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予期せぬおくりもの

妊娠中はフルリモート勤務がみとめられていて、届け出れば簡単に実現できる。けれど、昨今の光熱費の高騰や、毎日昼食を用意しなくてはいけない(作らないにしても、買ってこなくてはいけない)ことなどもあって、これまでどおり週2在宅・週3出社のペースを継続している。
ちなみに仕事がひと段落ついて身体のことを考えられるようになった2月から時短申請はしていて、9:30〜10:30は有給。10:30に出社する場合は電車で座れないことはまずないので、とても助かっている。

昨日は在宅で仕事をしていた。前日に発生したミス対応の続きをやっていて、家で集中して終わらせたい仕事は夜になるまで手がつけられなかった。
こういう日に限っていつもは来ない問い合わせが立て続けに来たり、何度説明しても理解しないポンコツおやじの相手をしなくてはならなかったり、その他いろいろなストレスのかかる出来事が続き、すっかり心が荒んでいた。

インターホンが鳴り、夫が注文していた缶コーヒーのケースが届く。インターホン越しに置き配をお願いして、しばらく仕事に集中。花粉症なので外の空気を吸いにとはいかないが、夜から雨が降るというので荷物を回収する。
ついでにポストも確認。すると、レターパックが届いている。これを送ってくるのは先生だ。なんだろう、心当たりがない。

さっそく中を見てみると、舟越保武「大きな時計」という本だった。はて、これはなんの本だろうと手紙を探そうと表紙を開いた。

先生の故郷は岩手の遠野である。一週間ほど前、頼まれていた原稿データをメールで送ると、返信のなかに帰省中である旨が記されていた。
わたしは日常のいそがしさにかまけてその後の返信を怠っているのであるが、先生はまだ遠野にいるようだ。

手紙には、
舟越保武という岩手出身の彫刻家がおり、この人の書く文章が好きで岩手に帰省するとよく読んでいる。あなたに差し上げますから読んでみて。
遠野から盛岡に足を伸ばして二泊してきた。昨年秋と同様、県立美術館で舟越の彫刻をながめてきた。
そう書いてあった。

わたしは今、盛岡行きの新幹線に乗っている。ややこが生まれる前に夫婦の旅をしておこうというわけだ。盛岡行きを提案したのはわたしだが、とくに見る場所を決めていたわけではなかった。
本も持たず、仕事のことも忘れてリラックスしたいと思っていたが、このタイミングで先生から届いた舟越保武の本をたずさえて、まずは県立美術館へ行くつもりだ。


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