えぴさん

書くのも読むのも好きな人です。読書備忘録もつけています。▶︎▶︎▶︎ https://ww…

えぴさん

書くのも読むのも好きな人です。読書備忘録もつけています。▶︎▶︎▶︎ https://www.instagram.com/epi_san_dokusyo

マガジン

  • ふわっとえっせい

    どこまでもふわっとしてるエッセイらしきもののまとめ。

  • 小説

    長さもまちまち。基本ショートショート。 私の書いた小説をまとめました。

  • 猫と帽子の創作コンテスト 参加作品

    10月〜11月に開催していたコンテストに参加して頂いた方の記事をまとめました!素敵な作品が詰まっていますので、ぜひご覧下さい。

  • えぴさん’s詩

    詩とは何かも解らない私が、私なりに詩を書いてみました。よろしければ、ご覧ください。

最近の記事

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【小説】揺れる

 その町への年間移住者数は数年前から僅かながら上昇の一途を辿っていた。元々特別人口の少ない地域では無かったが、役場に新設した「町おこし課」へ都会に進学した出身者のUターン採用を行ったことが功を奏したのである。山間に位置するため緑豊かな環境なのは勿論のこと、育児補助制度の充実やスローライフの確約といった魅力は現代に合ったPRの手法で巧みに拡散され、先月にはローカル番組ではあるものの特集の案件が打診される程となった。  現在、古民家の縁側で手をついて足を放り出している男もつい先日

    • #8 ひねくれ曲鑑賞

       先日と言っても少し前の話になるが、映画『ラーゲリより愛を込めて』試写会にて主演を務めた二宮氏がこんなことを。  心が痛かった(20代・一般男性)。と言うほど痛くは無かったけれど、「そもそも大人って何?」、「一般って何?」というネタでまた書けそうだなと思っているくらいには面倒な物の見方をする、少し変えればトガっている私である。  そんなエピソードとして紹介できそうだなと思ったのが本タイトル。私は読んだことも見たことも無いが、漫画『るろうに剣心』はご存じだろうか。私はご存じ

      • #7 少年は吹っ飛んだ布団を乗り熟していた

         私はスポーツ全般に苦手意識を持っており、だからと言って見る専なのかと言われれば特段見ようともしない類の人間……と書こうとした所(書いてる)で「でもオリンピックとか世界陸上とか見るな」と思うあたりどうにも私のきまりの悪さが出ている。それはそれとして話題は現在開催中のサッカーワールドカップの話。ルールも詳しくは解らないし特に見る気は無かったものの、スペインvs日本戦のその日はどうにも課題が終わらず3時半までかかってしまったので、世に言うわあるどかつぷといふものを見て進ぜようとよ

        • #6 ドーム球場コウノトリ観測隊

           純朴なえぴ中学生はそう理解したのだ。日本各地にはそういった施設が存在するのだと。  何の話かと言えばコウノトリというワードとドームという言葉から察された方もいるであろう例の避妊具についてである。あまりこういった話題には触れないがまあ、偶には。得意でないという方には大変申し訳ないが私も大いに苦手なのでそれで何とか手を打って頂きたい(?)。じゃあなぜするのかという話だが、唐突に思い出したのでネタにせざるを得なかった。  兎にも角にも薄さが選べる最近の歯ブラシみたいな特徴を持

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        【小説】揺れる

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        記事

          #5 『揺れる』背景話

           つい先日、中島らもさんの『世界で一番美しい病気』という本を読了した。きっかけは暫く前にnoteで同著者の作品『アマニタ・パンセリナ』について軽く触れられている記事を読み、作家について調べて大変に興味を抱いたからだ。その破天荒な生き様、そして優しさ。前述の作品の他に何か別の作品もと選んだのが本作だった。  大きなネタバレでもない……というか裏表紙にも記載されているためズバリ言えば世界で一番美しい病気と語られるのは「恋」である。確かにハンコックもその母、祖母も苦しめられたと聞

          #5 『揺れる』背景話

          #4 ディックに寄せられて

           「引き寄せの法則」というものがあると以前SNSで見たことがある。「どんなときも」のMVを見たら関連動画に「SPY」が出てくるようなことだろうか(違う)。冗談はさておき信じるか信じないかという軸で私はそれを捉えておらず、そういうのがあるんだなぁ程度に認識している。それに近しい経験をすればあれかぁと思うし、無かったとしてやっぱり嘘八百じゃないかと思うこともない。  そんな前置きを書くくらいなので法則に則った経験の話をする訳だが、それはつい先日書店を訪れた時。本に関しては基本衝

          #4 ディックに寄せられて

          #3 舞闘士は銀の戦車に乗らない

           日本の映画の興行収入ランキング。鬼滅の刃が千と千尋の神隠しを抜いて一位になったというニュースを見た時私は何とも言えない気持ちになった。というのは古き良き日本の映画を! とかジブリという制作会社に敬意を払ってだな、などということでは当然なく、予備知識なしでは面白さが半減してしまう映画が一位? と思ってしまったのだ。原作を読んでいないから面白くないかもね、ちょっと分かりにくいとこあるかもね、という作品が……と思うと少しもやもやしてしまったのだ。映画自体を否定する気は全くないし、

          #3 舞闘士は銀の戦車に乗らない

          #2 立ち食いそば屋が好き

           様式美を感じる。  題名通りそれは立ち食いそば屋に関してだが、どうも私はあの雰囲気が好きなのだと先日何年行ってんだよというタイミングで実感した。本当にふと、なので特にこういうことがあったために気付いたという理由は無い。そういう所も好きだ(?)。  「も」という場合事前に好きなのは何故かと述べるべきな気もするが別にいいやふわっとえっせいだしとさらっと流して好きな理由を挙げたい。何かレポートみたいな語尾になってしまった。この文章はWordで一度入力してからコピペしているのだ

          #2 立ち食いそば屋が好き

          #1 ごめんよ『氷と蜜』

           今回が「ふわっとえっせい」記念すべき第1回目になると入力しようとしたところで「すべき」に引っかかっている現在。色んな式典とかで聞くけどそんな「しなければならない」的な言い方せんでも……という小さい所に引っかかるあたりどうにも面倒な性格をしていると思う幸先の悪いスタートを切ろうとしている。「僕の悪い癖」なんて言ってごまかせるのは右京さんくらいだろうか。私にはちょっと難しい。  それはそれとして私は読書が好き……な時期が頻繁に訪れる性質を持つ。ヒソカみたいな言い方になってしま

          #1 ごめんよ『氷と蜜』

          草鞋を二足に。そして彩りを。

          おはようございます、こんにちは、こんばんは。 又ははじめまして!えぴさんです。 覚えている方はいらっしゃるでしょうかと 戻ってくる度に言う、定期的に休む系noterです。 でも辞めもしないのでしぶとい系とも言えるかも… 何にせよショートショートの書きたい人です。 お久しぶりの方はお久しぶりで御座います。 私情の方が落ち着いたのでまた帰ってきました。 (私情って言葉は便利ですね、と言うと言葉の方に 「どうせ都合のいい言葉よ(だよ)!」と思われそう。 どの道、大した事情では

          草鞋を二足に。そして彩りを。

          【小説】いちごシロップ

           盆の前とはいえ学生子どもは既に夏休みに入っているのかどこに行ってもウザったく、楽しそうにしていた。有給の月曜日、手元の腕時計では現在十六時半。家の空気感にも堪えられないと久しぶりに海にでも回っていこうと考えたのが大きな失敗だった。役所から直帰すればこんな胡散臭い男には絡まれなかった筈だ。 「ね、ね、絶対損はサセないからサ!」  エメラルドを基調にした派手なアロハシャツに薄いベージュの膝丈パンツ。サングラスの掛けられた明るい金髪とは対極と言えるほど焼かれた肌。この男は日サロに

          【小説】いちごシロップ

          【小説】θαυμάζειν

           例えばホームセンターやアパレルショップであれば最新のJ-POPが店内BGMに採用されていても違和感は抱かない。ところが地方のうらぶれたスーパーだったり心許ない蛍光灯を現役扱いしているような洋服屋でそれが流れていると何だか客層も相まって物悲しい気分になってしまう。どうにも噛み合っていないのだ。分不相応というものである。  そんなことを考えながら、からんからんとドアに取り付けられたベルを鳴らして入ってくる男にこちらですよとハンドサインを送った。入り口から僕の座る四人掛けの端の席

          【小説】θαυμάζειν

          【小説】サマー・アドベンチャー・チケット

           キタローの家は父が資産家でそれはそれは大変に裕福な家庭であるものの、それ故に仕事で家族が揃わないことも多く、そんな訳でシュンスケの手の元に三人分のチケットが流れ着いた。おいシュンスケ、おれのとーちゃんせっかくゆうえんちにいくやくそくしてくれてたのにまたいけないんだってよ、だからおまえかわりにいってこいよかぞくで、まえここのゆうえんちいきたいけどおかねかかるからっていかせてもらえないっていってただろ。そんな具合で喜んだシュンスケは小学三年生らしく、喜びを皴と手汗としてペラペラ

          【小説】サマー・アドベンチャー・チケット

          【小説】ドライヤー中の話

           僕は漫才が好きだ。コントも勿論好きだし漫談も講談も太神楽だって同様。どれだって「同様」に好きだと言えるくらいにどれだって突出して好んでは無いけれど好きなことに変わりはない。ただどれも好きだからこそ惨めになる。だからテレビでお笑い番組をやっていれば避けるようになったしたまたま家の近くにあるデカい公園で講演をやっていても家に籠ってイヤホンで曲を聴くなどの対策をした。したというかしている。そういえば公園で講演って駄洒落っぽいな。すいませんね。誰に言ってるんだか。  というのもそれ

          【小説】ドライヤー中の話

          【小説】痕

           右頬に鉄を嗅ぐ。正確には風呂場用タオルを介しての臭いだけど、何れ潰れたニキビから出た血はほんの僅かに鉄臭い。三日も経てば痕は消えてくれるだろうか。とりあえずタオルは暫く交換もしてなかったし、後で捨てて予備のに替えておこう。湯に浸して擦ると思っていたよりも紅の滲みは遺らない。絞ってみてもジャババと湯船から跳ね返る液体は透明だ。そういえば風呂場に来て何分くらい経ったのだろう。真由美はもう寮に着いたのだろうか。いつだったか見えた定期券には一つ隣の駅が印字されていた。  真由美か。

          【小説】痕

          【小説】イヤホン

          insert:三叉絶縁 今からの逃避。  生欠伸を促す退屈、肺の重さを意識させる空気、そして、ふとした時に包まれる理由の無い寂しさ。イヤホンに伸ばす手は誰しもが曲を求める訳ではない。  カナル型とかインナーイヤー型とかもいいけれど、やっぱりワイヤレスじゃない方がいいな。一日の中でも比較的混み合わない時間帯の車内。一人がぽつり、頭の中に独り言を溢した。駅の到着アナウンスに続いてアライビングアットと流れていく。約束の時間には少し遅れてしまいそうだ、と小さな不安も焦りも関係のない誰

          【小説】イヤホン