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一日必冊 「スポーツを見る」ということ

正月恒例といえば箱根駅伝だ。はるか昔、親戚一同が集まって正月祝いをしているなか、テレビは駅伝をうつしていた。何人かは食い入るように見ていて、その中には姑も混じっていた。

2023年の二日、なんとなくテレビを付けたら箱根駅伝が始まったところだった。見るともなく見ていたら、学生連合の選手が飛び出し後続を話していく。目が離せなくなってそのままつけっぱなしにしていた。

年末に、友人が講師をしている駒澤大学で授業をさせてもらった。「本を読むということ、それを紹介するという仕事」という内容で1時間半。熱心に聞いてくれ、終了後に質問にきた学生もいてとても嬉しかった。それだけで、駒澤大学に肩入れしてしまう。私の精神、単純だなと思うけど、優勝すれば手放しで嬉しい。

マラソン中継はなんとなく見続けてしまう。私は見るよりやる方が好きで、スポーツ観戦には興味のない方だ。だが、増田明美さんのマラソン中継を最初に聞いたとき、なんて面白いんだと感心した。その増田さんの本が昨年出た。彼女がどんな思いで競技に打ち込み、引退し、解説者になり、その方法を工夫したのかが縷々書かれている。

著者の「細かすぎるマラソン中継解説」を待ち望むファンは多い。選手は何を伝えてほしいのか、指導者は何を考えているのかを知りたいという好奇心を抑えきれず、取材のため海外の遠征先にも自腹で駆け付けるという。マラソン解説に一区切りつけ、新たなチャレンジに向かうという著者に期待したい。(中公新書ラクレ924円)

読売新聞書評欄文庫/新書 2022年12月11日

先日のサッカーワールドカップでも、解説者の良し悪しに言及する人が多かったのは面白い現象だと思った。一流のスポーツを見る楽しみと、そのスポーツを広く知らしめるのは、解説者がひとつのポイントになっているのは間違いない。

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