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吉田 博展_2021_02

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皆さん、吉田 博という人名を見て、「あ〜、あの吉田氏」となりましたか。

私は今回も吉田氏がどんな作家でどんな作品を残してきたか存じ上げませんでした。
(どんな人で何をしていたかをざっくり知りたい方はこちらから。)

知ったきっかけは美術手帖さんのツイートで、「ダイアナ妃も愛した木版画家」という一文と添付されていた作品画像のグラデーション。

これほど滑らかに色の移ろいを木版で表現できるのか、他の作品も見てた〜い、ということで観に行った展示に関する個人的な記録です。

展示全体

膨大な作品数。200点弱はあったみたいです。ほとんどが個人蔵なので、ここまで一同に観られるのは贅沢かもしれません。

最後の方はペースを早めて見たけれど、見終わるまで2時間半はかかりました。試される背筋と足腰。

年代、シリーズ、描かれている対象でくくられていて、所々にあるキャプションや映像から、吉田氏のパワフルな人物像がわかります。

推しの作品

毎度悩ましい。今回はこれ。

「雲海 鳳凰山」54.5×82.7cm

3章-雲海 鳳凰山

この作品の魅力を簡単に2つ記録させてください。

1. サイズ

他の作品のサイズはおおよそ20cm~40cmに対して、この作品はサイズが大きい。迫力が違います。

特大の木版は巨大な木がないとまず作れないこと。

そして特大サイズの紙の場合、摺る時の紙の収縮率も大きくなるため、線や色にずれが生じやすく、高い技術が必要になるとのこと。

技術と執念の結晶作品。

2. 色と配置

豊かな色の表現は吉田氏の作品全般に言えるのですが、個人的に特にこの作品の色の配置が推しです。

上から1/3部分の雲の影、太陽の当たり具合、中央の雲海のもや、そして下の山の暗い色で作品全体を締めている感じがいいのかなあ。

おまけ​

相変わらず「おまけ」というタイトルでトピックを3つも話しています、ごめん。

1. 山!山!山!

吉田氏は「山の画家」と呼ばれるほど、風景作品の中でも山を対象にした作品が多いらしいです。

山に囲まれると落ち着く人間としては、季節や光によって移ろう山の表情を捉えた作品が多くて、グッと来ました。

2. 水の描写
山も良いけれど、水の描写も良いのでぜひ見てほしい…。

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「溪流」 54.5×82.8cm(これも大きい)

水面の色彩の豊かさをさることながら、泡の部分の描写の複雑さたるや。自分が彫師だったら意識が飛びそう。

吉田氏はこの作品を作るに当たり、根を詰めすぎて歯を痛めたらしいです。執念。

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「ナイヤガラ瀑布」 25.1×37.2 cm

この作品の迫力のある水飛沫の表現も良い。

3. 美術館について

東京都美術館って大きな箱だよね!

会場も広いし作品量も多いので、疲れた時に少し休憩できる椅子が少なくて大変かもしれないです。お手洗いの近くにしか自由に座れる場所がなかったと思う。

あと、ここ最近の企画展には珍しく、事前予約・日時指定式ではなかったです。


たくさんの人に来てほしいんだね。人の多さが気になる人は、念の為、平日か土日の午前を狙った方がいいかもしれません。

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膨大な作品数のおかげで吉田ワールドにどっぷり浸かれました。

これで、「吉田博」という文字列を見かけた際に、あ〜あの吉田氏ねって判別できるね。

わかることが増えるって楽しいね!

#美術 #美術展 #美術館 #木版 #吉田博 #東京都美術館

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