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控えめな黒子ではなかった…

ドイツの黒ビールを手にした大先輩から、
「アンタも私も、基本は黒子(くろこ)なんやて…」と言われた。
ボクはその時、たまたま同じドイツの白ビールという、
よく分からないものを飲んでいたのだが、
そんなこととは関係なく、その言葉に間違いはないと思った。

ボクとその大先輩とは、大きなイベントの仕事をしてきた。
やり方の仕組みが出来ていなかった時代、
いろいろと悩み考え、試行していたことは、
正式に仕組みが出来上がった段階で
初めて世の中に認められるようになる。
そして、その仕組みだけが走り続けていき、その構築に関わったニンゲンの存在はいつのまにか忘れられる。
そんなことが、よく知らないところで起きていた。
何にも知らない人たちが、正論(与えられた仕組み)だけで
語り合っているのを横で聞いているのも、
それなりに辛かったりするものだ……
 
カンペキに余談だが、
ボクの本棚にある広辞苑には、「くろこ」という言葉は載っていない。
自分が今書いた意味の「くろこ」は、「黒衣(くろごう)」のことをさす。
もともとの意味は分かるだろう。
漢字の「黒子」では、「こくし」とか「ほくろ」。
ほくろはそのままだが、
とても小さなものの例え…みたいなものに使われるらしい。
そんなことを、また改めて知ってしまうと、
黒子的存在感は、ますます惨めなものになっていく。
高級食材となってもてはやされている「白子」と比較しても、
黒子は、やはりちょっと寂しいのである……
 

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