erika wakayama

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実は似たようなもんじゃん。

うちにワラジムシが大発生していたことがある。洗濯機が置いてある一部屋限定の大発生。 ワラジムシとダンゴムシの違いは、丸くなるかならないか。ワラジムシの方が少し平たくて、背中はゴムのような弾力性を感じさせるマットな質感。ダンゴムシに対して抱く「かわいい」がここでかたちを成さないのは、その表面にしっとりとした潤いを感じるからだと私は思っている。 彼らに遭遇したときの対処方法は2つ用意していた。 ②は、①が物理的に無理になった時にする。それが私の中の決まりだった。 施行の割合

    • 「死にな」と青い空の4月27日

      「4月27日って『死・に・な」』じゃん」と言ってクククと笑ったのは、中1で同じクラスになったK君だった。 今まで気づかなかったのと聞かれ、今まで気づかなかったよと私は答えた。 小柄な体を精一杯大きく見せて、12歳にして既にこの世の寂しさの欠片を持ち歩いているような男の子。一目置かれていたけれど、私は彼の怖い姿は一度も目にしたことがなかった。むしろほろっと壊れてしまいそうな、急にふっと飛んで行ってしまいそうな、静かな危うさを彼はまとっていた。 2年生のクラス替えで別々のクラスに

      • 潔くなんてないと思う。

        うちの庭にある桜の木は限りなく白に近い花を咲かせる。一滴の赤さえも入っていないんじゃないかというくらい一面の白。ちゃんとサクランボができるので、サクランボの木と言った方がいいかもしれない。 アメリカンチェリーみたいな実は熟れるとどすぐろい赤なんてもんじゃなくて、ちょっとだけ赤い光が溶け込んだ夜の空みたいになる。 私たちがこの家を借り始める頃にはもう古い木の様相をしていたから、今はさらに年を取った高齢木。 冬の間に太い枝が一本折れたらしく、うちの庭とお隣の庭の間にそれが落ちて

      実は似たようなもんじゃん。