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TALK TO ME トーク・トゥ・ミー(2023)

 ホラー好き界隈でかなり話題になっていた作品。オーストラリアの兄弟YouTuberが監督とのこと。サブスクにくるのを待ち続けてようやくアマプラで鑑賞した。いやぁこれは…悪くはない。悪くはないけど同じA24が配給しているヘレディタリーは超えられずというのが正直な感想だ。

<あらすじ>
2年前の母の死と向き合えずにいる高校生ミアは、友人からSNSで話題の「90秒憑依チャレンジ」に誘われ、気晴らしに参加してみることに。それは呪われているという“手”のかたちをした置物を握って「トーク・トゥ・ミー」と唱えると霊が憑依するというもので、その“手”は必ず90秒以内に離さなければならないというルールがあった。強烈なスリルと快感にのめり込みチャレンジを繰り返すミアたちだったが、メンバーの1人にミアの亡き母が憑依してしまい……。

映画.com

<感想>
(始めに言っておくが、この映画はちゃんと面白いので私は観て良かったと感じた。だからこそ、ちょっとした違和感が目立ち、愛ゆえの辛口レビューになってしまうかもしれないのでご了承いただきたい。noteではお勧めできる映画やモノだけ紹介すると決めている。とてもとても記事にできない映画たちの屍を越えてきた私を信じてほしい)

※以下ネタバレを含みます※

 オープニングのつかみは悪くない。何やら怯えた様子の男性が兄を包丁で刺し、自分も刺して自殺するショッキングな映像で、軽快なスタートダッシュをかましてくれる。その後は主人公となる高校生のミア、女友達のジェイドと弟ライリー、ジェイドの彼氏ダニエルの関係性が描かれていく。

 巷で流行っている「90秒憑依チャレンジ」を行うミアと友人たち。
銅像の手みたいなのを握って"Talk to me"と言うと目の前に霊が現れる。そいつに向かって” I let you in”(入っていいよ)と言うと霊が憑依するのだ(サムネの状態ね)憑依には強い快感を伴うため、若者たちはまるでドラッグのように何度も何度も憑依を試みる。そしてまだ若いライリーにも参加させたことがきっかけで、悪霊はライリーの身体に居座り続けることとなる。

 この「憑依チャレンジ」をどう捉えるかで、この映画への評価は大きく変わってくると思う。いわゆるコックリさんのような降霊術なので若者がふざけてやるのは分かる。でもこれは一応ガチの霊が降りてくることになっていて、ただの都市伝説ではないわけだ。それを知っていながらゲームのようなコンテンツとして消費する。この若者たちの感覚に共感できるかどうか。そしてこういう描き方をすることで悪霊たちがまるでお化け屋敷のお化けのように、アトラクションの仕掛けのように感じられ深刻さに欠けてしまう。ヘレディタリーと比較して申し訳ないが、みなさんご存知のようにあの映画は「深刻さ」しかない。最初っから最後まで地獄のような空気の中、文字通り最悪の展開を辿る。こちらの映画はまた狙いが別なのは分かるが、私はちょっとここの違和感が拭いきれなかった派だ。

 そもそも主人公ミアの言動が最初からちょっと浮いているというか共感し難い。いくら親友の弟でもベタベタしすぎだし添い寝は普通に引いた。何?卒業させてあげたいの?って感じだ。それに親友の彼氏であるダニエルにも本当に馴れ馴れしい。一つのベッドで寝るのはアウトでしょうが。「母親が自殺しているから」っていう免罪符では足りないくらい、図々しいというか突っ走ってしまうところがある。これがね、これが伏線になっていて因果応報的なエンドに繋がってるという見方もあると思う。でもそれにしては中途半端なのだ。ミアは確かに悪いところもあるけど、霊として彷徨い続けるという仕打ちを受けるほどの極悪人ではない。何にも悪くない主人公が悲惨な目に遭うと胸糞展開になるが、なまじっかミアが悪いところもあるだけに、視聴者としては宙ぶらりんな感情のまま放置されてしまう。
 ちなみに親友のジェイドも良い人すぎるというか、なんで弟殺されかけて彼氏にちょっかい出されたのに、まだミアと友達続けてるのかよく分からずモヤっとしてしまった。彼氏のダニエルもみんなの前であんな醜態を曝け出しておきながら、またゲームに参加するの意味不明だし、ジェイドが辛い時もっと側にいてやれよと思う。つまりは「よし。お前についてくぜっ☆」って思える人物が作中に出てこないのだ。

 色々語ってしまったが、グロ描写はなかなか凝っていて、弟ライリーくんが頭を打ちつけたり目玉を抉り出したりするシーンでは思わず声が出てしまった。憑依された時の描写や悪霊のルックスもすごく不気味で私好みだし、ミアの母親の霊が助けてくれそうに見えてしっかり「悪霊」になっているところは残酷で良いと思った。ミアの幻覚と現実の区別がつかなくなっていく様子も自然に描かれていて、どこから攻撃されるか分からないのは「スマイル」に共通する怖さがある。

 もしもこの映画の内容がZ世代には普通のノリで、私がただのイタいアラサー独女だという事実を突き付けているのだとしたら、今作は間違いなく世界で一番恐ろしいホラー映画だろう。アマプラだと有料レンタルで観られる(いつか迷わず「高画質」を選択できる女になるぞ!)

気になった方は是非ご鑑賞ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

 

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