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ザ・クリエイター 感想

あらすじ

 我々の住む世界とは違うパラレルワールドのような世界。


 時を早くして人類はAIを生成する事に成功。AIが生活の一部して溶け込んでいた。


 数年後、アメリカにて大規模な爆破が起きた。人類はこの原因をAIと断定。アメリカを中心とした人類の舞台はAIを殲滅する道を採択。ここからAI対人類の戦争が始まり、人類は苦悩の末自動追尾性の衛生型ミサイルを開発。AIを蹂躙していきもう間も無く人類側に戦況が傾きかけていた。


 2069年、主人公ジョシュアはアメリカ部隊の精鋭。AI陣営の、切り札となるAIを生成する核である謎の人類、通称ニルマータを探し出すべく、AI陣営が生活するニューアジアへ送り込まれた人類側のスパイ。ニルマータの鍵となり得る人類、マヤに接近。結婚し、子供も授かった。


 ある日アメリカはジョシュアの意思と裏腹にニューアジアを襲撃。ジョシュアの潜入はバレてしまい、マヤとお腹の子は殺されてしまう。


 これを契機にニューアジアへと切り込むアメリカ軍。徐々にAI陣営がミサイル破壊の切り札を生成していることが発覚。ジョシュアがその切り札に辿り着く。


 驚くべき事にその切り札は子供の容姿をしたAIであった。切り札を軍へ持ち帰ろうと敵地を奔走するジョシュアだったが、なんとマヤが生きているとの情報を得る。マヤへ再度邂逅すべく敵地で切り札と共に奔走するジョシュアだったが、徐々に驚くべき真相へ近づいていき…


 という話。

感想(ネタバレ有)


大変良かった。


 まず褒めるべきは洗練された世界観だ。使い古された題材に細かなオリジナルエッセンスを加えることで斬新ささえ垣間見て取れた。


 AIや、他の全体的なメカニックのデザインなのだが、監督や制作サイドのインタビューを見たところ、80〜90年台の日本、ソニーや任天堂が覇権を握っていた当時のデザインをリスペクトして作られているようだ。ニューアジアの街並みも新宿などが登場し、我々日本人には馴染みやすい事間違いなしである。


 その喧騒や街並みはさながらAKIRAや、ブレードランナーを想起させるものである。



 そんなネオ東京の街並みに対して、作中冒頭で荒いモニターでのAI誕生の過程を我々に見せる事で産業発達の早い段階でAIが日常化していた事を無理なく受け入れるように作られている。よくできているものだと感心した。





 そして何より私個人としてはラストに感服した。


 争いの源であり、人類の負の遺産であるミサイルを撃破。自らを犠牲としてアルフィーを救出。


 爆破していく衛生でジョシュアはレプリカント(通称忘れた)となったマヤと再会。贖罪を果たし、利権や暴力を超えた愛で再び2人は繋がれた。それもAIが作り出されたからこそ成し得た愛だ。


 地球では新たなニルマータとして喝采を浴びるアルフィー。


 人を動かす信念は愛。AIが生まれ、発達していこうとも愛は消せないし覆せない。そんなドストレートすぎるくらい真っ直ぐなメッセージをこれでもかというほど綺麗に描き出はラストには思わず目から汗が。


 SF映画で必ず挙げられる細かな矛盾点。今作もしばしば辻褄が合わない点や多少強引な箇所は見受けられた。


 がしかし、私の意見としてSFなんだから非論理的な超常的なことはそりゃ起こるだろうと常々思う。そんな世界で辻褄が合う事なんてむしろ起こり得ないと考えた方が自然なのかもしれない。看過できないものは別だが。


 そういう意味で今作は許容し得る範囲の矛盾点を内包し、それを超す美しき想像世界と人間愛を感受することができた。非常に良かったです。

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