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『エパミナンダス』のこと

小学生や幼稚園児たちに、昔話や創作の短い話など「おはなしを語る」人 たちが、熱心に物語を暗唱して、どう伝えるかを勉強し合っている会が、 あちこちにあることを、1990年代の初め頃に、私は初めて知った。そして、たまたま大学でいっしょにシェイクスピア劇で演じ合った先輩に誘われて、ある会に入ることになった。

他の皆さんが語るのを聞くのは、実に楽しい時間だった。よく笑わせてもらい、涙ぐんだりもした。私の幼児期は、北朝鮮からの引揚げのどさくさ時期だったので、昔話を聞くことも、絵本を楽しむ経験もなかったので、物語の世界の奥深さと豊かさが感じ取れて、幸せな時間だった。

そんなおはなしのひとつが、面白い話なのに、子どもたちも私も笑えない で、ポカンとなってしまう箇所が気になり、原書で調べた上で書いたのが『エパミナンダス』だった。

これは、私が2021年7月9日に『児童文学こぼれ話』の1編として、note に載せた物で、私はほぼ毎日何か物語やエッセイ、短編などを載せ続けてきたので、2年以上も経ってしまうと探すのが大変なはずなのだ。見つけるにはnote の中の『マガジン』という部分を辿ると、いくつかの児童小説などの後のどこかに『児童文学こぼれ話』が13編ほどまとめて出て来て、それを開くと載っている。

どういうわけか、このところ、エパミナンダスを読んでくれている人たちが、わずかずつだが確実に増えていているのに、驚いている。5月の12日頃だったかに、立川で「おはなしの勉強会」を熱心に主導している親友の  O さんに、LINEメールを送ったことがある。

「これまでに300人ほど読んでくれた人があるけど、随分前に載せた話で、探しにくくて簡単には辿り着けないのに、今日1日で9人も増えていて、びっくりよ。先日あなたに載せたよ、とLINEしたから、勉強会の皆さんに伝えてくれたの?」

と問い合わせたら、「十数人に話したけど、皆さん語る人なので、関心が
あるのだと思うけど・・」と返事が来た。その後も少しずつ増え続けていてOさんに知らせた時から、66人の方が読んでくださったのだとわかり、きっと口コミみたいに、語りをする人達の間で、伝え合っているのかもと思えて、書いた甲斐があったと、嬉しくなっている。

最後に載せた「私の試訳」など無視して、子どもたちにわかりやすいように、作者の真意がわかって笑ってもらえるように、「パイがどのように置かれていたのか」が伝わるように、工夫しておはなしして下されば、と願っている。

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