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学童の子ども達と作った動画作品、「ポテト物語」から見えること

制作やDXなどのお手伝いさせて頂いている「複合型福祉施設TERRA」の学童に通う子ども達と、動画作品を作るプロジェクトにお声をかけて頂き、8ヶ月間かけて(といっても土曜日に通う子が中心)「ポテト物語」という5分ほどの動画を作りました。編集作業以外は全て子ども達で考え、作ったものです。

ユニークな社会福祉法人

この複合型福祉施設TERRAというのは、一般的に私たちが考える社会福祉という概念の斜め上を行く、ユニークな施策をいろいろ実施されています。下記のロゴマークの記事で、事例としてTERRAの理念・考え方にも少し触れましたが、経営だけでなく実践においても、学びの場として子ども達の自主性や興味・関心を深められる取り組みを行なっている社会福祉法人です。

動画制作を通して感じてもらいたいこと

その取り組みの一環として、アート、サイエンス、エコノミー、フード、デジタル、ランゲージと7つに分類されたTERRA Rainbowと称する、学校では学べないことを中心とした体験を通して、心身・時間ともに子ども達の新たな居場所を創造する取り組みを模索しており、そのアイデアの中で生まれたものの一つが、前段で紹介した「ポテト物語」という動画作品です。

ここでの自分の役割としては、作品の制作過程やアニメーションの仕組みなどを知ることで、子ども達の中に眠るアイデアや発想を形にする手段を増やす、ということもありますし、大前提として「大人自体が楽しんでいるところを見て、ものづくりへの興味・関心、楽しさを感じとってもらう」ということが大きな目的でもあるため、まず自分が楽しんでることが求められます。

子ども達は大人を見ているわけですから、我々大人が楽しんでないものから、感じ取ってもらえることなどありません。普通に大人同士でも同じですよね。

多くの子が参加できる総合芸術

TERRAにイラストを教えに来ているイラストレータさん2名とTERRAの職員の方たちと大きな方針、やること、ざっくりとしたスケジュールを決めるところからスタートしました。

自分は東京なので月1でしか大阪に行けないため、先生たちにも動画制作について知ってもらったり、素材の準備の仕方や機材の扱い方などを理解してもらったり、テスト撮影などを行ったり、定期的にオンラインMTGを重ねて進捗確認しながら、さまざまなことを実践してもらいました。

はじめはパラパラ漫画を応用したものを中心に考える予定でしたが、現状の課題として長時間集中できない、飽きてしまう、イラストが苦手な子もいるということもあり、みんなが活躍できそうな役割を作ることを検討しました。ストーリー・シナリオを作る、動画はパラパラ漫画だけでなく、ストップモーションや演技などもできるグリーンバックを活用した撮影、小道具、大道具を作る、セリフ収録などをも取り入れることで、より多くの子が参加できる仕組みになっています。

そしてこれらの工程は、子ども達の自主性を誘発できるよう先生達はサポート役にまわり、作品タイトルやシナリオ、配役、イラスト制作、ストップモーション撮影、グリーンバック撮影なども全て子ども達で考え、作られたものになります。

制作の様子

現場の先生方が子ども達の興味・関心が持てるよう上手く指導されていたと思います。課題というかどうしても子ども達だけでは乗り越えられない壁がいくつかありましたが、創造というところに集中してもらい、いわゆる作業となる部分は私の方で対応しました。(編集作業、収録作業)

ipadでパラパラ用イラストを作成
主人公のジャガイモ、他の登場キャラクターも同じように制作
大道具を作って撮影
グリーンバックでストップモーション、演技の撮影
セリフ、ナレーションの収録

新しい取り組みは、大人のアップデートが必須

はじめはどうなるかなあとは思いましたが、まずは作品として完成できてよかったです。3月の末に子ども達によるTERRAの活動発表会があり、そこでも上映されました。親御さん達も喜んでもらえたと思います。

子ども達はどうしても飽きっぽいところもあるので、モチベーションという意味では先生達も相当大変だったと思います。新しい取り組みということもあり、何をどう進めたら良いか、正解かなんてわからない状態でしたし、今作っているものが最終的にどうなるのか、具体的な仕上がりイメージを共有できなかったことも、いろいろ難しく感じた一因かもしれません。しかしそういう意味では、本年度も新たな制作がスタートしますが、作品イメージもあるし、現場の先生達もやることや仕組みなどもわかっているので、今年も良い作品が期待できるのではと思います。

近年だとN高校や、最近話題のFC今治高校など、今までの教育の在り方を見直すような新しい学びの場が注目されています。社会でも義務教育含め、高校・大学で身につける学問・知識以外の創造力的なものを求められているようにも思いますし、このような取り組みからイノベーションを創出するようなリーダーが出てきそうな気もします。

学校で学べるものはほぼ動画で学べるし、塾で点数稼ぐことに重きを置くのも悪くはないですが、この世代の子ども達は、イノベーションやリーダーシップに必要な創造性を育てる体験などに、多くの時間を割くことができる環境になってきています。それには周りにいる大人自身もアップデートが必要です。

そのような環境が整いつつあるTERRAに通う子ども達も、今回のこの経験を通して、内に眠る創造力的な何かが目覚めるきっかけとなってくれれば嬉しいなと思います。

※写真と動画は掲載許可を頂いております。


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