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平出隆『葉書でドナルド・エヴァンズに』(作品社)

詩人平出隆が、若くして不慮の死を遂げた画家ドナルド・エヴァンズに向けて書いた葉書、という形式の日記のようなエッセイ。エッセイでもあり詩でもあるような。一日分(というか一章分)が1ページにおさめられ、詩人は毎日のようにどこかからどこかへ旅をしながら、ドナルド・エヴァンズへの思いを綴る。ドナルド・エヴァンズの足跡をたどり、ゆかりのある人に話を聞きに行き、最後は彼が訪れたいと思っていて果たせなかったランディ島にまで渡る。

ドナルド・エヴァンスの作品は、架空の国の切手、という形をとっている。平出隆は、製作の工程を想像し、実際に生み出された切手について語る。

この間、小川洋子・堀江敏幸の『あとは切手を、一枚貼るだけ』を読んだとき(https://note.mu/eneo/n/ne75a41f5e1cd)、小川洋子が書いた1通めの手紙でドナルド・エヴァンスの話をしていて、この画家の名前を初めて知った。そして、Amazonとかで、関連本として平出隆の本が出てきたので早速読んでみたのだが、装丁も美しく、中に紹介されているドナルド・エヴァンズの作品も素敵で、読書の幸せと造本の幸せを同時に感じられる、とてもいい本だった。アメリカとヨーロッパを行き来したエヴァンズ、日本からアメリカに渡り、更にヨーロッパにも行き、エヴァンズのことを考えている平出隆、触れ合う人々、死んでいった人たち、そして猫。詩人の手にかかるとどの出会いも美しく、切ない。

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