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【素晴らしいサイエンスキュレーション】国立科学博物館に行ってきた話

少し前に国立科学博物館に行ってきました。科学好きな私は小さいころから数年に1度遊びに行っているんですが、今回は約8年ぶりになりました。

さすが日本最高峰の科学博物館ということで感動・関心するところがたくさんありますね。

これまでは単に面白いな~という感想しかありませんでしたが、普段noteで科学技術について発信するようになってからずいぶん物事の見方が変わり、国立科学博物館のすごいところが違った視点で見えてきました。

今回はそのとき感じたことをいくつか書いてみたいと思います。

国立科学博物館とは

そもそも国立科学博物館を知らないという方もいるかもしれませんね。国立科学博物館とは、東京の上野にある(たぶん)日本最大の科学博物館です。

常設展と特別展があり、常設展だけでも日本館と地球館という2つの建物にわかれており、しっかり見ると1日では回れないぐらい多くの展示物があります。(実際私は地球展だけで1日終わりました…)

日本が誇る科学博物館ということもあり、展示物の種類だけでなく、その展示方法や説明などは非常に高いクオリティです。私は普段サイエンスキュレーターと自称してnoteで発信活動をしていますが、もともとキュレーションというのは博物館や美術館で使われている言葉です。

一般に博物館で展示物の説明を行う人のことを学芸員といい英語ではキュレーターといいます。キュレーションとは物や情報を収集、選別してそれを他の人に共有することを言います。

サイエンスキュレーションというのは造語かもしれませんが、科学博物館の学芸員さんは皆プロのサイエンスキュレーターということになりますね。後述しますが、この一流のキュレーションを直に感じていろいろと思うことがありました。

最近では、博物館存続のためにクラウドファンディングを募ったことでも話題になりましたね。一流の国立博物館であるのに、市民から寄付を募らなければ経営破綻するという点でネット上では政府に対してかなり反感の声が上がっていましたが、さすが国立科学博物館、1日で1億円達成していました。

上野動物園の隣にあるため、動物園に行った際、時間があったら是非一度寄ってみてください。

最高のサイエンスキュレーション

私の文章力で国立科学博物館の素晴らしさを語っても少々陳腐になってしまうので、やはり一度訪れてほしいのですが、ここでは自分なりに良かったところを紹介していこうと思います。

まず、当たり前ですが展示が見やすく動線がわかりやすいです。博物館によっては乱雑に置かれているところやどのように回ればいいのか分からないところなどいろいろあると思います。


その点、国立科学博物館はマップもしっかりしており、どの階に行けば自分のお目当てのものが見れるのか分かる他、実際に展示場に入ればある程度流れに沿って鑑賞することができます。

またスクリーンの使い方も効果的でとてもわかりやすいイラスト動画が鑑賞の流れに沿って動いています。私たちは実際の展示物と説明、そしてスクリーンに映ったイラストで効果的に鑑賞体験をすることができます。

まあ、ここまではずいぶんこれはありきたりな内容かもしれませんね。
個人的に感動したのは解説や説明における表現の仕方です。普段テキストベースで科学技術を紹介していると、この難しい原理をどうやって説明しようかと悩みます。私なりにわかりやすく書いているつもりでも、難しいという声をたまにいただきます。

それに対して国立科学博物館での展示説明は子供でも分かるような表現で書かれていることが多かったです。やはり、子供向けの表現になるときの最大の難しさというのは科学的な正確性を失うという点です。ただ、これもなるべく科学的な正確性を残したまま平易な表現で書かれているというのが感動ポイントでした。

逆に、大人しか読まないようなノーベル賞研究者の紹介文なども、その分野に明るくなくても理解できるような内容であり、その表現力には感心しましたね。

とにかく値段が安い

国立科学博物館は常設展650円で特別展が別料金です。

国立だからタダにすべきという意見もあるかもしれませんが、その点をいったん置いておいて単純に博物館という点で見れば入場料650円は安すぎます。下手したらカフェに入るよりも安い金額で素晴らしい展示物を1日中堪能できるんですからね。

私の感覚では2000~3000円ぐらい取っても全然問題ないですし、博物館のクオリティから言えば10倍の6500円でも全然安いぐらいです。それを650円で体験できるというのは、行かない手はありませんよね。

実際に私が行った日も休日だったこともあり、人がごった返していました。あまりに多すぎて全然前に進めないエリアなどもあるぐらい人が多かったです。これは安すぎる価格と高すぎるクオリティがあるからかもしれませんね。

そして、子供から大人まで楽しめる仕組みが豊富にあり、多くの客が熱中していました。

課題

そこで私には1つ疑問が湧きました。なぜこんなにも多くの人が科学を楽しんでいるのに、世の中には科学的な思考をできる人間が少ないんだろうと…
以前、科学的に考えることについて書かれた小説の紹介でも書きましたが、世の中は感情や感覚で生きている人が非常に多いです。論理や科学は二の次という感じです。

科学博物館で子供たちは面白いレクリエーションに夢中になり、大人も興味深い展示物を目で追っていました。それなのに、科学は嫌いというのはどこに問題があるのでしょうか?

ここからは完全に私の推測になりますが、科学の勉強が難しいのかなと感じます。つまり、教育の限界というところでしょうか?

おそらく多くの人が科学を嫌いになるタイミングは中学校の理科の時間ではないでしょうか?数学を用いて物体の運動を計算したり、化学反応や生物の知識を暗記したりと全然楽しくないですよね。

実際、中学理科を問題なくクリアした人たちも高校に入り、受験勉強のためより複雑な科学の問題を解かなければならないと知ると、文系に移ったり、科学を避けるような選択に出たりするかもしれません。

そして極めつけは大学での科学です。分野にも依りますが、一般から見ればかなり高度な数学のスキルや周辺知識の土台があって初めて授業を聞くことができます。正直、ここまで科学の道で生き残れる人はずいぶん少ないと思います。

勝手に尊敬しているYoutuberのヨビノリさんは、「科学を志した多くの大学生は授業についていけずに科学の道を諦めてしまう。それをどうにか止めたい」と言っています。きっとそのような理系離れ、科学離れが至る所で起きているはずです。

そうして気づけば大人になって科学を楽しめる人はほぼいないといえるでしょう。でも、ここで忘れてはいけないことがあります。それは博物館に来ていた多くの大人は楽しんでいるんです。

つまり、みんな科学が嫌いなんじゃないんです。科学の勉強が嫌いなだけなんです(と私は思っています)。それなのに科学の勉強をやめた人たちは皆科学的な考えられないっておかしくないですか?別に科学的に考えるのに難しい数学のスキルや知識は必要ありませんからね。

多くの人は科学的に物事を考える=科学の勉強ができないといけないと思っているのではないか、というのが私の仮説です。

一方で、科学博物館で楽しめるということは科学に興味が持てるということです。もちろん博物館の展示物を楽しむことができれば科学的に考えられるわけではありません。

とはいえ、科学に対して興味を持っているのであればあえて避けなくてもいいと思うんです。難しい数学はできなくても、科学をもっと身近に感じて科学的に考えることに努めるのは良いのではないでしょうか

最後に

今回は国立科学博物館に行って感じたサイエンスキュレーションについて、そして世の中の人々の科学離れについて思うことを書いてみました。完全に持論なので、思いっきり間違ってるかもしれません。

それでも個人的には科学離れを少しでも食い止める手伝いが出来たらいいなと思っています。そもそもそのような思いからnoteを始めたわけでもありますし。まだまだキュレーションとしては未熟ですが、何事も継続しなければ始まらないので、今後もゆっくり科学記事の投稿をしていきます。

それを読んで一緒に科学技術の面白さを少しでも感じてくれたら嬉しいですね。

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