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【アナロジー思考】ものごとを爆速で理解する方法

みなさんはアナロジー思考とか類推思考と呼ばれる思考法を知っていますか?

論理思考(ロジカルシンキング)やデザイン思考といった○○思考の類になるんですが、この考え方を身に着けると生活がほんの少し変わります。

個人的には流行り言葉に乗っかりたくないタイプの人間なので、この手の記事はあまり書かないのですが、この思考法は私の人生をかなり助けてくれているので、是非興味がある方は軽く流し読みしてもらえたら嬉しいです。

なるべく、自分語りではなく、多くの人が使えるような形で説明できたらいいなと思います。


アナロジー思考とは

“アナロジー思考とは、物事を抽象化し、類推(アナロジー)を用いて構造的に類似した他の事柄に当てはめて考える方法のこと。”
https://makitani.net/shimauma/analogical-thinking

調べてみるとイケイケビジネスパーソン向けの記事がたくさん出てきますが、この思考法はビジネスとか関係なく、普段の勉強や生活にも使えると思うんです。

このアナロジー思考を使えば、新しい分野の勉強をしたときに、自分の知っているあの分野と同じ理屈だぞとか、同じような考え方で雰囲気つかめるな~って感じで理解がスムーズになります。

そうはいっても、こんな抽象的な話をしていてもわかりにくいですよね。

ということで、早速方法論を紹介していきましょう、といいたいところですが、少し前提をお話しする必要があります。


アナロジー思考にもいろいろある

アナロジー思考というと類推のスピードや構造理解力といった能力が挙げられますが、人によって得意な領域があると思っています。

私の場合は、類推や推論ははっきり言って苦手ですし、人間関係の構造についてはさっぱり理解できません。一方、自然科学的な現象についての理解は比較的早い方で、日々この能力に助けられています。

つまり一言でアナロジー思考といっても、全てを網羅するようなスーパーマンは一握りで、誰でも鍛えれば自分の強みになる小さなアナロジー思考を手にすることができると思います。

それでは自分が普段使用しているやり方について紹介したいと思います。もし私と同じようなタイプの方がいれば、きっと助けになるでしょう。


アナロジー思考の鍛え方

アナロジー思考のためにはまず基準となる物事の本質的な理解が重要です。

例えば、科学の世界で言うならば、自分が学んでいる現象の本質的な理解、場合によっては数学的な記述の理解となります。

数学は万国共通の言語ともいわれるように世界中の人々が理解することができる上、非常に論理的な言語だと思います。なおかつ、最も抽象的な表現が可能な言語の1つともいえるでしょう。

ポイントになるのは、“数式は抽象的である”という点です。

抽象的な数式を理解していれば、その汎用性は広いだけでなく、他の分野に転用することもできます。

例えば、理系高校生だったら必ず通る電磁気と力学の式なんかが分かりやすいでしょうか

クーロンの法則(静電気力)の式

$$
F=k\frac{q_{1}q_{2}}{r^{2}}
$$

万有引力の法則

$$
F=G\frac{m_{1}m_{2}}{r^{2}}
$$

電気の式と万有引力の式は形が非常に似ているため、片方知っていれば同じような理屈でもう片方を納得することができます。

他にも理工系の大学生であればフィックの第一法則、ニュートンの粘性法則、フーリエの法則なんかも必修のよく似た現象です。

フィックの第一法則(拡散流束Jは核酸係数Dと濃度勾配で表される)

$$
J=-D\frac{dC}{dx}
$$

ニュートンの粘性法則(せん断応力τは粘性係数μと速度勾配で表される)

$$
\tau=-\mu\frac{du}{dx}
$$

フーリエの法則(熱流束qは熱伝導率λと温度勾配で表される)

$$
q=-\lambda\frac{dT}{dx}
$$

それぞれ、拡散、粘性、熱伝導という一見関係あるかわからないような現象もよく似た式で表すことができます。つまり1つ知っていれば、残りの2つも自ずと理解できるはずです。

これが、数式までしっかりと理解しておく重要性です。理系学生でも数学は嫌いという人はそれなりにいるでしょう。しかし、アナロジー思考を使って自然科学を爆速で理解するためには、数学的な表現まで覚えておく必要があるでしょう。

今の時代、検索すればよいので完璧じゃなくてもOKです。恥ずかしい話、例に挙げた大学必修3つの式も覚えてなかったですからね。

一方で、私の専門はX線なんですが、最近赤外線を使ったイメージングの勉強をする必要があり、ここでは存分に自分の知識から引っ張り出してきてアナロジー思考を使いました。

赤外線とX線でずいぶん性質は異なりますが、ともに電磁波であり、“光”という点では同様に扱うことができます。数式上ではよく似た表現が出てくることが多々あるんです。

X線の数式の取り扱いまで理解してたので、それが赤外線になってもすんなりと理解することができたということになります。

重要なことまとめ
・一度は数式レベルまでしっかり理解すること(忘れてもOK、教科書を見れば思い出せるから)
・うろ覚えで良いので長期記憶すること(時間がたっても引き出せないといけないため)
・多くの知識を蓄積すること(引き出しを増やすため)

以上の3つをさらにより俯瞰した視点でとらえてみてみるとどうでしょう。下2つは知識の蓄積を意味しているので実質的には、次の2つとなります。

・本質まで理解すること
・(うろ覚え良いので)知識や経験をたくさん持っていること

おそらくこの2つがアナロジー思考で非常に重要な基本の柱になるはずです。


最後に

もともと、自分の強みは何だろうと考えたときに、人に誇れるようなことは何もないけれど、強いて言うなら一般の人よりもほんの少し物理の理解が早い方だったなと思いました。その理由を深堀した結果がアナロジー思考につながりました。

自然科学を理解するためには、0から10まで1つずつ進めていかなくてはなりません。一方でアナロジー思考を使うことができれば、5ぐらいから理解することができるかもしれません。0~4のステップを省略することは、より早く知識を習得することに繋がります。

つまり、勉強すればするほど知識が増え、知識を得るスピードが速くなるという良いサイクルが生まれます。大学の先生が常人離れした理解力を持つのは、圧倒的知識量とそれをアナロジーで結びつけるスピードが爆速になった結果なのではないかと思います。

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