麻辣汁なし担々麺を求めて
辛いの苦手じゃないかも、むしろ好きかも、と気づいたのって自分の場合けっこう大人になってからで、以来外食となるとエスニック系だとかカレーなんかのお店を好んで選びがちになりました。とりわけ「麻辣」…あの独特の麻(しびれ)と辣(からみ)のコンビネーションとの出会いは衝撃でした。
元はと言えば、友人に広島式汁なし担々麺の専門店「キング軒」へ連れていってもらったことがきっかけ。東京店がオープンして間もなくだったから、あれは2015年のこと。もちろん中華料理で麻婆豆腐なんかは食べつけているから、花椒自体が物珍しかったはずはないんだけど、それにしたって、あの舌の感覚が麻痺するほどの痺れのなかで感じる旨辛さは新鮮な体験だった。
今でこそ、油そばだとか台湾まぜそば(名古屋発祥のやつ!)なんて、汁なし麺店のジャンルもいろいろあるけれど、なかでもわたしはやっぱり麻辣を推していきたい。で、調べてみると、麻辣汁なし担々麺を看板メニューとして出しているお店は都内にもけっこうあって、機会をみてはトライしてきました。今回はその個人的な覚え書きをまとめてみます。
なお、これは全然網羅的なリストではなく、偏りがある点ご了承ください。孤独のグルメで取り上げられた池袋の「楊」はまだ行ってないし、湯島の「阿吽」や「ひよこ堂」みたいな有名店もまだ行ってません。わたしは全然ラーメンブロガーじゃないし、食べログで一人称が"小生"のヤバいレビュアーでもないので、単に行ったとこのメモ書きです。
キング軒 東京店(浜松町)
汁なし担々麺のメッカとされる広島から東京に進出してきたのが「キング軒」。浜松町と芝公園の間くらいにあって、平日のご飯どきはビジネスマンでごった返しています。カウンターのみの小さいお店なので基本は並ぶけど、回転がチョー速いからすぐ食べられる。
パッと見、白っぽくてそんなに辛そうじゃないんだけど、ここから混ぜるとそれっぽくなる。汁なし麺を写真で伝えるときに不利なところは、混ぜたあとの見映えがあんまり良くないので記録に残しにくいところですかね…。
キング軒の特長は花椒の風味の強さと、硬めの細麺のもちもち感。何ともいない個性があり、同じ汁なし担々麺でもここの代わりになるお店はない。東京ではいまのところこの東京店と、銀座の広島アンテナショップTAU内の出張店舗だけのようなので、末永く続いてほしい…というそれだけです。おすすめは3辛+ライス。
香家
香家(こうや)はチェーンのカジュアルな担々麺専門店。都内に9店舗くらいあり、わたしは新代田本店ほか池袋、秋葉原、三田、中目黒、横浜など各店舗渡り歩くくらいにはファンです。ここはどの店舗も女性客が多く、ヘルシーでおしゃれな雰囲気を売りにしているよう。
ただ、量が控えめなことを除けば、ここの汁なし担々麺はガッツリ辛く、ナメてかかると泣きを見る無慈悲さです。なにしろ通常の麺を、唐辛子を練り込んだ唐辛子麺に変更することができるのだ!(上の写真)
ほおずき(中野)
汁ありのノーマルな担々麺で有名なお店ですが、汁なしもあります。おすすめは黒胡麻の香りがいい黒汁なし担々麺。ただ「麻」のしびれはほとんどなく、価格のわりにボリュームも少なめで、物足りなさはあるかも。
中野には少し前まで、キング軒同様に本場・広島から進出してきた「鯉のぼり」というお店もあったんだけど、さすがにラーメン激戦区だったのか、残念ながらすぐ撤退してしまいました。2回しか行けなかった。
雲林坊 秋葉原店
秋葉原に寄ったときは候補に入れるお店です。ただ、かなり並んでいることもある。独特の濃いめのたれが特徴的で、感じ方によっては焼きそば系のソース風味にも感じるから不思議。最近は、万世橋側に「香家」の秋葉原店ができてしまったので、迷ったらそっちに行きがちではあります。
花さんしょう 狭山店
なぜか埼玉県内に3店舗だけある担々麺専門店。その名の通り花椒にこだわりを持ったお店ながら、リピーター向けに飽きさせないためか多彩なメニューで攻めてくる。ただ、汁なしは狭山店限定らしい。
狭山、まったく馴染みがない土地なんですけど、初回はたまたま友人の車で、2回めは近くのクラシックコンサートに出かけたついでに寄りました。キング軒や香家のようなエレガントさはなく、もちもちした太麺でボリュームがすごいんです。パワーって感じ。
煌力(京都)
京都! なんで急に京都かというと、去年の6月に行ったとき夕飯どうしようかなと思ってご当地担々麺屋さんを調べたところ、出てきたのがここだからです。烏丸御池駅から徒歩数分。お店は「ごうりき」と読むそうです。
ここも独特の味わいがあってとっても美味しかったんだけど、何より変わってるのが〆のライスの食べかた。なんとお店のおやじさんに頼むと、具材を鉄の器に移してくれて、ビビンバみたいにしてジュージュー焼いてから食べるのだ。エンターテイメント感ありました。いつかまた行きたい。
にし森(立川)
立川の北側に去年8月にオープンしたという、あの界隈では貴重な担々麺専門店。2回行きました。いわゆる四川系の本格麻辣とはちょっと違って、独自路線を模索している感じ。美味しいですよ。とっても感じのいいご夫婦?が店を切り盛りしていて、そこも応援したくなる。
胡楼亭(あざみ野)
田園都市線のあざみ野が最寄り駅。東京近辺にお住まいの方にとっては行きづらいと思うんだけど、ぶっちゃけた話うちの地元なのです。で、地元にこんな店があるとは去年まで知らなかった…。
近隣の中華料理店で出していた担々麺の評判が良く、担々麺専門店としてのれん分けしたという曰く付きのお店。地元贔屓抜きにして、麻辣の王道を行くかなり本格的な味でおすすめ。上の写真は、汁なしとは似て非なる坦々まぜそば(半ライス付き)なんですけど、ちゃんと四川風汁なし担々麺がある。わざわざ行く価値あります。
インスタント編
最近わりと、インスタントでも汁なし担々麺出てますよね。カップ麺でも冷食でも、花椒がちゃんと別のスパイスパックでついてたりして。
カップ麺では、この「汁なし坦坦刀削風麺」がひとつ頭抜けて美味しかったのですが、見かけないなと思ったらとっくに終売になっていたようです。インスタントは結局、花椒で雰囲気だけは寄せられるんだけど、坦々具材のボリュームの少なさと、麺のチープさがネックになってくるのかも。
風味で言うなら、このカルディで売ってる「広島式汁なし担担麺」もおすすめです。麺も比較的頑張っている。キング軒も一時期ローソン限定で正式に監修したカップ麺出していたりしたんですよね。
麻辣モスバーガー
でなんか、なんで急にこんな麻辣系の記事を書いたかというと、こないだモスバーガーで期間限定で始まった「麻辣モスバーガー」なるものを食べたからなんです。麻辣ブームもここまで来たか、みたいな感じです。
これが麻辣モスバーガーだ!
特製ソースにたっぷり花椒が効いていて、なるほどこれは麻辣だ。っていうか、合う。普通においしい。おいしいんだけど、麻辣を麺とかライス以外の炭水化物と合わせたことがないので、脳がバグる。いや、これ食べてるの…ハンバーガー…麺…いやハンバーガー…?みたいになる。お試しください。