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【ゲーム】スーパーマリオ オデッセイ

Nintendo Switchの『スーパーマリオ オデッセイ』を10月27日の発売日に買って、ストーリークリアまで進めました。いやーヤバイ。めちゃめちゃおもしろいです。3Dプラットフォーマーの完成形ですねこれは。

私が最後に遊んだマリオは3DSの『スーパーマリオ 3Dランド』(2011年)で、それ以降のWii~Wii U時代のマリオからはしばらく離れていました。任天堂ハード自体を追いかけていなかった事情もありますが、ゲームとしてはだいたい毎回80点くらいはおもしろいのは分かっているから、もういいかなみたいな思いもあって。

というか、『3Dランド』で納得いかなかったのが「どうしてもクリアできないところでは無敵になれる」という仕様でした。これって私には制作者側のレベルデザインの放棄に思えてしまって、そこをスマートにプレイヤーに学習させるのが「マリオ」のすごいところだと考えていたので、けっこうガックリきたのです。

ひたすら遊んでしまう

『スーパーマリオ64』あるいはその移植版の『64DS』を遊んだ方なら分かると思いますが、本作『オデッセイ』は、あの箱庭空間での徹底的な遊びの追求をストレートに拡張したもので、ステージクリア型のメインのストーリーラインはあるものの、基本的にはあのときの「パワースター」集めと同じく「パワームーン」を集める小さい遊びの集合体になっています。ひとつのパワームーンは5分くらいで解けるアクションか謎解きを通して発見する流れになるので、1つ見つけたらそこが区切りになるし、次を探して延々と繰り返してもいい。そうして5分が30分になり、2時間になりと延々と遊んでしまうのです。

こうしたゲームデザインはswitchの強みである0秒スリープ復帰とも相性が良くて、Joy-Conを手に持ったらすぐ続きが始まり、気が済んだらいつやめてもいいという気軽さが、恐ろしいほどの中毒性を生んでいます。いつやめてもいいイコール、やめどきが分からない。

そして「遊び」の作りかたが本当に巧妙と言うほかなく、例えば、プレイヤーが「何かありそうだな」と思ったところには絶対に何かあるのです。マップやオブジェクトのあらゆる配置に意味があって、無駄なところが全然ない。隠れているなと思ったところはカメラをぐるっと回せば続きがあるし、高いところに登ればそこから見える景色に必ず次のヒントがある。そうして進んでゆくとムーンなりコインなり、空けていない扉が出てくるのです。

当たり前のようだけれど、まずこれが芸術的なまでにすごい。『ゼルダBotW』のときのように、極めてロジカルに設計されているのが伺えます(参考:[CEDEC 2017]「ゼルダの伝説BotW」の完璧なゲーム世界は,任天堂の開発スタイルが変わったからこそ生まれた - 4Gamer.net)。

更に、帽子を使った新しいアクション「キャプチャー」が、ジャンプ、あるいはBダッシュに連なるレベルの発明なのでした。これまでもマリオは様々なキャラになりきることで特有のアクションを使い分けることができましたが、これをマリオがいつも被っている「帽子」と関連付けることによって、アクションの幅と奥行きが掛け算的に広がった。

これなんかも、例えばどのキャラに乗り移ればその障害を乗り越えられるかが分かりにくければ台無しになってしまう…ややもすると「ただ面倒くさい」新要素になりかねないわけですが、ここもコースデザインの妙でまったく迷わない。「カエルになればあの高さまで届くかな」「キラーになればあの壁を壊して先に行けるかな」という発想に、自然に誘導されるようにできているのです。

ストーリーはない…でもそれでいい

ないというか、いつものやつなのです。クッパがピーチ姫をさらって、マリオがそれを追うというだけ。いかにマリオのゲームデザインが優れていたとしても、「ゲームデザインが良く、かつ、ストーリー自体に高い価値がある」というような作品が今やたくさん(本当にたくさん!)あるなかで、いまだに見飽きたヒゲのおじさんが囚われのお姫様をただ助けに行くだけでいいのかという視点もあります。

でも私はこのシンプル極まりないストーリーに、むしろこれでいいんだ、これがやりたいんだという決断的な力強さを感じました。ただひたすらにゲームがおもしろいだけのゲーム!誰もがただ子供のように夢中になってボタンを押してしまう、ヒゲのおじさんが飛んだり踏んだりするだけでおもしろいゲーム。覇王だからこその風格というか、マリオでなければこうはいかない。

それに、ストーリーこそシンプルですがこの作品、演出と音楽が素晴らしいのです。この2つがひとつになる、都市の国での「フェス」は『オデッセイ』の究極のファンサービスを象徴するイベントで、何をどうすればプレイヤーが喜んでくれるかを分かったうえで、計算ずくでやっている。ネタバレになるので書けませんが、ストーリー上の最後のキャプチャーシーンの演出も最高に良かった。

このヴォーカル曲もいいんだけど、そもそもメインテーマの曲がいい。滝の国ダイナフォーのBGMとしても壮大な冒険のテーマにアレンジされているのですが、新たなマリオの代表曲としてこの先もずっと残りそうな名曲です。2Dステージではちゃんと8ビットアレンジになるところもいい!

クリアしてからが本番

ストーリーをクリアすると、あるイベントによって、これまでに訪れた国に新たなパワームーンとそれに応じた小さいアクションステージが大量に追加されます。本当に大量に…。いわゆる「実績解除」みたいな要素もオープンになるのですが、その底知れなさに愕然とします。まだこんなに!みたいな。

ストーリークリア時点では確か200くらいだったパワームーン…
(まだこの倍くらいの数があるらしい)

それに加えて、記念撮影の機能が楽しくて。画面上のどんなに些細なNPCにも豊富なインタラクションとそれに応じたアニメーションがあって、静止することでそれを好きなように切り取れるというのが、予想以上におもしろいです。

帽子をぶつけて空中に飛ばしたヒツジチャンを撮る

そんな感じで、『オデッセイ』はまったくスキがないほどにおもしろく、ちょっとそのへんのゲームでは太刀打ちできないマリオの底力を久々に感じました。ひとつ気になる点があるとすれば、リトライのテンポの悪さかな。ミスしたら即再開したいのに、マリオがやられてコインが減るアニメーションがもどかしい!バックグラウンドでロードしているのかもしれないけれど…早く!早く遊ばせて!ってなります。

まだしばらくはマリオ漬けの日々が続きそうです。そろそろ自制しないと、他のことがなにもできなくなりそう…。


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