受験までに立ちはだかる「壁」と乗り越え方

琉球大学法科大学院で知的財産法をご担当されている講師の先生のお招きを受け、昨日、同ゼミのゲストスピーカーとして「企業法務の仕事」と「社会人と司法試験(予備試験)の勉強の両立」をテーマに話をする機会を頂きました。

コロナ禍でなければ大好きな沖縄に行って、初の琉球大学訪問ができたのですが、Zoomでの参加となりました。

まあ、自分がまだ最終合格者でないにも拘らず、こうした機会にお呼び頂けるだけで大変ありがたいことです。

特に後者のテーマについて、学生の方々から凄く良い質問を幾つか頂きました。
そうした質問に対する回答内容のうち、自分で(回答しておきながら)あまり意識していなかったのが表題の項目です。

この点は自分自身も苦労してきた部分であり、今でも解決されているかはわかりませんが(笑)、頭の中の整理がてら纏めておきたいと思います。

第一の壁 〜インプットの段階で理解できない項目がある

細かい知識や論点にも拘らず、気になって先に進めないことがあるでしょう。

ただ、木を見て森を見ずの言葉があるとおり、いずれの科目も有機的に関連しているので、なるべく早い段階で全体的な理解をした方が良いです。後で振り返って取るに足りない悩みと気づく場合がありますし、全体を眺めた後、時間が経つことで理解が定着する部分もあります。

第二の壁 〜短答の問題が解けない

個人差はありますが、その設問形式や分量に圧倒され生じる「イヤイヤ期」が障害になる場面があります。

論文の短文問題でよく問われる基本的知識が、短答の正誤を判断するのに役立ちますし、(苦手な肢を中心に)繰り返し過去問を解いて量をこなすことが有効と考えてます。

ここで気をつけたいのが、肢の表現を覚えるのではなく根拠をもって理解するということです。また、個人的には肢別本はこなす時間等はないので、過去問の繰り返しで十分だと思います。

第三の壁 〜論文の書き方がわからない

法律試験を受ける以前の部分で躓いてることもあるので、以下のいずれかの症状に当たるかを分析して早い時期に解消する必要があります。

①そもそも文章を書くことに慣れてない
②文章は書けても法律試験に特化した表現ができない
③科目毎の答案の「型」に慣れていない


自分はやったことないですが、写経をして身体で覚えたりするのはありですし、合格者や勉強仲間に答案を見てもらう等、第三者の視点も入れて地道に改善していくしかないと思います。科目毎の「型」は、過去問の参考答案の形式を参考にすることができるので、改善は比較的容易です。

もちろん本番や答練の段階で完璧な表現を目指している余裕なんてないです。人に伝わる程度の表現であれば点は入ってきます。

それでも、本番でも耐えられるよう、日頃から主語動詞、ワンセンテンスワンテーマを意識して簡潔な表現を心掛けて実践するのが重要です。

あと、最近Twitterとかでも、論証カンニングといった手法が挙げられていて、私自身は実践していないのですが、壁を乗り越える方法として参考になると思います。

第四の壁 〜論文は書けても合格点に達する内容にならない

私を含めた受験生が乗り越えるのに一番時間がかかる壁だと思います。
この点は多くの講師の方も仰っていますが、大体以下の項目を分析するのが重要なのではないかと考えます。

①そもそも設問や誘導、事実関係の把握が十分でなかったか
②特定の事実から法律の要件検討や論証を導くことができなかったか
③論点は知っているが理解が不十分であったか
④論点は理解しているが表現にするのに慣れていないか
⑤当てはめに使える事実を拾い忘れたか
⑥思い込みで知ってる論点に引きずられてしまったか


それぞれの項目の乗り越え方としては・・・
①について、前回の記事お伝えしたとおり、問いに答える+事案の把握を誤らないことは重要なので、最初に設問を読み、重要な事実にはマーカーや記号をつけるといった工夫をします。
②と③について、条文の趣旨や問題点が生じる理由を理解しながら、典型的な具体例との結びつきを押さえるようにします。
④について、覚えにくい規範や論証は人それぞれですが、自分で手を動かしたり声に出す等、身体に染み込ませる必要があります。
⑤について、過去問を一定以上こなすと当てはめに使えそうな事情とノイズの区別ができます。前者について特定の色のマークを引いたり、記号をつけるといった工夫をすることで事実の拾い落としを防いでました。また、マークや記号のつかない空白部分に重要な事実がないか最終確認をして問題に取り組みました。

以上の項目を心がけながら、論文でいえばまず旧司に出てくるような重要短文事例問題(問研や重問等)を一定量こなしていけば、少しずつ改善していくと思います。

社会人なりに限られた時間内で勉強していたこともあり、特に「壁」の乗り越え方は情報を収集して意識していました。

優秀な方は独自の工夫や対策をしているかもしれませんが、受験勉強時の経験に基づき最低限共通していそうなものを挙げましたので、少しでもご参考にしていただければ幸いです。

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