流へと 旅をするその過程で ごつご

    • 短編小説|タイム・トゥ・セイ・グッバイ

      「今日天気いいだろ。な、海行かねぇ? チャリでさ」  日曜日の朝午前10時過ぎ。人を傍若無人なチャイムでたたき起こして、信じがたい事にミキオはいきなりそう切り出した。  海? 自転車?  寝起きのパジャマ姿で話を聞いた私は、訳が分からず、眉をひそめてもう一度彼の顔を見た。  が、残念ながら彼の顔に、悪ふざけという感は浮かんでこない。  どうやら本気で、自転車で海まで行こうと考えているらしかった。 「ここからY浜なんてすぐだって。3時間ちょいで行ける。体なまってんだろ? 絶対い

      • 詩 | 独白

        わからなくて。 何をみちしるべに どこへ向かうべきか わからなくて。 この痛みがなんのためにあるのか 繰り返した先に何かがみつかるのか わからなくて。 可能性がなんなのか 本当は自分が何者であるのか わからなくて。 自分が本当は何をしたいのか わからない。 わからないふりをしているのかもしれないけれど   ただ泣きたい ひどく疲れた。 ゆるされたい このまま 生きていくことを。

        • 詩 | ペンネーム

          私は怖がりだから 本当の自分の言葉は 現実の知り合いには あまり言えずにいる やっぱり 弱さなのかな だけど 「私」という人間のフィルターを通して 言葉を読んでもらうのも何か違っていて ペンネームは、一旦まっさらにしてくれる 私自身を 分けておかないと なんだか落ち着かない この角度から見た私 逆の角度から見た私 本当は全部全部一つなのに 一面ずつ 知ってほしい すべてをさらけ出すには なんだか気恥ずかしくって どうぞ 一つずつ知っていって わかりにくいけれど そ

        詩|うつくしいひと

          詩 | お金はタイムマシーン

          お金はタイムマシーン この世にお金が無かったら 食べ物が必要な時には  育てるか、取りに行くとか 移動が必要な時には  足を使って歩くとか  全部全部、自分でやらなくちゃいけない 道具や 電子機器も 一から作る技術なんて   殆ど誰も持ち合わせていない お金があるから  欲しいものと 交換できて お金があるから 作ってくれた誰かと繋がり 生きていける それは、便利なことだ とてもありがたいこと 今、こうして文章を書きながら 目の前にあるものを見渡して コーヒーの入ったマグ

          詩 | お金はタイムマシーン

          詩|人生の、晴れと雨

          晴天続きの毎日 久々に雨が降って 翌日 ふと庭に目をやると 黒土から小さな植物たちが 空に向かって懸命に短い葉を伸ばしていた 雨で一気に芽吹いたのだろう あちこちから ぽつぽつと 明るい緑色 雑草の葉だけれど なんだか微笑ましい 「恵みの雨か」 そう思って、ふと気づく 晴れの日ばかりでは どうやら植物も枯れてしまうらしい 雨もまた 彼らにとって いのちを繋ぐために必要なのだ そう 植物には 晴れと雨とが 両方が必要で 雨は 時に植物を、大きく成長させてくれるもの そ

          詩|人生の、晴れと雨

          詩|都会について

          大きなビルが  空を貫くように立ち並ぶ  都会の真ん中 十字架の形をした青空が見えた 空はとても遠くて そして小さかった 行き交い 途切れる事のない人と車の波 喧騒 ふと 街灯のてっぺんに 二羽のカラスたち 彼らは虎視眈々と  誰かが 何かを落とすのを狙っている 今日生き残る事をかけて アスファルトからの熱が  どんどん体から水分を奪う  喧騒 あっちからも こっちからも あぁ この暑さは どうやら気温だけのせいではなさそうだ  都会の歴史は 人々の歩みでもある 良い

          詩|都会について

          詩|たかが、言葉。

          たかが言葉に、立ち直れないほど傷つくことがある たかが言葉に、追い詰められて絶望することがある たかが言葉に、自分はひとりぼっちだと孤独を感じることがある たかが言葉に、起き上がれないくらいクタクタに疲れきることがある ・・・だけど たかが言葉に、ふわりと空気が和んで嬉しくなることがある たかが言葉に、寄り添われて安心できることがある たかが言葉に、もう一度頑張ってみようと励まされることがある たかが言葉に、泣いちゃうくらい感動することがある たかが言葉に、また立ち上がっ

          詩|たかが、言葉。

          詩|欠ける

          多分 欠けていなかったら、 書こうと思えていない まんまるであることは羨ましいけど 欠けていて 不器用で 満たされないところがあるからこそ 表現できる世界がある 欠けているからこそ 同じ視点を知る人の 気持ちが少しわかるところもあるし 欠けているからこそ 補ってくれる人の助けを 何よりありがたく感じられて 欠けているからこそ 満たされた時の喜びで心が震えるくらい感動できる そう考えると 欠けていることって ちっとも 悪いことじゃないね 共鳴してくれる誰かは必ず居る 世

          詩|欠ける

          詩|夜はやさしい

          こころがなんとなくざわざわする夜 落ち着かず スマホを開く 光の波の中に 何も見つけられず 真っ黒 思いだしたように もう一度 光の波へ また 真っ黒 そんな夜 ただただ 時間だけが無駄だ やめてしまえばいいのに 心の中の焦燥感が 何度も 反復させる 現実と幻の 境界 多分理由はわかっていて でも気づかないふりをしてる 気づくと結構面倒だから 向き合うパワーが湧いてくるまでは 堕落していたいだけ わかっている 感情には波があって 一度眠りに落ちてしまえば 平坦になれる

          詩|夜はやさしい

          詩|「何者ですか?」

          「あなたは何者ですか?」 無邪気にそう 私に尋ねる人がいる そんな時 私はいつも 答えるべき言葉が見つからない 私は  女性であり 二児の母であり 会社員であり ・・・ そんなことは 特徴や肩書き。 私の本質ではなく 私は 絵や文章をかくのが好きで だけど人より少し生きるのが下手で それでも真面目で一生懸命  人生を少しだけ良くしたいと もがいている ただの一人 あぁ  それもまた 嗜好や想いと行動であって やはりおそらく 私の本質ではないのだろう コギト エルゴ

          詩|「何者ですか?」

          詩|何はなくとも

          何はなくとも 今が幸せ ふとそんな気持ちで 心が満たされる時がある。 あたたかい家に住み 清潔な服を着て 毎日ご飯を食べ 日々少しずつ大きくなる 可愛い子供たち 話を聞いてくれる夫 元気な両親 そして何年かに一回でも、家族で旅行に出かけられる 両の目で見て色を知り 話や音楽を聞ける耳を持ち 想いを表現できる手と口があり どこへでも歩いて行ける足がある 毎日の出来事に 考えを巡らせる脳を持ち 喜怒哀楽  感じられる心がある 私は十分持っている これ以上何を望むことがある

          詩|何はなくとも

          散文|愛について

          愛ってさ 不思議だね だって見えないのに確かにあるんだよ。ここに。 愛は、「好き」「嬉しい」「楽しい」 想うと胸がじんわりとあたたかくなるような。 でもさ、 誰かを好きになって苦しくなることもまた、愛なのかな。 ってことは 「苦しい」「悲しい」っていうことも、愛なのかもしれないね。 核になる孤独と、孤独を満たす、液体みたいなもの。 私とあなたは「個」で「孤」だけれど 愛があるから、 つながり 触れることができる 愛って「当たり前」の中にあるもの。 だから無くならないと、

          散文|愛について

          絵本|王さまの こころをさがして!

           作:絵恋  むかしむかし あるところに、バスティア王国という美しい国がありました。  自然豊かな国で、大きなお城が街の真ん中にあります。  人びとは皆、仲良く暮らしていました。人だけではありません。鳥や、魚や、動物、虫たち・・・たくさんの生き物も、仲良く暮らしていたのです。  ですが、最近この国の王さまは、戦争ばかり。森は焼けて、たくさんの動物が住み家をなくし、国は、少しずつ、元気をなくしていきました。  王さまはどうしてしまったのでしょう。  それは誰にもわかりません

          絵本|王さまの こころをさがして!