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aurora arkを追いかけて

どうもよなかくんです。飛行機の中でチャーリーズ・エンジェル見たんですけど、え、あれ面白すぎん?面白かった。

さてさて、よなかくんと月曜の理屈
第九十七回は「aurora arkを追いかけて」

第九十七回 aurora arkを追いかけて

「イエローナイフにオーロラを見に行こう。」
「おけ。」

 短いメッセージの一往復で今回の旅は決まった。いい友人を持ったものだ。
 僕がイエローナイフに行きたかったのは、敬愛するバンドが一年前にその場所でオーロラを見て、ツアーが始まったから。ミーハーがすごい。

 成田から八時間かけてバンクーバー、そこから一時間カルガリーへ飛んでから、二時間かけてイエローナイフへ。三日の夕方に日本を発って、バンクーバーに辿り着いたのは三日の朝。これだけ長旅をしたのに、その日の朝に戻ってるなんて。細田守も真っ青のタイムリープだね。

 ダウンタウンからバスに揺られてヴィレッジへ。一日目はぼんやりとしたモヤが見えたけれど、それは肉眼じゃオーロラかどうか認識できないレベルだった。そんなモヤでもカメラのレンズを通すと緑に美しく光ってしまうから困る。これがほんとうだったらどうしよう。

 二日目のオーロラはすごかった。んだと思う。ずっと緑の光が空に揺蕩っていて肉眼でもちゃんと「オーロラ」に見えた。きれいだった。はずだ。なんでそんなに曖昧かというと、きれいだった、のだけど、きれいだな、と思いながらシャッターを切った写真の方が肉眼で見るよりずっときれいだったからだ。

 写真を見返した時、あれ、自分が見たものはこんなに綺麗だったろうか、と一瞬思って、いや違ったなと首を振る。記録が実感を上回ってしまうことに心がざわざわして、その差を認識しているゆえに、記憶がぼやける。その日のオーロラは肉眼で見てもきれいだったはずなのに、極寒の中でオーロラを待ちわびて結局見えなかった夜のぼんやりとした月の記憶の方がなんでだかクリアだ。ムーンドッグと呼ばれる月の周りにできる環を見ながら、新しく作る物語の話だとかプレバトの話だとかをした。俳句っていいなって思った。

「今回、僕たちがイエローナイフに来た理由を教えよう。」
 ギフトショップで僕が指さした先にはBUMP OF CHICKENのサイン入りTシャツが飾ってあった。
「なんだそれ」と言って笑う友人に随分と遠いところまで追いかけてきたな、と僕も笑った。

#エッセイ #コラム #日記 #旅の記録 #auroraark