erika wakayama

日常の小さなことを集めてつなげて文章にしてみたくて note を始めました。 43歳、…

erika wakayama

日常の小さなことを集めてつなげて文章にしてみたくて note を始めました。 43歳、たぶん一番真剣に取り組んでいることは美術、夫と子供(2人)と気の弱いジェントルマンな黒猫とドイツの小さな町に暮らしています。

記事一覧

カタツムリと、裸のやつ

フォローしている方たちの新着欄に、カタツムリに関する記事が2件続いて出ていた。 それで私もカタツムリについて書きたくなった。 うちの庭はカタツムリでいっぱいだ。…

erika wakayama
3時間前
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自己紹介②(食べ物のこと)

先週、レーゲンスブルクという町のアジアショップを訪れた。この町だったら老後の食事情は問題ないかもしれないと思った。 小学生になって数か月経ったころ、 「給食で一…

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自己紹介(noteを始めたきっかけ)

自分のことについて書くのが難しくて、自己紹介をずっと保留にしていた。 自己紹介は誰かに読んでもらうための文章だから、本当は「です·ます」調の方が適当な気がする。…

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唇とお尻の穴って同じなんだって

「唇とお尻の穴って同じなんだって」 と、息子が言った。 「え?どういうこと?」 と聞いたら、 「同じ種類の皮膚からできてるんだって」 という返事が返ってきた。 そう…

erika wakayama
2週間前
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そこでは時間が止まっているかもしれない。

移り行く時間はその流れを止めることなく、さらさらとこぼれ落ちるばかり。 必死になって留めようとするならば、流れを見ることさえできず、空っぽの両手が残るのみ。 こ…

erika wakayama
2週間前
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実は似たようなもんじゃん。

うちにワラジムシが大発生していたことがある。洗濯機が置いてある一部屋限定の大発生。 ワラジムシとダンゴムシの違いは、丸くなるかならないか。ワラジムシの方が少し平…

erika wakayama
1か月前
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「死にな」と青い空の4月27日

「4月27日って『死・に・な」』じゃん」と言ってクククと笑ったのは、中1で同じクラスになったK君だった。 今まで気づかなかったのと聞かれ、今まで気づかなかったよと私は…

erika wakayama
1か月前
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潔くなんてないと思う。

うちの庭にある桜の木は限りなく白に近い花を咲かせる。一滴の赤さえも入っていないんじゃないかというくらい一面の白。ちゃんとサクランボができるので、サクランボの木と…

erika wakayama
1か月前
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カタツムリと、裸のやつ

カタツムリと、裸のやつ

フォローしている方たちの新着欄に、カタツムリに関する記事が2件続いて出ていた。

それで私もカタツムリについて書きたくなった。

うちの庭はカタツムリでいっぱいだ。小さいのとエスカルゴみたいな大きさのやつ。注意して歩かないと踏んでしまうので、そろりそろりと歩く。
パシャッとやってしまったときの罪悪感はひどい。カタツムリは殻の小さな欠陥は直せると読んだけれど、人間に踏まれたら修復はもう不可能だと思う

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自己紹介②(食べ物のこと)

自己紹介②(食べ物のこと)

先週、レーゲンスブルクという町のアジアショップを訪れた。この町だったら老後の食事情は問題ないかもしれないと思った。

小学生になって数か月経ったころ、
「給食で一番好きなのは何?」
と母に聞かれた。
「しおもみ」
と私は答えた。
脱脂粉乳給食世代の母はしおもみが具体的にどんなかを知りたがって、私はキュウリやキャベツのことを念入りに話した。
「浅漬けみたいな感じね?」
と言われて、まあそうなんだけ

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自己紹介(noteを始めたきっかけ)

自己紹介(noteを始めたきっかけ)

自分のことについて書くのが難しくて、自己紹介をずっと保留にしていた。

自己紹介は誰かに読んでもらうための文章だから、本当は「です·ます」調の方が適当な気がする。でもやっぱり、いつもと同じ「だ·である」調で書くことにした。他の文章と合わせたかったし、いずれ、独り言なのか誰かに伝えたいのか分からないような文章ができるかもしれない。だから、いつでも「だ·である」調と決めておけば気が楽。

私は普段は独

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唇とお尻の穴って同じなんだって

唇とお尻の穴って同じなんだって

「唇とお尻の穴って同じなんだって」
と、息子が言った。
「え?どういうこと?」
と聞いたら、
「同じ種類の皮膚からできてるんだって」
という返事が返ってきた。

そういうことね。

言われてみれば、何年か前に漆かぶれで全身が腫れあがったとき、唇とお尻の穴には湿疹ができなかった。

そこだけ何か違うんだろう。

唇とお尻の穴は、入口と出口でもある。エネルギー補給過程の始まりと終わり。口から始まる管は

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そこでは時間が止まっているかもしれない。

そこでは時間が止まっているかもしれない。

移り行く時間はその流れを止めることなく、さらさらとこぼれ落ちるばかり。
必死になって留めようとするならば、流れを見ることさえできず、空っぽの両手が残るのみ。

この世に生まれた生き物は、みんな死に向かっている。
不老不死、老いないことと死なないこと。それは多くの人間が昔から望んできて、まだ誰も成し得ていないこと。

この間、猫のトイレを掃除した。
うちの猫について語ろうとすればいくらでも語れる

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実は似たようなもんじゃん。

実は似たようなもんじゃん。

うちにワラジムシが大発生していたことがある。洗濯機が置いてある一部屋限定の大発生。

ワラジムシとダンゴムシの違いは、丸くなるかならないか。ワラジムシの方が少し平たくて、背中はゴムのような弾力性を感じさせるマットな質感。ダンゴムシに対して抱く「かわいい」がここでかたちを成さないのは、その表面にしっとりとした潤いを感じるからだと私は思っている。

彼らに遭遇したときの対処方法は2つ用意していた。

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「死にな」と青い空の4月27日

「死にな」と青い空の4月27日

「4月27日って『死・に・な」』じゃん」と言ってクククと笑ったのは、中1で同じクラスになったK君だった。
今まで気づかなかったのと聞かれ、今まで気づかなかったよと私は答えた。
小柄な体を精一杯大きく見せて、12歳にして既にこの世の寂しさの欠片を持ち歩いているような男の子。一目置かれていたけれど、私は彼の怖い姿は一度も目にしたことがなかった。むしろほろっと壊れてしまいそうな、急にふっと飛んで行ってし

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潔くなんてないと思う。

潔くなんてないと思う。

うちの庭にある桜の木は限りなく白に近い花を咲かせる。一滴の赤さえも入っていないんじゃないかというくらい一面の白。ちゃんとサクランボができるので、サクランボの木と言った方がいいかもしれない。
アメリカンチェリーみたいな実は熟れるとどすぐろい赤なんてもんじゃなくて、ちょっとだけ赤い光が溶け込んだ夜の空みたいになる。
私たちがこの家を借り始める頃にはもう古い木の様相をしていたから、今はさらに年を取った高

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