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【映画】『君たちはどう生きるか』をとりあえず見てきた、ざっくりとした感想。

7月17日(月・祝)
公開直後を狙った多くの人の気持ちと同じく、ネットのネタバレを踏まないうち早々に観ておきたくて行ってきた。

前情報は、あのポスターとネット情報で知ってしまった声優キャスト2人に留めることができた。予告映像もなく、どんな内容か全くわからない状況で映画を観るという経験は、多くの人にとって初めての経験だったと思う。それでもなんとなく私は、胸が躍るような愉しい映画ではないことをなんとなく感じていた。他の人はどんな予想をしていたのだろう。

正直、最近の自分の精神面の傾向からは、あまり積極的に見たい映画ではないかもという予感がしていた。実際、やっぱり個人的には今じゃない方がよかったけど、気になることを我慢するよりは、今見た方がよかった。ジブリの新作を毎度劇場で観てるってわけではないけど、やっぱり何というかお祭り感がある。

映画を観てから、誰とも話さずこれを書いている。隠喩的な表現も多く、見る人によって捉え方が大きく異なりそうだから、これからいろんな人の感想を見てみたい。

私の場合はざっくりと、世界の不穏な空気、人間関係の複雑さや捉えにくさ、現実を乗り越え成長する人間の可能性、いなくなってしまった人とも繋がり続けていることへの確信、新しく生まれてくる命の尊さや希望、みたいなことを感じた。そういう物事の本質に迫り、作画の魅力と迫力によってストーリーに引き込む、それはいつだってジブリの裏切らなさだし、今回もそういう満足度はあった。

でもやっぱり、超個人的な事情になるけども、いまこの作品を観るには、自分の心理的な状況が良くなさすぎた。主人公を始め登場人物が、現実でも自分が悩まされている、自分も含めた人間の業をイヤと言うほど見せてくる者がほとんどで、そこに敏感になって苦しんでいる自分にはやはり酷であった。
ただ、宮崎駿の年齢や現状を思うと、現世に残しておきたいメッセージという要素は感じたし、リアルな混沌が描かれているからこその不快さだった。それは作品として、とても真っ当だと思う。もしこれが最後の作品になるのなら、そういう意味では幼いころからジブリ作品に触れてきた1人として、メッセージは受け取りましたよ、という感慨はある。

また、この映画を深く知るのに、補足の知識もあると色々見えてくるのかもしれないとも思った。例えば物語の中で、亡くなった母から主人公の眞人が遺された本のタイトルが『君たちはどう生きるか』だった。私はこの本を知らなかった。

その辺に詳しい方のレビューを読めば、より深い考察ができるのだろうと思う。私もこれを書いたら、他の人のレビューを色々読んでみようと思う。でもなんだかんだ、私はいつも「やっぱり『魔女の宅急便』と『となりのトトロ』が一番好きだなあ」と思ってしまう。

時代の寵児とも言える人の人生の集大成となる作品は、その時代を反映し、多くの人に深い考察をもたらすものになるのだろうし、そうあってほしいと思う自分もいる。私も何年かかけて、この作品の捉え方がまた変わっていくのだと思う。一過性でなく人生の中で何度も振り返る機会がやってくる(それはテレビ放送という物理的な面においても)、今までのジブリ作品もそうだったように。


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