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「ボクは嫉妬しない」という人について

最近SNSでは以下のような言動をとる人がよくいる気がする。

無能な人が嫉妬で有能な人を潰していくのが許せない。

なるほど、それは確かにごもっともだとは思うが、そこに話をかけたのかこういう言いがかりをする人もちらほら見る気がする。

ボクは嫉妬という感情が理解できないくらいには他人に嫉妬していないけど、ボクが有能だから、幸せだから、etcetcetc…、無能で不幸なあいつらは嫉妬してボクの足元を掬おうとしてくるんだ。醜悪だからあいつらいなくなってくれないかな?

それが「ボク」にとって事実ならお気の毒様としか言いようがない。が、実情は「ボク」に疚しいことがあって「無能なあいつら」がそれを注意してきたのを「ボク」が「嫉妬」と吐き捨てているだけ…ということが昔から日本語圏インターネットではままあるようだ。こういう場では大っぴらに書き散らすべきではないとは思うが、昔から2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のネットウォッチ板(通称ヲチ板)で「アイドル」(略称$)とか「踊り子」と呼ばれてきたウォッチ対象の一部にそういうことがよく見られたものだ。
自分が見てきたものの中で特に酷かったのが以下の実例である。

(以下登場人物は全員一般人なので、実名はもちろん伏せて一部ボカシを入れる)
まだテキストサイトに代わってブログが台頭し始めてきたころのお話。
オフラインではある東京都内の医療機関に助手として勤め、オンラインでは自作の音楽を公開していたある女が、音楽つながりである仏教の宗派の僧侶見習い(地方在住)と知り合った。僧侶の方は彼女に入れ上げて上京までし、その後結婚までしてしまう。(彼の宗派は確か聖職者の妻帯が認められていたようだ)
この僧侶の男と結婚相手の女ともども、それ以前からネットでの悪行が散々語られてきたという曲者ではあった(詳しくは彼らを特定できた方のみにてそれぞれお調べしていただきたい)。が、さらに驚くべきことに、この男は僧衣を着た姿での女とのキスのセルフィーや自身がすっぽんぽんの入浴写真を自分のWebサイトにアップロードしたのだ。
これには勿論宗派の関係者から「聖職者として許されるべからざる行為」といった批判が飛んできた。男の方も手前勝手な理屈を並べて批判に応戦していたが、これに輪をかけて悲惨なリプライを批判者に投げつけたのが女の方だった。

「どう見てもあなたたちが私たちを羨ましがっているとしか思えないのですが」
「他人の結婚に対して祝意を表明するのが下手な人なのかな?他人の喜びを自分の喜びのように感じられないあなたたちは、心身共に醜く廃れてゆく」
「幸せは自分で掴むものですよ」

…といった内容のコメントを、こともあろうか周囲の批判には耳を傾けずに吐き捨てたのである。これぞ「幸せなボクらに対して不幸な連中が嫉妬してきてボクらの足元を掬おうとしてきている」ということではないか?
ちなみに、その後彼らはキリスト教の教会で、新郎は自身の宗派の僧衣、新婦はウェディングドレスという出立ちで挙式したものの、数年後に離婚したとかしていないとか。

現在のTwitterやFacebookなどのSNS他Web空間にも、こういう輩は至るところにいるとは思う。加えてこういうことを抜かす輩の一部には、冒頭の「ボクは他人には嫉妬していない」ということの裏返しかのように

「公正世界信念だのなんだのに基づいてこんなにボクは努力したのに報われず、努力も何もしていない輩が幸福な人生を送っているのが許せない

という感情が滲み出ており、結果としてそれが「嫉妬」になってしまっていることもままある。(これは一般にいうシバキ思想にも、数年前の(みんな忘れたであろう)日本の障害者施設での大量殺傷事件にも結びつく思想でもある)
かつてあの永尾カルビ*も言っていたが「自分は嫉妬しない」と言う人間の抱える嫉妬こそが一番苛烈なものである。

そして(ここからがミソ)、彼らが社会的に非難されるような言動をとったとき、それを諌めるような発言をした者を彼らは先の女のように「嫉妬」と吐き捨てることもよくある。実例はネットにわりかしあるので各自で調べていただきたい(訳: この文章を書いている人は途中で寝てしまいました)。

つまり言いたいことは、

他人の自分に向けた批判や非難を「嫉妬」と吐き捨てる輩もいる。
また「自分は嫉妬しない」と言っておきながら、実際は他人への嫉妬でパンパンに心が膨れ上がっているという人もいる。

ということでした。

*余談だが、永尾カルビは全盛期の1990年代半ばに小林よしのりをdisったことにより大バッシングを受け(Wikipediaにも記載あり)、マスメディア不信を深めるようになり、世紀が改まった頃に新聞販売店を襲撃して業界から事実上引退状態にある(かつ一時は旧2chの『これほど醜い日本人女性』という見るからにミソジニー丸出しのスレッドのまとめサイトを運営していた模様)。が、このカルビをバッシングが盛んだった当時の言論人の中で唯一庇ったのが大月隆寛(Twitter: @kingbiscuitSIU)であるとされる。

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