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【連載小説】霊か病気か 4話 病院受診

 タクシーの運転手には、
「総合病院まで」
 と伝えて15分くらい、ゆっくりアイスバーンの道路を走って貰った。たまにスリップしながら走るのが怖い。僕は運転手に言った。
「事故らないで下さいね」
 すると、
「大丈夫ですよ。慣れてますから」
 と自信あり気だ。
 
 総合病院に着いて、何科にかかればいいか分からないので、受付でとりあえず、「内科にかかります」
と伝えた。
 初診なのでかなり待った。その間に、
シンデシマエ
ナニヤッテル
 という声が聞えてきた。その声に怯えながらも医師に診て貰うまでの辛抱。
 1時間半くらい待っただろうか。ようやく名前を呼ばれた。
「川村さーん、川村一郎さーん。診察室の前でお待ち下さい」
 僕は言われた通りそこに行って椅子に座った。今日は混んでいるみたいで長椅子には患者がズラリと並んで座っている。それから更に30分は待った。辛い、辛過ぎる……。僕は椅子の上でうずくまっていた。気付いたら看護師が傍にいた。
「川村さん、大丈夫ですか、もうすぐ呼ばれますから」
「はい」

 それから呼ばれて診察室に入ったら体格の良い中年の医師が座っていた。挨拶することも忘れて医師の前の丸椅子に座った。そこからは医師からの質問に答えたり、こちらからも聞こえる、という旨の話をした。
 
 診察を終え、僕は待合室に行った。会計と処方箋をもらうのを待っている。医師からは、3日分の薬を処方された。病名は、統合失調症という病気らしい。精神病には全くの無知な僕なのでこの病名も初めて聞いた。今度からは精神科にかかってと言われた。

 気分が暗い。死んでしまいたい。ネットで見たことがあるのはリストカットと大量服薬。健康だった頃、何故そんなことをするのだろう? と思っていた。

 でも、聞こえてくるのは霊じゃなく、病気だということが分かって良かった。はっきりしたので気持ちが少し楽になった。

 帰りはまたタクシーを呼んだ。帰宅したら一応、昼の分として薬を1錠のんだ。薬剤師が言うには、4時間後の午後7時頃、夜の分として飲むことになっている。この薬を飲んで良くなればいいが。

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