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#137 水無月の本①

やっぱり本を読んでいるときがしあわせだ。

その物語の中に入り込んでいるような、誰かの視点に潜り込めるようなところが好きだ。

今月読んだ本①はこちら。

1.羊をめぐる冒険 上

これまで4冊村上春樹の本を読んできたが、1番理解ができるまで時間がかかり3回ほど読み直した。

羊をめぐる冒険だっていうのに、しばらく羊が出てこないんだもの!

でも3回目にはたしかに、羊をめぐる冒険がこれから始まるわ、ということが理解できておもしろいと思えた。

主人公は耳が非常に魅力的な女性と出会うのだが、耳が非常に魅力的ってなに?!となる。そういう表現力が魅力的だよ、、と新しい扉を開かれる感じがするところが村上春樹を読んでいてたのしい。

今下を読んでいるが、どんな結末になるのかまだわからず冒険が続いているのを見守っている。


2.犬のかたちをしているもの


今月読んだ本の中でも特に一瞬で、2時間で読み終えた本。

「おいしいごはんが食べられますように」の著者である高瀬隼子さんの本。

他人が産んだ彼の子を、育てられるだろうかという葛藤の中進んでいくお話だが、

改めて白黒つけられない気持ちの表現が本当に匠の技で描かれているなあと感心する。

喋っていることの裏で全く違うことを考えていたり、会話していく中で実際どう思っているか自分のことを理解しつつ、その通りには相手に接することが出来なかったり。

そして自分勝手なように思える主人公の向かい側にいる女の人についても、そちらの目線から物語が語られたら違う景色なのだろうなと思えるところも、「おいしいごはんが食べられますように」を読んだ後味と似ていてすきだなあと思った。

愛情についての描写が多かったが、恋愛ってなんだ?とますます考えさせられた。

最終的には家族になると仮定すると、恋愛的な接し方だけで表す愛情よりも犬に抱くような愛情の方が深いわけで、そちらの方が長い目で見たらやっぱりしあわせだと思う。こどもが産めるかどうかだって、100パーセント断言できないからこそ。

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