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毎日読書メモ(193)『船に乗れ!』(藤谷治)

このところ何冊か、藤谷治の小説の感想を書いていたが、一番最初に読んだ藤谷治作品は『船に乗れ!』〈1〉合奏と協奏、〈2〉独奏、〈3〉合奏協奏曲(当時の出版社はジャイブ、現在は小学館文庫)だった。2010年本屋大賞第7位。音楽関係の友達が結構読んでいて、わたしも読んでみた。
当時(2010年2月)の感想をまとめて再掲。

<1>合奏と協奏:サトルはあまりにも若くて、高校生小説はもうきついのかも、と思う。金窪先生の授業が好きだなぁ。わたしが教わった倫社の先生も好きだったけど、この先生も好きになりそう。そして、後半は頭の中でずっとカザルスのホワイトハウス・コンサートが鳴り続ける。あのCDの解説小説となるとは。音楽科の高校でオーケストラの授業はこんなもんでいいのか? 少年少女オーケストラの体験者とかいないのか?

<2>独奏:多くの知り合いが衝撃を受けたということを知って読む第II巻。相変わらず音楽科の高校とは思えないへぼさに驚き、南の自我のあり方に驚く。南のような思考回路の人とは会ったことがないので、なんだか不思議な感じ...。この物語をどうやってIII巻で収束させる、っていうんだろう。

<3>合奏協奏曲:最終巻にてタイトルの意味が明かされる。それにしても、この小説は自伝的要素が強く、これだけの年数がたっても、作者がそれを昇華し切れていないように思われるため、ひとつひとつの局面での振り返りがもやもやとして辛い。若者の読書ガイドとしての機能のある本であることをどの位の人が認識しているかな? 脇役鮎川や伊藤のスピンオフも読みたいところです。

この間、『世界でいちばん美しい』を読んで(感想ここ)、語り手の作家島崎哲の高校時代が、この津島サトルだったのだろうなぁ、と思ったので、12年近く前の感想を発掘してみた。せった君再発見の前の哲。

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