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佐藤泰志『海炭市叙景』(毎日読書メモ(357))

函館マラソン走りに来ました。北海道だって夏は暑い! 完走したけどヨレヨレです…。で、せっかく(?)函館に来てるので、函館が舞台の作品を。

佐藤泰志『海炭市叙景』(小学館文庫)。北海道の架空の市を舞台にした小説で、北海道のことに疎く、さびれゆく寂しい街の情景を、もっと小規模な炭鉱町とかをイメージして読んでしまったが、実際のモデルは佐藤自身の出身地である函館市とのこと。
1990年に自死し、その後一旦すべての著作が絶版になっていたが、2007年に作品集が復刊され、それをきっかけに映画「海炭市叙景」が撮影されて、佐藤の名前が再び世に出てきたらしい。なので下記の読書メモ(2011年に小学館文庫が出た頃に読んだ記録)は不正確。

突然ブームの佐藤泰志。自死したことで話題になる、というのも不幸なことである。小説世界は予想外に陰々滅々とはしておらず、静かに衰退していく北の街(最初のイメージより大規模な街)に生きる人達の姿を少しずつ小説毎に登場人物をオーバーラップさせながら描いていく。最初の話が哀しいのだが、あとは意外とカタストロフィ的ではなく、あまり不安になることなく、でもちょっと切なくページをめくっていく感じ。バブルの後、という時代感覚は、わたしの世代より上じゃないと理解できにくいかも。(2011年9月の読書メモより)

#読書 #読書感想文 #佐藤泰志 #海炭市叙景 #函館

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