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沈黙を破るを読んだ感想と気づき

今年起きたイスラエルのガザの問題をきっかけに、読んでみました。
メディアだと「イスラエルが悪い!」で伝えていることが多く、イスラエルの苦しみの部分が伝えられていないことがほとんどです。
そんな苦しみを伝えているのが、この本です。
内容は元イスラエル兵士で立ち上げたNGO団体「沈黙を破る」のメンバーが占領地での兵士の体験を語るものです。ここでは自分の感想と気づきを書いていこうと思っています。

①感想


イスラエル兵士がここまで心の闇を抱えていることに驚きました。
正直、この問題を知るまでは自分自身も知りませんでした。
高い倫理観と道徳心をもって、イスラエルの国を守ることを誇り持った若い世代が、3年という兵役で倫理感と道徳心をミキサーにつぶされて、何も感情や思考を持ったないロボットになることに哀れみを感じてしまいます。
さらにパレスチナ人の民家を破壊したり、男女や年齢問わずに横柄な態度で接するため、だんだん気分が良くなり、暴力性や傲慢さが増していくと語られていて、深く考えさせられます。
証言で「暇だから、銃を乱射していた。」という証言は占領地という環境の恐ろしさを感じます。
次に私が深く哀れみ感じたのは占領地での生活と除隊後の生活のギャップに苦しんでしまうということです。
多くの証言でみんな言ってたことは除隊後、占領地での生活忘れたくて、海外に行ってしまうそうです。しかし、なかなか忘れられず、快楽(薬物、セックス)逃げてしまうこと多いらしいです。そんなギャップが解消できずに、社会に溶け込むことは非常に社会にとってマイナスでしかない印象感じます。さらにはイスラエル社会はこのような問題に向き合う姿勢もない。このようにみてみると、ある問題に対して無視するところは日本社会と似ているかもしれません。
この問題は加害者でもあるイスラエルが、被害者でもあるという気づきを与えてくれています。

②気づき

気づきにつきましては兵士たちが心の闇をかかえるのはハラスメント受けた被害者と類似しているなと感じました。
まずはハラスメントは何かという概念はここであげておきます。
説明は私が愛読書にしている複雑さを生きる(安冨歩著)の一部をあげておきます。

ハラスメントは、人がコミュニケーションを実現するために形成する信念を、すなわち相手も自分と同じ世界を持っているだろうという信念と、その信念を基盤として相手を理解するための理論を構成しようという努力とを悪用し、他者を操作しようとすることである。そしてさらに悪いことに、このようなハラスメントによって搾取された人間は、往々にして同じタイプの操作を別の他者に向けるようになる。

 複雑さを生きる

この定義を踏まえて考えると、イスラエルの若い世代が、「徴兵で、イスラエル兵になって国を守ることは誇りである。」「イスラエル兵は世界一道徳心がある軍隊」という互いの信念をイスラエル社会と軍がそれを利用し、操作しているかのように見えます。さらに兵士を加害者にもさせてしまう。ハラスメントの連鎖を非常に似ているなと感じました。これは沈黙を破るの本にいくつかみられるなと思いました。

●証言1(ナブルス市の軍曹)
任務前、司令官がブリーフィングにて、
「午前に時から午前四時まで旧市街市をうろついている者は誰手も死ぬ運命である。」
●証言2ラファの精悦部隊の将校
司令官にて、「使命は、できるだけ多くの人間を殺すことだ」

沈黙を破る

これらの証言をに見ると軍隊とハラスメントのつながりがみえてくることに気づきをえることができようになりました。
最後に複雑を生きるで、ハラスメントから社会を守る方法が、自分の痛みと向き合い、その痛みがどうして生じるかのかを全体的な構造の中で理解することであると書かれています。
これは「沈黙を破る」の団体がやっていることと類似する部分ではないかと感じています。

③まとめ

最後に暴力とは結局何も生まないことがよくわかります。
そして、加害者イスラエルが被害者でもあったことに驚きます。
最近、x(旧Twitter)で、暴力性を擁護するツイートを見かけて、唖然としました。暴力性の恐ろしさを分かっていないのかと腹立たしい思いもなりました。倫理感とモラルの欠如が国に深い闇を落としているのでないかと実感しました。
そうならないためにこの本や土井敏邦氏の映画、「沈黙を破る」、「愛国の告白」をぜひ、観ていただきたいです。
人の痛みを深く考えることにつながるのではないでしょうか。

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リンク
土井敏邦 ドキュメンタリー映画『愛国の告白 沈黙を破るPart2』公式サイト (doi-toshikuni.net)

『沈黙を破る』土井敏邦 (doi-toshikuni.net)

https://amzn.asia/d/44WCH1q(本)

その他参考文献
複雑さを生きる(安冨歩)

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