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EMILY WEEK 4周年記念 婦人科専門医×ブランドコンセプター対談 月経、妊娠、更年期。「女性の一生」を心地よい リズムにするためのリプロダクティブヘルス。

2017年9月の誕生以来、生理週間を軸に、女性のバイオリズムに寄り添うライフデザインを提案してきた「EMILY WEEK(エミリーウィーク)」。
ブランド設立4周年を迎え、コンセプトを刷新。より多くの女性の体の変化に向き合うため、これまでの30代に向けたアンダーウェアの展開から、ティーン、マタニティ、ミドルエイジまでラインナップを拡大します。

今回のリニューアルを記念して、生理、妊娠、更年期など「女性の体の一生の変化」をテーマに、産婦人科医・竹元葉先生とブランドコンセプター・柿沼あき子との対談を実施。

それぞれ医療とファッションの立場から、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)に関わるふたりが、自分の心身に主体的に関わることについて語り合いました。

女性の「365日」から、 「一生」に向き合うブランドへ

柿沼あき子(以下、柿沼):初めまして。EMILY WEEKはファッションの観点から、女性のリプロダクティブヘルス(女性の性と健康)についてアプローチしてきたブランドです。生理期間を軸に4週間のバイオリズムに沿って、「Reset」、「Active」、「Neutral」、「Balance」というテーマを設定。それぞれの周期に合わせて、気持ちよく過ごせるデザインや素材のアンダーウェア、アロマなどのアイテムを提案してきました。

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以前より、女性の体にまつわる悩みが共有されやすくなってきた社会的な状況を受け、生理週間だけでなく、「一生」に視野を広げて、女性の体の変化が起こるタイミングをサポートするアンダーウェアを用意することに。今日は産婦人科専門医である竹元先生にお話を伺えること嬉しく思います。

竹元葉先生(以下、竹元):こちらこそ!弊院「sowaka women’s health clinic」も、思春期から老年期まで、幅広いライフステージにおける「身近なかかりつけ医」となるために開設しました。日々、自分の心身の変化に主体的に関わる女性がひとりでも増えてくれたらと思って診療をしています。

柿沼:EMILY WEEKの事業を考案した背景に、新卒で入社した会社で忙しく働きすぎてしまい、生活のリズムが崩れた結果、毎月の生理痛が重くなったという経験がありました。それ以前、小中高の頃もPMS(月経前症候群)がつらかったんです。もっと自分の体について知識があったり、気軽に婦人科に行けたりしていたら、対処できたことも多かったのかもしれません。現在私は30代、これから年を重ねて迎える更年期に対して、今から知っておいた方がいいことがあるような気がしていて…。

竹元:私も学生時代は、よほど困ったことがない限り、婦人科には行きたくないと思っていました。保守的な学校で育ち、自分の性や体についてあまり考えることがなかったから。でも、医者になっていろいろと勉強するなかで、痛みやつらさを「あって当たり前」と我慢しなくてもいいと感じるようになったんです。妊娠を考えたり、病気になってから初めて婦人科にかかるのではなくて、その前の段階でも、気になることがあったら気軽に相談してもらいたいですね。

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10代は生理不順が続くことも

柿沼:まずは、思春期における女性の体の変化について教えていただけますか?

竹元:思春期というのは、初潮が来て、生理の周期が安定してくるまでの間を指します。卵巣が機能を始め、女性ホルモンが少しずつ働きだす時期で、体が丸みを帯びてきたり、胸が出てきたり、毛が生え揃ってきたりと、体が大きく変化していきます。とはいえ、それまで0だった女性ホルモンが急に100になるというわけではありません。ホルモンバランスが落ち着くまで数年をかけながら、徐々に女性の体として整ってきます。ですから、10代のうちは生理不順が続く方もいるなど、ホルモンの出方によって、生理をめぐる状況が人によって異なります。

柿沼:私は小・中学生の頃、生理のときに重めの腹痛や、失神するほどの過呼吸になることがありました。生理が始まる日は、目の前が真っ白になったり、音が聞こえなくなって冷や汗がでてきたりすることも。これは精神的なものだったかもしれません。

竹元:生理が始まった頃というのは、子宮も卵巣も未発達のため、経血を外に排出する際に体への負担が大きかったのかもしれませんね。それから過呼吸については、生理痛や精神的なPMS症状から生じる場合があります。思春期は、まだ生理の状態が整わなくて当然の時期。ですが、日常生活に支障が出るほどのつらさがあったら、若年層の方にも婦人科を受診してもらいたいですね。治療のための選択肢を医師から提示できると思います。弊院でも中高生の患者さんが増えてきました。親世代も含め、婦人科医療に対する理解が少しずつ深まってきたからかもしれません。

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ホルモンバランスが左右する「PMS」

柿沼:最近は、生理痛だけでなく、PMSも広く知られるようになってきましたね。

竹元:PMSとは、生理が始まる3〜10日前から起こる不快感のこと。頭痛、乳房や下腹部の張りといった身体的な症状と、イライラ、気分が落ち込むなどの心の症状があり、さらにそれが混在したりします。なかなか一面的に語れないものです。

柿沼:そもそもPMSはどういう仕組みで起こるのでしょうか?

竹元:女性の体ではおよそ月に1回の周期で、卵胞期、排卵、黄体期、月経といった一連の流れが起こっています。その間、妊娠に備え卵子を育て、子宮内膜を着床しやすい状態に整えるために、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2種類の女性ホルモンが分泌されています。ホルモンがアップダウンすると心身に影響を受けますが、PMSはこの周期の後半、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが急激に低下するときに起こる症状だと言われています。

柿沼:PMSや生理痛への治療法としてはどんなものがあるのでしょうか?

竹元:病院では痛み止め、低用量ピル、漢方などを処方されることが多いですね。ピルを服用すると排卵が抑えられるとともに、痛みの原因物質が発現すると言われている子宮内膜も薄く保たれるため、生理痛が軽減。また、生理前の急激な女性ホルモンの低下もなくなるため、PMS症状も和らぎます。体質に合うものが見つかれば、漢方だけでも十分楽に生活できる方もいらっしゃいます。医師と相談しつつ、自分に合った治療法を探すのがベストでしょう。

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女性の人生設計を支える ヘルスリテラシー

柿沼:4年前、自分と同じ30代をメインターゲットとしてEMILY WEEKを立ち上げた際、同世代の女性たちが手がける、女性の心身や健康に注目するメディアやブランドが同時多発的に誕生していたんですね。これは1985年に制定された男女雇用機会均等法などが浸透してきて、女性が男性と同じように働くようになった結果、女性の体に無理や不都合が生じていることも関係しているのかもしれないと思いました。30代など、働き盛り世代の女性のリプロダクティブ・ヘルスについて臨床の現場で感じられていることはありますか?

竹元:クリニックに寄せられるお悩みで多いのは「生理痛、PMS、生理不順」の3つ。これらの症状は、子宮や卵巣の病気が原因となっているケースに加え、働き過ぎによる心身の疲労やストレスによって重くなっているケースもあるように感じます。また、時代の変化にともない、出産回数が減少したことによって、生涯における生理の回数が増えています。そもそも、生理にまつわる不調を感じる機会が増えているのでしょう。それからこの時代で一番の気がかりはやはり、妊娠のタイミングとの兼ね合いですね。子どもが欲しいと思っていたけれど忙しく仕事をしていて、気づけば年齢を重ねていて、妊娠が難しくなっていたというケースもあります。人生設計のためにも、ヘルスリテラシーを高めることは重要だと感じます。一方、自分の人生の展望を考えて、生理を主体的にコントロールしようとする女性が少しずつ増えています。生理というのは、究極を言うと妊娠をするための仕組み。妊娠を望まないときはピルを服用して、生理のつらさを我慢しないで日常生活を送るという選択肢をとる方もいらっしゃいます。

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メカニズムを知ることで、 想像力を育む

竹元:閉経については、日本人は50歳前後で迎える方が多く、閉経の前後の5年間を更年期と言います。この時期は卵巣の機能が低下し、卵胞ホルモンの分泌が急激に減少することでホルモンのバランスが崩れ、心身にさまざまな不調があらわれる人もいます。不調というと、怖くて避けたいというイメージがあると思うのですが、更年期自体を避けることはできません。加齢によって卵巣が機能を終えていくので、生物学的に卵巣からホルモンが出なくなるのは変えられないことなんですね。ただ、人は「なんだかわからないけど、具合が悪い」というのが、一番不安が大きくなるもの。そのせいで鬱状態になったり、精神的に悪循環にはまってしまうことがあります。ですから、更年期で起こりうることを、前もって知っておくことが何より大事なのかなと思っています。

柿沼:心構えが重要なんですね。思春期と同じように更年期も、人生をめぐる状況は人によってさまざまなんだと実感します。

竹元:はい、個人差が非常に大きいものです。先ほどお伝えした、閉経を迎える時期にしてもあくまで平均値。30代後半から更年期の症状が出てくる場合もあるし、50代でも体調に変化がないという人もいます。生理が始まる時期が遅い方ももちろんいます。18歳を過ぎても初潮が来ないことは原発性無月経と呼び、先天性の膣や子宮の構造が関係していることもあります。一方、生理が3ヶ月以上停止している状態を続発性無月経と呼び、こちらはホルモンバランスの乱れや何らかの病気が関係していることもあるため、婦人科の受診をおすすめしたいです。

柿沼:女性の性や健康についての話題がオープンにできるようになってきたのはいいことだと思う反面、互いの体質や症状に違いがあるのも分かってきて、女性同士であっても悩みが伝わりづらいことに気づきました。私は生理が重くて悩んできましたが、生理が来なくて悩んでいる人もいます。

一括りにまとめることのできない女性の心身に対して、どう向き合っていけばいいのかと迷うこともあって…。ただ、こうして生理の起こるメカニズムやホルモンバランスの仕組みを知ることで、例外を含め、それぞれの女性の体に起こりうることを想像するのが大事なんだと感じます。

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自分にとって心地よいケアや グッズを活用して

柿沼:EMILY WEEKはファッションブランドなので医療的な効果・効能はありませんが、マインド面において生理にまつわるブルーな気持ちを、デザインや気持ちのいい素材を通して少しでもやわらげることができたらと思っています。今回マタニティラインを新設しようと思ったのも、妊娠期間中もおしゃれなブラやショーツを身に付けたいというリクエストがあったからでした。

竹元:先ほどストレスが生理の症状を重くするという話をしたように、マインド面が上向くことが、体調にポジティブに働くこともあるのではないかと個人的には思います。体がつらいときは医療はもちろん、自分がハッピーな気持ちで過ごせるセルフケアがあるなら、上手に取り入れた方がいいのではないでしょうか。ちなみに、私が産婦人科医として気になるマタニティアイテムは腹帯。妊婦さんのお腹に巻くものとして日本では昔からある習慣ですが、お腹が大きくなって子宮が下がってきたところを支える、実は理にかなったものなんです。EMILY WEEKからおしゃれな腹帯が出たら素敵だなと思いました(笑)。今は吸水ショーツが話題ですが、そうやって古今東西いろんな便利アイテムを組み合わせていくのもいいですね。

柿沼:腹帯…、それは発想になかったです!これからEMILY WEEK は女性の体の変化とそれぞれの選択を、心地よいアイテムでサポートしていくブランドでありたいと思っています。最後に、読者に向けて竹元先生からメッセージをいただけますか?

竹元:やっぱり、何か我慢をしながら生きなくてもいいんだよって思います。診療していて、生理の痛みもそうですが、妊娠・出産に関する世間からのプレッシャーなども、自分の中に押し込めていらっしゃる方も少なくないように感じます。社会全体がもう少し個人の選択を尊重できるようになるといいですが、ご自身のライフプランについて展望があれば、産婦人科の観点からサポートしていきたいですね。そして、何より怖いのは自分に無関心であること。専門医からみてもかなり心配な健康状態であっても、本人がつらい状態に慣れてしまって「全然、大丈夫」という感じの方もいらっしゃいます。まずは自分自身と毎日の生活に興味を持つこと。それが自分を大切にすることにつながっていくのではないでしょうか。

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Organic Cotton ブラ for RESET(ユーカリ)/ Organic Cotton サニタリーショーツ for RESET(ユーカリ)

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【吸水ショーツ / ティーン】TINY/Organic Cotton Eco サニタリーショーツ

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▲マタニティ向け新シリーズ「for MOM」(2021年12月リリース予定)

Writing:皆本 類

竹元葉:
産婦人科専門医/医学博士/女性ヘルスケアアドバイザー/妊産婦食アドバイザー/ガスケアプローチ認定アドバイザー。順天堂大学医学部卒、sowakawomen’s health clinic 院長。現代女性の健康意識改善に注力。気軽に相談できる医師をモットーに活動中。
柿沼 あき子:
JOURNAL STANDRDやrelumeなどのブランド販促を担当後、2016年にベイクルーズの社内新規事業として兼ねてより構想していた「EMILY WEEK(エミリーウィーク)」を提案し、1年間の準備期間を経て2017年9月に事業化。現在はEMILY WEEKのコンセプターとして商品企画から販促までブランド運営に網羅的に携わっている。

※こちらの対談は、BAYCREW'S STOREで公開している特集の転載になります。EMILY WEEK 店頭では同内容を掲載したタブロイド誌を配布中です。

<BRAND CONCEPT>
EMILY WEEK(エミリーウィーク)
日常を、心地よいリズムに。
EMILY WEEKは、女性の体の変化とそれぞれの選択を、心地よいアイテムでサポートします。

<EMILY WEEK 店舗情報>

ONLINE STORE:
https://baycrews.jp/brand/detail/emilyweek

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