幸せでなきゃいけない苦しさ

「結婚おめでとう!」と言ってもらうたび、心が苦しくなる。

幸せなことなのだけど、祝ってもらえるのはありがたいことなのだけど、だからこそ絶対に幸せでいなきゃいけないし、妻としてあるべき姿でい続けなきゃいけないという気持ちが、ズンと心にぶら下がってくる。

人生が100年あるとしたら、まだ前半25%がすぎたところなのに、もう残り75%を共に過ごす人を決める。間違っているとは思わないけど、絶対に正しい自信ももてない。だって5年前の私と今日の私ですら、ひっくり返るくらい視点が違って、大事にしているものも違うから。

左手の薬指に光っている指輪も、なんだか苦しく感じる。私を締め付けて、遠くへ行かせない、ぎゅっと縛り付けているように。

「こんなお嫁さんでいてくれる?」「こんな時も怒らないでいられる?」夫は愛を確かめるようにそう言ってくるが、1つ1つが私にとって自信をゆさぶり、深遠な不安の沼に引きづり込まれるような気持ちだ。

おめでとうも、お幸せに、ももういらない。50年後もお幸せでいないといけない、なんて思い始めたら、本当に苦しくなるから。

一緒にいて安心する人と、これからも一緒にいられる、それは嬉しい。だけど一緒にいることが絶対に幸せだなんて、そんなこと私にもわからない。

手放しのおめでとうではなく、変わらずあなたが好きだよ、あなたといたいよ、と言える人になりたい

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