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垣谷美雨『結婚相手は抽選で』(毎日読書メモ(333))

垣谷美雨『結婚相手は抽選で』(双葉社、現在は双葉文庫)。垣谷美雨はデビュー作『竜巻ガール』、そしてそれに続く『リセット』(ともに双葉社、のち双葉文庫)が超面白くて、初期の作品はあらかた読んだ。最近は、問題提起的タイトルのつけ方がちょっと苦手で、ちょっとご無沙汰しているが(『姑の遺品整理は、迷惑です』とか『うちの父が運転をやめません』とか)、たぶん実際読むと、主人公は結構真面目で、降りかかってきた問題に誠実に対処しながら、悩んだり怒ったりしているんだろうな、とも思う。この小説と同じような、架空の社会問題解決策を描いた『七十歳死亡法案、可決』(幻冬舎文庫)の読書メモはこちら

晩婚化、少子化対策として、一定年齢以上で結婚していない男女をすべて抽選で会った相手と結婚させようとする国の施策! この乱暴な設定に大笑い。付き合っている相手がいれば急いで結婚しちゃうし、いなかったら抽選見合い(3回断ったら兵役のようなものにつかなくてはいけない)。しかし断られる方には回数制限がないので、モテない人たち(能町みね子の定義で「モテない系」ではなく「圏外」に入る人たち)には今まで口をきいたこともない異性と話をするチャンスが与えられる一方でお断りの連続という地獄が。色んなタイプの登場人物たちのお見合い風景の中で、それぞれの価値観をあらためて見直し、それぞれの家族のあり方も考えさせられる、見た目軽いけど実はテーマの重い小説。(2011年9月の読書メモ)

#読書 #読書感想文 #垣谷美雨 #結婚相手は抽選で #双葉文庫 #七十歳死亡法案可決

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