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モノローグ 独白

 モノローグという言葉で思い出すのが、萩尾望都のポーの一族だ。

新作も出て新しいファンを獲得しているのもあって、今、素晴らしい配役でのミュージカルが演じられている。

 何年か前、銀座でやっていた「ポーの一族展」に行った。子供のときに、ボロボロになるまで何度も読んだからか、全部セリフが入っていたのに驚いた。いまでも、ラスト「アラン。君もおいでよ。ひとりでは寂しすぎる」というセリフと、エドガーがアランを誘う、窓のレースの華やかなカーテンのひだひだの美しい画面を思い出すのだ。

 皆さん、同じところでぐっと来ていたようで、展覧会の最初に展示されていた。というか、SNSで見ると、同好の古いファンでセリフ入っている人、多いな。

 彼女のセリフがこんなにも心に残るのは、絵にそえた詩のかたちだからだと思う。

 

 これがそんなもんなんだなって、「小夜の縫うゆかた」で初めて意識した。短い短編で少女がお祭りの浴衣を縫う話だった。少女の切ない、自分を装う気持ちがえがかれ、胸が締め付けられそうになった。

 この話は少女のモノローグ、独白だけで構成されていて、当時では珍しい現代物だった。初期のなんてことのない短編だけど、好きだったなあ。

 

 こういった形式のマンガは萩尾望都だけの発見とかではないらしい。誰から始まったのかな。

辛うじて記憶があるのは、わたなべまさこの「ガラスの城」。

物語の最後をかざる少ないコマ割りにぽつぽつと張られたセリフの絵画的なセンス。かっこよかった。こういった絵に詩を添える形式は、竹久夢二や、高畑華宵辺りから始まったのかも。

 元々は和歌を交えた日本古来の絵巻物の形式があるのだと思う。

物語を音読するのが基本で、強調として和歌を交える。その流れとして、絵をまじえた詩としてこの漫画は心のすみっこにいる。

 

 

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