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カレンダーに○をかく

ただ近所を散歩してスーパーに行って家にあるおもちゃで遊んでテレビを観る毎日。5歳の息子はこんな平凡な日々も楽しいらしい。

「いちにちがすぐに終わる。なんで~」
「この楽しい日をもういっかい朝からやりたい」
「朝起きたらすぐ寝る時間なんだよ。どうして!?」

実際のところ何もしていないから充実感が無くて1日があっという間なのか、日々に夢中で体感が秒なのか私には分からないが、息子本人は楽しそうなので親としては嬉しい。

9月の半ば、息子が寝る前に神妙な口ぶりで言った。

「この楽しい気持ちを忘れないためにはどうすればいいの?」

難問である。私はうーんと少し考えて答えた。

「字が書けるようになると、その日の楽しかったことをメモしておけるよ。楽しかったことを書いておけばあとから読んで思い出せるんじゃないかな。文字が書けると便利だね。息子くんはまだ字が書けないから絵を描いてもいいね。」

平凡な大人の回答だ。しかも文字の練習に興味を誘導するようなずるい下心もある。

息子は、ふーんなるほど、という様子で受け止めて眠りについた。


それから3日経って、息子がカレンダーを指さした。3日前の金曜日と前日の日曜日に”〇”のマークがかいてある。あとは2週間前のミスドに行った日にも。

「みてみて。楽しかった日には〇をかいてるんだよ。ママがこの前メモするって言ってたけど、字が書けないからこうすることにした。いいでしょ~」

なるほど。自分なりに考えてこうやって楽しかった日を記録する事にしたのか。たとえひらがなの書き取りに興味をしめしてくれなくても、これはこれで面白いしカレンダーに○が増えていくのがシンプルで良い。

「ママも楽しかったことを忘れたくないって思う?どうしてるの?」

えっーと、ママは写真を撮ったりこうやって書いて残しています。でも忘れちゃう事の方が多いし忘れたと思っていてもふっとよみがえったりするんだよね。それもまた楽しいと思うんだ。

にっこにこ