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【食感の科学】食品のテキスチャーと美味しさの関係

みなさんは硬いグミと柔らかいグミだったらどっちが好きですか?

私は断然硬いグミなんですが、まあおいしければどっちでもいいよねと言うのが本音です。

まあグミはどちらも特徴があっておいしいですが、パンだったら硬いよりはふわふわの方が良いですし、逆にせんべいは硬い方が良いですよね。

もちろん、人それぞれ好みはあると思いますが、少なくとも硬さ=食感によって、おいしさが変わるというのは理解できると思います。

今回は、そんなおいしさの科学の中でも特に重要な食感の世界を一緒に見ていきたいと思います

食感の科学は複雑系の科学

複雑系、ときにカオスとも呼ばれる科学の領域は、その名の通り非常に複雑な科学であり、未解決な問題も数多くあります。

食感の科学というのはまさに複雑系の一種といってもいいぐらいさまざまな現象が関係しています。

食事を噛むときの感触や舌ざわり、口の中での料理の形状変化、それに伴う香りの放出など、物質科学の側面から見ても超難しい現象が次々と起きています。物理的な形状変化と口腔内の不均一性、化学物質の放出変化、それに対して感じる生態学的な反応など、深堀るときりがありません。

また、美味しいの定義は個人差があるように、美味しいという感覚には心理学・認知科学的な影響もあり、物質科学の域を超えた学問であることも知られています。

このnoteでは種本として食品物性とテクスチャーという本を用います。

なんだか難しそうと思われるかもしれませんが、大丈夫です。

そこそこ学術系の本ですが、わかりやすいところをピックアップしてかみ砕いて紹介したいと思います。

今回はイントロダクションということで、ざっくりと食感を科学するとはどういうことなのか?簡単に見ていきます。

食感に関わるおいしさ

そもそもおいしさの判断基準にはどんな要素があるのでしょうか。わかりやすく私たちがおいしさを感じる要素はテクスチャー(食感)とフレーバー(香り)と言われています。

おそらく意識していないと気づかないんですが、この2つ要員にはさらに面白い特徴があります。

実は普段から多量に消費される食品や噛んで食べる食品はテクスチャーが大事だと言われています。つまり、香りよりも食感がしっかりしていないとダメなようです。

逆に噛まなくてもいい液体(飲料)に関しては、そもそもテクスチャーがないので、フレーバーが大事なんです。言われてみればその通りですが、私自身30年生きてきてそういう観点で食事をしたことがなかったですね。
さらに、テクスチャーとフレーバーの関係も面白い点があります。

一般的にフレーバーがテクスチャーに影響を与えることは少ないと言われますが、逆にテクスチャーは味物質や匂いの分子の拡散速度を変えることから、フレーバーに影響を与えると言われています。

この2つの要因は互いに独立したパラメータではなく、一方向に強く従属関係があることになります。このような関係性もまたおいしさを科学することの難しさにつながっているといえるでしょう。

ちなみに人類に昔から親しまれているスパイスと言うのはまさにフレーバーの要素を補強する道具(食材)になります。スパイスが人類の歴史とともにあり、時にスパイスの問題が戦争にまで発展するというのも納得ですね。

食品評価

また食品の食感を評価するときも、その複雑性が垣間見えます。というのも、普通物理の世界では長さや重さを測定するなど、基本的にある特定の指標が欲しければ、測定方法も基準もある程度決まっています。

しかし、食品の場合はそう簡単にはいかないようです。要は、何か一つの指標、たとえば硬さなどを食感の指標するということができないんですね。

どういうことかというと、食品の種類によって、その指標が変わってしまうのです。ここにその一例を紹介しましょう。

食べ物によって変わる判断基準

  • 柔らかい食品(クリームやプリン):流動性

  • 柔らかい固体(トマトやパン):指でそっと触った時の変形しやすさ

  • リンゴのような硬さ:指を突き刺したときのちから

  • 生ニンジンのような硬さ:曲げやすさ

食品の硬さや形状によって、その評価指標が少しずつ異なります。統一された指標がなく、さまざまなパターンが存在するというのも、食感を科学する上での複雑さを象徴しているといえるでしょう。

最後に

毎日食べているはずの食事がこんなにも科学的な面白さがあるとは驚きですよね。

不定期にはなりますが、これからおいしさの科学の中でも食感にフォーカスした科学について数回にわたって紹介していこうと思います。
お楽しみに!

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