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脳はバカ、腸はかしこい⁉

こんにちは。橘です。
じめじめした日が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
低気圧や湿気で体調が優れない方も多いのではないでしょうか。

この時期はそういう時期だと割り切って、いつもの半分くらいのパワーで
乗り切るのも一つの手かもしれません。
どうぞご無理なさらずお過ごし下さい。


さて、前回のブログ(HP上)では三木成夫先生の本を
ご紹介させていただきました。

本の中で三木先生は、進化の歴史の詰まった内臓器こそ
生命の根源・本質であり、そこにこころがあるということ
内臓感覚の大切さを述べられていました。

私も施術においては一番にお腹へのアプローチを大切にしています。

ですので引き続き、腸について書かせていただきたいと思います。

 

脳はバカ、腸はかしこい⁉

『脳はバカ 腸はかしこい〜腸を鍛えたら、脳がよくなった〜』
藤田絋一郎 東京医科歯科大学名誉教授 三坂書房 知的いきかた文庫

著者の藤田先生(1939-2021)は微生物学の第一人者。
ご自身のお腹の中でサナダムシのきよみちゃんを飼育され、
カイチュウ博士」として知られていました。


そんな藤田先生は本書の中で
「腸は脳よりかしこく、幸せを作っているのは腸である」
「腸を鍛える事でいつまでも若々しくイキイキとした身体が手に入る」
と腸の重要性を述べられています。

【腸は第一の脳⁉】

三木先生が内臓が生命の本質だとおっしゃるのも
藤田先生が腸の思考力は脳より上だと述べられるのも

腸が脳よりも先に出現した歴史の長い臓器だからです。

地球上で最初に生物が生まれたのが約40億年前と言われています。
始まりはゾウリムシなどの一つの細胞から成る単細胞生物から。

そして多細胞生物から様々な動物へと進化していく過程で
はじめて出来た臓器が腸でした。

脳や心臓ではなく、腸だったのです。

最も原始的な動物と言われる腔腸動物は一本の管のように
口(入口)・腸(消化管)・出口(肛門)があるだけでした。

そこから長い月日をかけて無脊椎動物から脊椎動物へ。
魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、
そして人類へと進化していくのですが

その過程で腸の背中側に脊髄の原型が発達し、
その先端が膨らんで脳になりました。

また、最初に神経系ができたのも一本の管の時代で
脳ではなく腸が先でした。私たちの腸の中には
大脳に匹敵するほどの数の神経細胞があるのです。


このようなことから腸は第一の脳だと近年では言われてきています。

初めに腸ができ、脳を獲得したのは現在から5億年位前。

約40億年の生物史において8-9割の期間生物には脳がなかったのです。

なかなかダイエットや禁煙が続かないのは
歴史の浅く、目先の快楽に飛びつきやすい脳を
私たちはまだうまく使いこなせていないからだと

藤田先生は述べられています。

" 腸は「人の身体はこうなっている」ということを
遠い昔から経験でちゃんと知っています。
しかし脳は人間のことをまだ十分知らない状況なので、
時々勘違いしてしまうのではないでしょうか ”

『脳はバカ 腸はかしこい』 p44

【食べ過ぎると性欲がなくなる⁈】

前項では進化の過程で
まず先に腸ができた後、その周りを神経細胞が取り巻いて脊髄ができ、その先端が膨らんで脳ができたとお伝えしました。

その後、脳も様々な大きさに分かれ発達していきます。大まかには

呼吸・体温・食欲・性行動など最も原始的な本能を司る
爬虫類脳(脳幹)

快不快・喜び・嫌悪・愛情や仲間意識といった情動を司る
哺乳類脳(大脳辺縁系)

記憶・言語・学習・創造など理性的・論理的な思考を司る
人間脳(大脳新皮質)

というように進化・発達してきたと言われています。

最初にできた爬虫類脳は性行動を司っています。
しかし同時に食欲も司っているのです。

藤田先生は
「食べること」と「セックスすること」は同じ水源であることから
食べ過ぎると性欲がなくなり、
逆に性欲が抑えられると以上に食べたくなると述べられています。


本の中ではこんな実験が紹介されていました。
サルをカロリー摂取量の制限した節食群と
自由に食べることが出来る飽食群に分け観察するという実験です。

その結果、節食群のサルは元気で社交性が見られ
で子供を大切に育てました。

しかし飽食群のサルでは仲間同士のいじめやけんかがあり、
正常なセックスが見られなかったそうです。

藤田先生は飽食の現代社会で水源の水はほとんど食欲のほうに流れていき
セックスの川にはほとんど水が流れてこない状態になったのではないかと
危惧されています。


私個人としては、食べるものの質や誰と食べるか
どのように食べるかということは
性に限らず

トータル的な心身の健康にとって重要なのではないかと思います。


サロンに来られる女性の方で多いのは過度なダイエット等による
生理不順PMS症状です。

男性の方では性欲がないというお悩みで、食事内容をお聞きすると
食べるとだるくなるから日中はお菓子を軽くつまむだけ
という方がいました。

どちらも共通しているのは、生命維持のために優先的に身体が働き
性ホルモンに関する働きが後回しにされ
低下しているということが推測されます。

反対に男女関係なく、おいしいモノを食べることが大好きで
バリバリ働きながら夜の生活も楽しんでいる
という方もよく来られます。

恐怖や何かから逃れるために食べるのか感謝して楽しんで食べるのか。
「食べる」行為以外にも

自分自身ひいては人生への姿勢が
私たちの性へのエネルギーの循環に
大きく関係しているのではないかと思います。


【幸せ&ドキドキホルモンは腸で作られる⁈】

腸は単なるチューブではなく複雑な生体機能を司っています。

そしてそのチューブの中には1000種類以上、
100兆個以上の腸内細菌が生息し
大腸内に生息する細菌だけでも2キロ近くになると言われています。

この腸内細菌たちが私たちが
幸せどきどきやる気を感じる物質を作るのに重要な役割を果たします。

その物質とはドーパミンセロトニン

セロトニンとは精神を安定させ喜びや快感を伝えるもので
ドーパミンとは気持ちを奮い立たせ集中力ややる気を起こさせます。


特に体内のセロトニンの90%は腸内で作られている
というのは有名な話です。

セロトニンが減ると不眠やイライラ・うつ状態
男性では早漏になりやすいと言われています。


腸内細菌たちはこのドーパミンやセロトニンのもと(前駆体)を作り
脳へ運ぶ働きがあるのです。

私たちの気分や思考、行動までも腸が担っている
と言っても過言ではありません。

【いつまでもいきいきと若々しくいたいあなたへ】

幸せや快感を担うセロトニンドーパミンの生成には
腸の働きが大切だとお伝えしてきました。

本の中ではこれら幸せ物質の生成を助け、
腸を鍛える食事法が紹介されていたので簡単にまとめてみました。

①卵・豆・魚類・乳製品を摂り入れる
②食物繊維や緑黄色野菜を摂り入れる
③抗酸化力のある食品を摂り入れる

幸せ物質のセロトニン・ドーパミンはそれぞれ
トリプトファンフェニルアラニンというアミノ酸からできています。

これらは卵や豆腐・納豆と言った大豆製品
カツオ
マグロなどの赤身の魚
チーズ
などの乳製品に多く含まれています。


しかしトリプトファンやフェニルアラニンが
多く含まれている食品をいくら食べても
腸内細菌がバランスよく増えていないと
ドーパミンやセロトニンのもとが合成されません


また、タンパク質を分解し
トリプトファン・フェニルアラニンを
生成する時にはビタミンC


そこからセロトニンやドーパミンを合成する際には
葉酸ナイアシンビタミンB6などの
ビタミン類は必須です。


海藻類やきのこ類など食物繊維の多い食品は
腸内細菌の餌になり

色の濃い緑黄色野菜ビタミン類ミネラルも豊富ですので
サラダなど付け合わせとして一緒に取り入れるといいでしょう。


ここまで「摂り入れる」ということをお伝えしましたが
とりのぞく」ということも、それ以上にとても重要です。

私たちは便利で快適な生活を目指してきましたが
それに伴い増加した
活性酸素」にも注意が必要だと藤田先生はおっしゃられています。


例えば食品添加物や、残留農薬が多く含まれている食品を摂ったり
排気ガスやたばこ、電化製品からの電磁波
日常的なストレスの影響により
腸の中では活性酸素が発生します。

この過度な活性酸素が腸を攻撃
細胞の老化を進行させるとも言われています。


まずはこれらの活性酸素を発生させる行動を減らし、
抗酸化作用のある植物性の食品(フィトケミカル)を摂取することを
藤田先生は提唱されています。


先ほどの緑黄色野菜や果物にもポリフェノール・カロテノイドなど
抗酸化作用があります。

また、低温圧搾されたエキストラオリーブオイル(酸度0.8以下)は
抗酸化作用のあるポリフェノールやビタミンEが含まれ
他の植物油と比べ酸化されにくい
オレイン酸が多く含まれていることから
本の中でおすすめとして挙げられていました。


いきなり全ての食生活を変えるのは簡単ではないかもしれませんが
普段使っている油を変えてみる
おやつの代わりに旬の果物を食べてみるなど
取り入れやすいところから始めてみてはいかがでしょうか。


【おまけ-最強の精力剤

「70際を過ぎても現役バリバリの秘密」】

おまけです。本の中に登場する
藤田先生のご友人は70歳を過ぎても精力バリバリなのだそうです。


なぜならミミズを飲んでいるから。

昔から「ミミズがいる畑はいい畑だ」といいますよね。

ミミズのうんこの中には、数えきれないほどの腸内細菌がいて
土壌中の有害物質を処理して土を回復すると言われています。


そんなミミズは土地改良ばかりでなく
精力剤利尿剤脳梗塞心筋梗塞の治療薬になるなど
様々な薬理作用を持っているようです。


そのご友人によるとミミズを飲むと
全身の血流が促進し
特に陰部の血流が増えて精力が増すのだそうです。

(ちなみに、藤田先生は土壌菌を毎日飲まれていたようで
バリバリの現役だと述べられていました。)


EDの原因の一つに肥満(メタボ)が挙げられますが

高脂肪の食事が善玉菌を殺す」という
北海道大学グループの研究があります。

ラットに高脂肪の食事を摂らせ、腸内細菌を観察すると
悪玉菌が全体の98%と異常に増え
善玉菌を含むその他の菌が
4種類しかいなかったそうです。

腸内細菌のバランスの崩れが結果的に
精力減退EDにつながるのかもしれません。


また、勃起には全身の血流を良くする以外にも
脳が興奮していることが重要です。
興奮には適度なドーパミンが必要なのです。


前述しましたが
腸内細菌がバランスよく存在することで
腸内でドーパミンのもと(前駆体)が生成されます。


ミミズが精力に効果的だったのも
腸内細菌が関係しているのだろうと藤田先生は述べられています。


個人的には 土台となる普段の食事が重要
そこが整うことで そのような
サプリや漢方などが効果を発揮すると考えていますが

気になる方は医師や薬剤師の方とご相談の上お試しください。

【まとめ】

ここまでお読みいただきありがとうございます。

藤田先生の腸と脳に関する、とても興味深いお話の
ほんの一部のご紹介でしたがいかがでしたでしょうか。

タイトルでは脳はバカと強い表現をされていましたが
本の中では決して
脳の働きを悪者にしているわけではありませんでした。


腸よりも出現してから歴史の浅い脳を私たちは
うまく使いこなせておらず
時に振り回されることもありますが


腹に主軸を向けて、心身が豊か生きるために
脳をうまく活用していきましょう

そうお伝えされているのではないかと私は思いました。


長くなりましたが今回もありがとうございました。



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