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文庫本を片手に、熊と踊ってみた。

身体の中がズキズキするような読書だった。

1990年代、スウェーデン。
凶暴な父によって崩壊した家庭で育った三人兄弟。不幸中の幸いと言って良いのか、その劣悪な環境が、暴力の扱い方に長けた、揺るぎない絆を持つチームを生み出した。成人した彼らは、軍の倉庫からひそかに大量の銃器を盗み出し、史上例のない連続銀行強盗を決行する。成功を重ね、欲は膨らむ。
「同時に2つの銀行を襲った奴なんていないだろう.. だから、俺たちは3つ同時にやる」

前作『熊と踊れ』のレビューはこちら

『熊と踊れ』の続編である『兄弟の血』。

前作に劣らず、凄まじい小説だった。構成の妙。
クライムサスペンス感は前作の方が強いものの、
もっとズシンとくる心理描写に胸が熱くなった。

原題の直訳は「命を捨てる価値のある兄弟」という意味らしい。

血の繋がりという曖昧なものに、
暴力と愛が絡みあってグチャグチャになる。

良かれと思ってとる常識を逸脱する行動が、
あれよあれよと積み重なって破滅する。

いやー疲労感の残る1冊だった。

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