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はじめまして。 SNS超初心者です。 まだ分からないことばかりで、オロオロオロオロして…

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はじめまして。 SNS超初心者です。 まだ分からないことばかりで、オロオロオロオロしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

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名画の「構図」を学ぶワークブック

イタリア・ルネサンスを中心に西洋美術史に出てくる名画を主な題材として、知識ゼロからはじめる「構図」分析のお話をしたいと思います。 多種多様な学科に所属しているごく一般的な大学生に向けて西洋美術史系の授業をしております非常勤(アルバイト)講師です。 ギリシャ・ローマ神話やキリスト教にまったく詳しくなくても楽しめる、かつ、ためになる授業を展開しようと日々心掛けています。その中からいくつかお話をご紹介できればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 1.見るまずはポケ~っ

    • 34.螺旋(3)- iv、落書き

      「33.螺旋(3) - iii、巨人の間」より続きます。 (復習です。) ゴンザーガ家の統治していたマントヴァのパラッツォ・テ(テ宮殿)にある「巨人の間」の装飾についての話が続いています。 やがてゴンザーガ家は没落し、マントヴァはオーストリア占領下におかれました(1630年、マントヴァ併合)。 さらにフランス軍に支配された時期、再びオーストリア占領下になった時代などを経て、マントヴァは最終的にイタリアという統一近代国家の中へと組み込まれるに至りました。 3.巨人の間の落

      • 33.螺旋(3)- iii、巨人の間

        「31.螺旋(3)- i 」「32.螺旋(3) - ii 」にて、マントヴァという小都市にあるパラッツォ・テ(テ宮殿)の一室、「巨人の間」の装飾を見てまいりました。 今回と次回は、そのおまけで、マントヴァについて、パラッツォ・テについての補足情報と、そして最後に巨人の間の「落書き」(!)についてです。 (図1) 1.マントヴァのパラッツォ・テ マントヴァは、2008年7月にユネスコ世界文化遺産「マントヴァとサッビオネータ」(サッビオネータもゴンザーガ家の領地)として登録

        • 32.螺旋(3)- ii

          「31.螺旋(3) - i 」より続きます。 ゴンザーガ家の統治するマントヴァのパラッツォ・テ(テ宮殿)という離宮の中の一室、「巨人の間」に、ジュリオ・ロマーノとその弟子たちが手掛けた世にも奇矯な壁面装飾についてです。 3.ヴァーチャル・リアリティー:視覚以外の仕掛け (復習です。) 壁と天井を一つの統一画面とし、 そこに迫力あるギガントマキアの場面が描かれていました。 天井には、下から見上げる観者から見れば 大きく渦巻く動態を感じさせるように、 大きさの異なる円が

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        名画の「構図」を学ぶワークブック

          31.螺旋(3)- i

          「螺旋」(あるいは「疑似螺旋」としての円の重なり)は、 回転運動の感覚を作り出しながら、観者の視線を、 上へ上へ、前へ前へ、奥へ奥へ、遠くへ遠くへと、導きます。 *** *** 今回は、コレッジョの天井画から多くを学んだジュリオ・ロマーノが、マントヴァ君主フェデリコ・ゴンザーガ2世の別荘の一部屋のために制作した、世にも奇矯な天井画をご紹介いたします。 螺旋的円環や円の連なりが、観者を絵の中の世界へと巻き込みます。 16世紀最大の「ヴァーチャル・リアリティー体験」コー

          31.螺旋(3)- i

          30.螺旋(2)- i

          引き続き、美術と螺旋がテーマです。 マルセル・デュシャンは一時期、螺旋・渦巻き・回転に魅了されました。 今回は、デュシャンの「ぐるぐる愛」をご紹介します。 1.マルセル・デュシャンマルセル・デュシャン(Marcel Duchamp、生没1887年 - 1968年)はフランス生まれでアメリカで活躍した芸術家です。誰もが知るあの現代芸術の父です。 一番有名なのは、便器を<泉>として展覧会に出品したという話です。 サインと年記が見えます。 Marcel Duchamp,

          30.螺旋(2)- i

          29.螺旋(1) - ii

          「28.螺旋(1) - i 」より続きます。 コレッジョのパルマ大聖堂の天井画<聖母被昇天>は、巨大な凹面の天井に描かれていました。 観者は、巨大な螺旋状の雲・光・天使たちの渦巻きの下で、その渦巻きスペクタクルに巻き込まれたような感覚を全身で受け取るであろうことを、確認しました。 また観者は、大聖堂入口から近付く場合には、主役の聖母マリアが特権的な正対する位置を占めていて、まるで「上昇しているさなかにある」かのように見える、ということを、確認しました。 さて。 その際、

          29.螺旋(1) - ii

          28.螺旋(1) - i

          螺旋・渦巻きの話です。 1.螺旋・渦巻きまず、前回「 27. 上昇感(1) - iii (螺旋)」の繰り返しになりますが、 螺旋形や渦巻き形というのは、放射状線同様、視線を中心へ引き込む力があります。奥へ奥へ、あるいは上へ上へ、向こうへ向こうへ。 漫画やアニメでも、このような螺旋や渦巻きの「効果線」を見たことがあると思います。この効果線には「中心点へ向かって視線・意識・物体を一気に引きずり込んでいく」効果があります。 何かが引っ張り込まれてゆく、気やエネルギーの波動が伝

          28.螺旋(1) - i

          27.上昇感(1)- iii (螺旋)

          もう一度だけ、ティツィアーノ<聖母被昇天>祭壇画です。 この作品には、実はもう一つ、目に見える「上昇感」の工夫があります。 最後に、「螺旋形」についてお話いたします。 1.螺旋・渦巻き 螺旋形や渦巻き形というのは、放射状線同様、視線を中心へ引き込む力があります。 奥へ奥へ、あるいは上へ上へ、向こうへ向こうへ。 漫画やアニメでも、このような螺旋や渦巻きの「効果線」を見たことがあると思います。この効果線には「中心点へ向かって視線・意識・物体を一気に引きずり込んでいく」効果が

          27.上昇感(1)- iii (螺旋)

          26.上昇感(1) - ii

          「25.上昇感(1) - i 」にて、上昇感は、人物たちの視線やポーズから生まれるとお話しました。 ティツィアーノ<聖母被昇天>では、そうしたいくつもの細かな「上昇感モチーフ」を際立たせるために、構図そのものは幾何学的に単純明快に作られていました。また、色彩によって作られている縦長の三角形も上昇感に貢献していました。 今回は、この作品の設置場所での実際の「見え方」と象徴的な上昇感についてご紹介いたします。 1.フラーリ聖堂 地図上の左側、ヴェネツィア西岸にあるかなり大き

          26.上昇感(1) - ii

          25.上昇感(1) - i

          イタリア・ルネサンス最大の「上昇感」と言えばこの作品!という、ヴェネツィアの巨大な祭壇画をご紹介いたします。 1.見るまずは、眺めます。 全体図です。 部分図です。 (★、筆者によるトリミング加工あり) 「上昇感」を、お感じになっていただけたでしょうか。 わたしたちには、なぜこんなに、 マリア様がダイナミックに上方へ飛んでいくように見えるのでしょうか。 そんなことを考えてみたいと思います。 2.考える主題は「聖母被昇天」です。 この主題についてはすでに「18.

          25.上昇感(1) - i

          24.余白(2) - iv (空間)

          ここまで(18から23)で、 ・「余白」は無駄に余ってしまった白い部分ではないこと ・「余白」は誰が主役か、どこが最重要かを、直感的に伝える構図上の工夫であること ・「余白」は、主役のまとう「自陣地」「自領域」のようなエリアであること などをお話いたしました。 さらに、自分自身の作業や思念に、集中、没頭、没入しているという雰囲気を表す作例を紹介しました。 これを前提にお話を進めます。 今回のテーマは「空間」です。 1.見る ミレーの<晩鐘>です。 15秒間ほど眺

          24.余白(2) - iv (空間)

          23.余白(2)- iii

          再び、「22.余白(2) - ii 」にて細部を観察してまいりました、 フェルメール作<牛乳を注ぐ女>です。 画家と作品について、少しだけ、紹介をさせてください。 1.画家フェルメール(1)生涯ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermee、生没年:1632-1675年)は、17世紀にオランダのデルフトで活動しました。 現在、フェルメールの真作として知られる作品はわずか30数点です。 寡作で、謎の多い画家として知られています。 フェルメールは、裕福な実家を持つ妻

          23.余白(2)- iii

          22.余白(2) - ii

          「21.余白(2)没入感 - i 」に出てきた作品の一つ、 フェルメール<牛乳を注ぐ女>を用いて、 絵をよく見る練習をしたいと思います。 観察のテーマは「細部の発見」です。 1.見る:色まずは作品を眺めます。 「色」に着目して、10秒間だけ眺めて下さい。 ↓ ↓ ↓ それでは、絵を見ないでお答えください。 どんな色が使われていましたか?。 赤、青、のような、ざっくりした色の名前で大丈夫です。 ↓ ↓ ↓ 「黄色、青、白。それから、茶色。」・・・合格です。 「赤

          22.余白(2) - ii

          21.余白(2)没入感 - i

          「18.余白(1)主役の明示 - i 」では、 ・「余白」は無駄に余ってしまった白い部分ではないこと ・「余白」は誰が主役か、どこが最重要かを、直感的に伝える構図上の工夫であること ・「余白」は、主役のまとう「自陣地」「自領域」のようなエリアであること などをお話いたしました。 今回は、 主役のまとう「余白」は、どのような雰囲気を出すことが出来るのか、 について考えてみたいと思います。 1.見るまずは作品を眺めます。 三点の絵が並んでいます。 目に見える部分での視

          21.余白(2)没入感 - i

          20.余白(1) - iii

          再び、「19.余白(1) - ii 」で見てきましたティツィアーノの<聖なる愛と俗なる愛>です。 この画家ティツィアーノについて、少しだけ紹介をさせてください。 1.画家ティツィアーノ (1)生涯ティツィアーノ(Tiziano Vecellio、生没年:1488年頃‐1576年)は間違いなく「ヴェネツィア派」最大の巨匠です。画家としての人生は大成功をおさめ、しかも長生きしました。 ヴェネツィア派の始祖ジョヴァンニ・ベッリーニのもとで画家の修業をはじめ、夭折の先輩ジョルジ

          20.余白(1) - iii