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誘電率って何なんだ?~高校物理の実はとっても奥が深い話~

みなさん、誘電率って知っていますか?理系の人間なら当然知ってることでしょう。
理系でなければ知らなくてもおかしくないですし、知らなくなって生きていけます。

非常にわかりにくいし、実生活とかかわりがないように思えますが、実はとっても身近なところに潜んでいるんです。

例えば、電気の貯めやすさとか、どれくらい電気を通すかとか言われたりしますが、個人的にはものの見え方に関わってくるという認識が強いです

ガラスやプラスチックは同じ透明でも少し違って見えますよね。あれも誘電率が説明してくれます※。

誘電率は光に関わることなら大体何でも関係してきます

そんな理系の必須アイテムのような重要性を持つ誘電率なんですが、その実態はいまだにわかってないんです。

誘電率とは


高校物理で習う誘電率は電磁気で出てくるよくわからない定数です。
たいていε(イプシロン)を使います。たぶん人生で最初に使うイプシロンは誘電率でしょう

私も電磁気学の専門家ではないので厳密なことは言えませんが、誘電率は電磁場に対する応答を表していると考えていいと思います。光は電磁波一部であり照射領域で電磁場を作り出すので、光に対する応答とも考えられます。

ちょっと難しい話になってしまいますが、要は電気とか光に対してどんな応答(反応)を見せるかを表したものだと思えばいいとも思います。

例えば、冒頭に例を出した透明さの違いというのは、ガラスが光に対してどんな応答をするのかを考えると分かるわけです。

誘電率は変化する

高校の物理では誘電率は真空の誘電率ε0と物質によって異なる比誘電率εrの積で表されると習います。

真空の誘電率は決まった値なんですが、比誘電率は物質によって異なります。
物理のテストではこの比誘電率が与えられて計算をするんですが、実際世の中はそんなに甘くありません。

同じ物質でも比誘電率は変化します。

有名なものでは樹脂中に小さな粒子が含まれているような複合体では、誘電率は母材の湯誘電率と粒子の誘電率を組み合わせたものになります。しかも粒子の含有量によって誘電率が変わります。

興味がある人はマックスウェルガーネットの式で調べてみると詳細が出てきます。

他にも水溶液の誘電率も変わります。例えば塩水の濃度によって誘電率の大きさが変化します。


まだまだ分かっていない誘電率

これまで何度か濃厚な塩水が不思議な能力を持っているという話をしましたが、濃厚な塩水の誘電率もまたよくわかっていませんでした。

個人的に、とっても大事な物理の一つである誘電率がわかってないの?って疑問に思いましたが、かなり難しい物理で表現されるようです。

実際に測定すること自体は問題ないのですが、人間は測定したら数式に当てはめようとします。数式(モデル)を作るということはその現象を理解することにつながります。

多くの物質で同じ数式(モデル)が利用可能であれば、人間は科学一部を理解したことになり、人類レベルでほんの少し賢くなります。

しかしながら、誘電率の実験値を上手に説明できる数式は存在せず、つい数年前にも新しいモデルで数式が導出されています。

最後に

自分の研究に必要があったので頑張って誘電率の論文を読んでいたのですが、理論物理学の人たちが書いているのでとても難しくて、理解に苦しみました。

モデルの構築とか数式の導出とかって、ものづくりをメインにする工学部の人はそんなにやらないイメージがありますが、とっても大事なことの1つだと思います。

私がやっているのはアマチュアレベルのモデル構築ですが、プロの話を聞くとまるで授業を受けているような感覚に陥ります。


※正確には屈折率ですが、屈折率は誘電率と透磁率で決まります。
透磁率はたいてい1なので、基本的に誘電率で決まることになります。
透磁率や誘電率を自由自在に操って、光を制御する物質をメタマテリアルといいます。


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