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フランスがわたしに見せてくれた世界

2009年の夏。

わたしは、初めて、憧れのフランスに降り立った。

約20日間の滞在。ものすごく、ドキドキしたのを覚えている。

シャルルドゴール空港から、パリ市内に入るまでの区間は、日本語がわかるドライバー付き送迎というものを申し込んでいて、ホテルのチェックインまでやってもらった。ホテルに着くまでの約1時間。車の窓越しから見える、いくつもの歴史的建造物に、すでに感動していた。

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目的は二つあった。

一つは、とにかくフランスに行き、いろんなものを吸収すること。

二つ目は、フランス最高峰といわれているプロが学ぶ製菓学校に行くこと。

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この学校は、世界からプロが学びにくることで有名な場所。私のクラスは、現地のパティシエと肩を並べて、朝から夕方まで、数種類のフランス菓子を作り続けた。

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この日常から見えたもの。それは、わたしの一日の使い方がどうなのか、ということだった。

月曜から金曜日は、朝9時から夕方17時頃まで。学校といっても実践型なので、筆記もないため、仕事しているのと同じ状態です。

昼12時になると、作業は途中でもストップさせて、全員で近所のビストロで食事をします。食べられない!っていう量のお肉とポテトがのったお皿と、サラダ。そして、昼から普通に振舞ってくれる、赤ワイン・・。最後のデザートは、ケーキが何個も出てきます。好きなだけ取っていいとのことですが、満腹すぎて、いつも食べられませんでした。最後の一人が食べ終えるまで、みんなおしゃべりをしながらの昼食時間。

その滞在時間。なんと、2時間。

昼14時に現場に戻り、作業開始と思ったら、すぐにやってくる15時の休憩時間。タバコ吸いたい人は、中庭へ。その他の人は、コーヒーとおやつ登場・・。(そこにあるものは、何でも食べていいようになっていた)

ちなみに、休憩時間は朝10時にもあるのです。(各15分ほど)

6時起床→仕事→休憩→仕事→昼食→仕事→休憩→仕事→17時すぎ帰宅→自分のための自由時間→22時就寝

この学校で、彼らと一緒に行動をしているうちに、わたしは徐々に規則正しい生活になっていきました。

そして、自分の働き方、時間の使い方がおかしいということに、気が付いたきっかけでした。

「こんなに急いで、どうしたんだろう、自分」

こんな感情が出始めました。

本当の仕事ではありませんでしたが、わたしは一日の時間の使い方を、ここで学ばされている感覚でした。本来のパティシエの現場などでは、こんなに休憩もないのでしょうが、オンとオフの使い方を改めて知りました。

そして、フランスの夏は日照時間が長く、学校が終わる17時はまだまだ太陽が高いのです。日が沈むのは21時過ぎたころなので、24時間がとても長い。そして、充実している。

散歩をしている子供たち、手をつないだ仲の良い夫婦、動物たちも、みんな知らない人でも寄ってきて、あいさつを交わす国。「ありがとう」というプラスの言葉が行き交う国。この人懐っこさが、わたしの孤独を打ち消してくれる。いつも人見知りをしている日本との差は歴然でした。


肌に合う。とは、まさにこういうこと。


同じ地球に生きていて、

同じ一日を与えられていて、

なぜ日本人って、こんなに急いでるのだろう・・・。


休憩もとらない、昼食時も座らない、残業が当たり前、日光に浴びない。

『わたしの今の生き方』が、ちょっと、おかしいよ・・と

おしえてくれた、フランスという国。


この20日間のフランス生活で、わたしは、いつか日本とフランスの二拠点で仕事をしたいと思うようになっていったのです。


自分の未来への夢が、またひとつ、追加された記念すべき日です。




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