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#001 【新社会人向け】料理:一人暮らし向け調味料講座

前提として:「料理は出来なくてもいい」

 料理とかいうスキルはなんやかんや生活に根ざしておりそれなりに重要なスキルであると思われがちだが、もはや現代社会において料理は一切やらなくても良いようにさまざまなものがデザインされている。
 そのため「料理めんどくせェ〜〜〜〜!!!」と思っている場合は別に料理をしなくてもいいが、食事というものはヒューマンの生活を大きく占めるファクターであるとされる「衣食住」の1柱であるため、ここを強烈な自己満足で満たすと非常に人生が楽しくなり、加えて言えばその手法を自ら作り出すと自己肯定感も増すことから、「料理は出来なくてもいいけどハマれば楽しいよ」という中途半端な提案を基礎としてこの話を続けます。

 そういえばこの「一人暮らし向け調味料講座」を語るにあたって、僕がどの程度料理ができるのかがそれなりに説得力を増すか増さないかの重要なファクターになると思われるためその点を補足すると、僕は元シェフで、一般人の「料理ができます」というスキルがドラクエでいうレベル15あたりだとするとレベル50くらいのポジションです。わかりにくいな、忘れてくれ。一流シェフが80↑と想定しています。ちなみに僕は製菓もできる。とにかくなんか強そうと認識してください。実際強い。

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このような料理を作ってインスタにあげていた時期があった。
すぐだるくなってやめたが。

 さて、調味料ですが、野生動物でない限りは自炊をする上で欠かせないものとなっており、集めだすとキリがないんすね。
 新社会人じゃない人で、かつそれなりに料理をしたりしてきた方々は自分の過去を振り返ってみてほしいんですが、料理するぞ〜と気合が入った人は素材は置いておいて何故か調理器具か調味料にこだわり出すのが基本的なパターンとなっており、特に調味料に関してはかなりの高確率で塩の種類が増えていく。
 どこどこ産の変なようわからんパッケージの塩とか、道の駅で見つけたマチ袋に入った手作り海塩とか、あんまり使いもしねえのにピンクソルトとすりおろし器買ったり、藻塩だ山椒塩だなんだと棚の中に特定用途以外に用いない意味不明な塩が増え始めたりするのが初期症状で、使いもしないバルサミコ酢を買ったり気取って白ワインビネガー買ったりとか1年に1回使うかわからんスイートチリソースとかいつ使うかも分からん燻製醤油とかしょっつるとかナンプラーとかそういうの買い終わったあと、調味料に狂ってしまった愚かなヒューマンは気づくわけです。

「調味料、これだけあればいいな……」というラインナップに。

 というわけで、今回話すのは「一人暮らしにおいて自炊をするにあたってそんなに苦労をしない調味料のラインナップは何になるのよ」という情報についてと、同時に「一人暮らしに於いてベースとなる料理の基礎を多少説明する」という2つの目標を同時に達成する内容となる。

 知っといて損はないが、多少長くなるので、「そもそも料理しねえわ!」と言う人に対しては知的好奇心を満たす以上の情報はないことを前置いておく。

「一人暮らし✕自炊」という条件から要件を定義する

 まずは、

「塩」
「砂糖」

 の2つについてはまあ考慮に入れず当然揃えるという前提の下、簡単なものから紹介するため、要件を定義する。
 一人暮らしで自炊をする上での主食は、日本に住む以上米になることが多い。当然時々はパンやらスパゲティ食いたくなると思うがそれは後述。とりあえずこの記事でベースにする考えは「米に合うおかず」「一人で作れる一般的にいう簡単な料理」ということにしておく。

そうすると自ずと料理が限定され、さらに調味料が限定される。


①  和食

 さて、米に合う味は何か。さっぱりした味? こってりしたもの? 辛いもの? まあいろいろあるだろうが、最初は我々の住む日本の料理であるところの和食で考えてみよう。和食を作るにあたって「とりあえずこれがあれば完璧」という調味料は、

「日本酒」
「味醂(みりん)」
「醤油」

 の三種だ。この三つは古事記にも書いてあるが和食における三種の神器とされており、これらがあればぶっちゃけ基礎的な和食はなんでも出来る

 この三種の神器は、それぞれをお玉やカップなどの入れ物にすり切り入れたものを1とし、割合で組み合わせ使用する。和食のレシピは基本的に割合で覚えれば完結するためそれをやるとよく、基礎の計量器具はお玉で考えるといい。
 例えば魚の煮付けは1:1:1、野菜などの煮付けは1:1:3:砂糖1、炊き込みご飯だと1:1:1+出汁あるいは水14.5など、とりあえずはこの三種があればかなり臨機応変に対応が可能だ。
 ちなみにオススメのレシピ本はこれ→(※1)。

 さてここで気をつけて欲しいのは日本酒だ。間違っても「料理酒」を買ってはいけない。
 成分表を見るとわかるが料理酒は酒類ではなく調味料として販売するために多量の塩が添加されており、それを抜きにしても正直マズイ
 なので、これから酒を買いに行くニキや仮に今まで料理酒を使っていた人はこれを機にきちんとした清酒を使ってみよう。2リットル700円とかの鬼ごろし等の安酒をぶち込むのをオススメする。(※2)

 さらに味醂だが、一般的に売られている「味醂風調味料」でまったく問題ない。本物の味醂は単純に値が張るため新社会人に優しくなく、甘さも強かったり弱かったりとメーカーによる個体差がでかいため、例えばインターネットで見つけたレシピの通りに味醂を入れた時甘かったり味が足りなかったりと、高い調味料を使っているのにそんなにうまくないという「高級調味料のジレンマ」(※3)に陥る場合がある。特にこだわりがない場合は味醂風調味料を買うことでこれを回避できる。

 醤油はまあ好きなの買うといいよ。あんまり差は出ない

②  洋食

「オリーブオイル」
「黒胡椒」
「テーブルコショー」

 があれば大体解決する。テーブルコショーは白胡椒のことだが、商品名でわかりやすいほうが良いだろうとこの表記にしている。あの赤いフタのやつだ。本当にこれだけでいい。マジで。

 洋食に関してはいろんなレシピがあるが、基本のベースになっているのは「塩」「胡椒」のシンプルなものだ。ステーキを焼くにしろ、トマトでスパゲティのソースを作るにしろ、何らかの材料に対してこの「塩」「胡椒」が必ず使われるし、何ならこれに「素材の味」等が加わることで洋食の味はベースとなる、くらいの考えで構わない。
 あとはコンソメを味付けと考えるのは後で良いです、そのへんは最後にまとめて書く。斜め読みニキがTwitterとかで和食のところにめんつゆが無いとか言いそうだがそのへんの合成調味料系も含めて最後に書くから

 閑話休題、オリーブオイルはペットボトルとかの安いやつで、黒胡椒はミル(ガリガリして削るやつ)と一体型の瓶入りでドン・キホーテとかに安く売っている。

 また、特に一人暮らしに於いては「肉」と「野菜」にとりあえず塩・胡椒・オリーブオイルを絡めて、オーブンレンジのオーブン機能を使って200℃で20〜30分焼くというクソ簡単洋食レシピが非常にオススメで、これは耐熱皿を使うことで準備から食べ終わり片付けるまでを1枚の皿で済ませることができたり、その他オーブンに突っ込んでいる時間は他の家事ができるなどの副次効果がある。
 詳しくは以下のツイートを見よう。

 このへんで最初の話を忘れる読者もいるだろうから改めて記すが、あくまでこれは「一人暮らしで簡単な料理をする際の調味料は何を揃えればよいか」を記しておるため、このスパイスがあの調味料が、という応用は徹底的に廃していることを思い出して頂きたい。
 間違ってもスパイスをスタート段階でいろいろ揃えるな! いいから! 本当に料理が楽しくなってから集めればいいから! どうせ増えるんだから! な!?
 普通の一人暮らし始めたばっかでクローブとかナツメグとかクミンとかカルダモンとかそんなもん集めたって棚の肥やしになるんだから! 塩集め始めた次の段階でいいから! な! 黒胡椒だけにしとけ!!
 ほらもうワインビネガーとかそういうのも置いてきなさい! グレープシードオイルもメッ! うちじゃ飼えません! 置いてきなさい!


③ 中華

 はい次、中華。
 実は中華をバリエーションに加えると非常にめんどくさい。中華は料理によって必要な調味料がガラッと変わることが多く、挙句少量買うと単価がべらぼうに高い。そのため「洋食にハマると小瓶の調味料が増えるが、中華にハマると大瓶の調味料が増える」とか言われる。では何を買えばいいのか。
 オススメなのは

「豆板醤(トウバンジャン)」
「甜麺醤(テンメンジャン)」

そして洋食の欄にも書いた「テーブルコショー」。この三つ。
 豆板醤は言わずもがなまっかっかの辛い調味料で、甜麺醤は甘いミソのようなものだ。例えば麻婆豆腐の辛い味は豆板醤がベースだし、回鍋肉の甘味は甜麺醤がベースになっていたりする。

 また、「塩」「日本酒」「テーブルコショー」の三つの組み合わせは「なんか知らんけど中華っぽい味がする!」という謎の化学反応を起こす。実は基本的な餃子や焼売などの味付けはこの三つなので、覚えておくとお得だ。
 また拒否反応が出る人がいるため欄外とするが、これに化学調味料(味の素)(※4)をぶちこむと「最強の基礎的中華味」が作れるため覚えておくと良い。

 基本的に化学調味料とかいう名前がついてはいるがあれの原材料は昆布なので化学もクソもないからどんどん使うべきだと思う。



④ そのた、そしてカスタマイズについて

 最後に合成調味料シリーズ。めんつゆとかそのへんだ。

 このへんは実は自由枠だったりするので、だしの素やめんつゆ、コンソメ、その他考えうるやつを適当に揃えよう。

 また、カスタマイズについてだが、ここまで説明してきた中で「いや別に中華はあんま作らんしな」とか「和食嫌いやし……」とかいう方もいるだろう。この場合、そのジャンルをそっくりそのまま除外してくれて構わない。少なくとも自炊に於いて不自由しない程度の調味料、というくくりでこのnoteはまとめているため、必要ないものについてはオミットするべきだし、足りないものについては自由に足すべきだ。

さいごに

 なんやかんや長いnoteになってしまったが、初心者などに対してここまで説明しながら色々書いているものは少ないという印象なので多分有用なnoteになると思う。
まとめると、


砂糖
日本酒
味醂
醤油
オリーブオイル
黒胡椒
テーブルコショー(白胡椒)
豆板醤
甜麺醤

 の10種類があれば大体どの料理もつくれるよというnoteでした。
 また、最初の項で話したがそもそも料理なんてもんはしないで済むならしなくてもいい。例えばCook Doから出てる「○○の素」とか、レトルトの食材とか、そういうのを駆使して生活するならそれで全く問題ないし、外食ですべて済ませようという計画があるならそれで全く構わない。
 ただ、やはり最初の項で話したが、自分で好きなように好きなものを好きなだけ手を加えて作れ、それがうまかったときの感動はそれなりにでかいし、ハマれば楽しいのだ。
 変なスパイスをいっぱい集め、塩の種類を増やしていこう。

 いい料理ライフを!!!!




(※ 以下注釈の解説)

(※1)おすすめのレシピ本

レシピのいらない和食の本 (講談社のお料理BOOK) 行正り香

内容はこのような感じで、割合でレシピが乗っている。基礎を固めるのにおすすめ


(※2)酒について

プロの現場では水と酒を1:1で割ったものを「酒」として扱ったりしており、これは単純に酒が入りすぎると味が下品になることから薄めて使用しているわけだが、この下品さは上品を良しとする和食に於いて「旨味が強すぎることによるいやらしさ」をあらわしており、一人暮らしに於いては考慮に入れる必要がない。どんどん酒をぶちこめ。

(※3)高級調味料のジレンマ

高い調味料は高い理由として、単純に高い、一般的な材料とは若干違う材料が使われている、用途が妙に限定されている、パッケージがオシャレ、特に理由がない、などのパターンが存在し、おおむね値段と量に対する味のコストパフォーマンスは一般的な安い調味料を使った場合と比べて単品では勝るものの混ぜた場合に著しく下がる傾向にある。そのため、ひとつの高い調味料をドバドバ入れた結果他の調味料や水などをダバダバ入れる羽目になるため料理の単価は上がるが味のクオリティ自体はそんなに上がらなという悲しい結果を生み出してしまい、これを高級調味料のジレンマと僕が勝手に呼んでいる。

(※4)中華における化学調味料

中華では「味精」という呼び方で味の素をそれなりに入れるのがわりと一般的で、唐揚げだろうがなんだろうが味精がけっこう使われる。基本的に旨味が足されるもので身体に悪いわけもなく、気にならない人は中華を作る時にはどんどん入れるべきだと僕は考えている。異論は認める。

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